【書籍化作品】無名の最強魔法師
回復魔法と乙女の事情
「そういうモノなんですか?」
俺はエメラダ様に肩を貸してもらいながら目の前の掘りの中に視線を向けた。
掘りの中の水は時速50キロメートルの速度で流れている。
これが持続魔法だとしたら、エメラダ様の言う魔力というモノが回復しない要因だとしたら、これを停止させれば魔力が回復するようになるかも知れない。
物は試しだ。
とりあえず二重の掘りの内、内側の堀の水だけ止めてみよう。
《水流停止》の魔法を発動させようしたところで、急に胸を締め付けられるような感覚が体を支配した。
蒸せて咳をしたところで手を口元に当てると血がベットリとついていた。
何だコレはと思った途端、目の前の視界が閉ざされていき足に力が入らなくなる。
すでに立っているのかどうかすら自分自身では判別がつかない。
ゆっくりと俺の思考は闇に飲まれていった。
そんな中……
「ユウマ!ユウマ!しっかりしろ!!仕方ない。こうなったら……」
……誰かの必死で焦りを含んだ声が聞こえてくる。
ただすでに意識が朦朧とした俺には誰の声なのか判別がつかなかった。
暗い世界で俺は一人、そこに浮かんでいた。
どこまでも闇が覆う世界の中、俺は何故かそこがとても心地良い空間だと思った。
そしてまどろんでいた意識を手放そうとした所で体の中に何かが流れ込んでくる。
それは暖かな光、それは暗闇の中を照らしていき暖かい熱は体の隅々まで広がっていき、体を温めてくれる。
俺は、暗闇の中でゆっくりと自分の意識が浮上するのを感じた。
そして気がつくと満天の星空を見上げていた。
「……一体何が……」
「起きられたのですね?良かったですわ」
額の上に手を置かれる。
ひんやりとした手が火照った体に心地良い。
やわらかい枕といい、これはとても良い物だ。
少しだけ寝返りを打つと顔に布地が触れた。
「―――きゃっ!くすぐったいので動かないでください」
ん?頭の上から声がしたような……。
視線を上に上げていくとそこには大きな壁があった。
ふむ。これはなんだろうか?
手を伸ばして触れると、それはとてもやわらかい物だった。
「ユウマさん!エッチな事は駄目ですよ?」
……?
俺はやわらかい枕の上からゴロゴロ回転しながら地面の上に降り立ち先ほどまで自分が居た場所へ視線を向ける。
そこには、エメラダ様が顔を真っ赤にして胸を両手で隠して座っていた。
ふむ、どうやら俺は倒れた後に膝枕をしてもらっていたようだ。
そしてエメラダ様の胸まで揉んでしまったと……俺、ここで殺されちゃうのかな……。
「エメラダ様、申し訳ありませんでした。気がつかずに胸まで揉んでしまって……」
体にまだ力が入らない事もあり地面の上で寝そべったままで謝罪。
第三者から見たら舐めているのかーとか言われそうだが体に力が入らないのだから仕方がない。
とにかくまず謝罪してエメラダ様の機嫌を取らないと貴族様への不敬で死刑になってしまう。
親にも妹にも迷惑がかかってしまう可能性もある。
幸い、鎧を脱いでいるエメラダ様はとても発育がよくて女性的で美しい女性だ。
褒めるほどのやりとりをしたほうがいいか。
「胸のことは、緊急でしたから今回は不問にしてさしあげます。それよりもお体の方は如何ですか?」
鎧を着ている時は、高圧的な話し方をしてくるのに着ていないときは女性らしく、やわらかい言葉遣いで俺に話しかけてきている。
エメラダ様と出会ってから見てきたけど、彼女は騎士風の格好をしているかどうかで感情のON/OFFをしているようだ。
鎧を着ている時は、精一杯がんばっているのが分かる。
体にはまだ力は入らないが、ある程度は力が回復している気がする。
「…はい、まだ体に力はほとんど入りませんが大丈夫みたいです」
「――そうですか!それはよかったです」
エメラダ様は両手の手のひらを胸の前で組むと祈るようにそっと呟いてきた。
月明かりがエメラダ様の銀色の髪を照らしておりその姿は神秘的ですらある。
そんな彼女が少しだけ怒った表情で……
「それよりもさっきのアレは駄目ですよ?自身の持つ魔力以上の魔力を行使するのは命を削る行為なのです。ですからああいう時は少しづつ止めていかないと駄目です。魔法師育成学校でもそのくらいは習うでしょう?基本ですよ!基本!」
……俺に説教してきた。
「ということはエメラダ様が俺を助けてくれたんですか?」
状況証拠から言うとそれしかない。
でも一体どうやって俺を助けたんだ?
これは後学のために聞いておく必要があるのかも知れない。
「ええ、そうですわよ。本当に気をつけてくださいね」
「ありがとうございます。エメラダ様に回復の魔法を使わせてしまって申し訳ありません」
俺の言葉にエメラダ様の顔が真っ赤に染まった。
「――え、ええええええええと。そ、そうね……今度からは、気をつけないと駄目ですよ?」
「はい!本当にありがとうございます。つかぬ事をお伺いしますが……」
「なんですの?」
「俺みたいな症状の人はどうやって回復させたのですか?」
俺の言葉にエメラダ様は、唇に指先を当てると体をワナワナとさせ始めた。
彼女の様子から見るに、どうやら聞いてはいけない内容だったようだ。
エメラダ様は唇にあてたまま、潤んだで俺を見つめてきた。
「――そんな事言える訳ありませんの!」
どうやら余程、重要な回復魔法だったというか、彼女にとって触れられたくない事柄だったらしい。
  地面に転がっていた俺は頭を踏みつけられた。
そして、エメラダ様は顔を真っ赤にしたまま走り去って行ってしまった。
その後、、魔法の後遺症で満足に動かせなかった体を動かせるようになったのは、30分後だった。
体が動かせるようになった俺は、堀の方へ進んで行き地面に手をつく。
先ほどは、全体的に堀全体の水を停止しようとしたが、今回は同じ轍を踏むことをしない。
範囲を指定して魔力が尽きないように発動をさせる。
《極少限定範囲水流停止》の魔法を発動させる。
すると、見ていた内堀の水の一部の流れが緩やかになる。
それに伴い、俺の魔力が少しづつ回復していくのを感じる。
俺はエメラダ様に肩を貸してもらいながら目の前の掘りの中に視線を向けた。
掘りの中の水は時速50キロメートルの速度で流れている。
これが持続魔法だとしたら、エメラダ様の言う魔力というモノが回復しない要因だとしたら、これを停止させれば魔力が回復するようになるかも知れない。
物は試しだ。
とりあえず二重の掘りの内、内側の堀の水だけ止めてみよう。
《水流停止》の魔法を発動させようしたところで、急に胸を締め付けられるような感覚が体を支配した。
蒸せて咳をしたところで手を口元に当てると血がベットリとついていた。
何だコレはと思った途端、目の前の視界が閉ざされていき足に力が入らなくなる。
すでに立っているのかどうかすら自分自身では判別がつかない。
ゆっくりと俺の思考は闇に飲まれていった。
そんな中……
「ユウマ!ユウマ!しっかりしろ!!仕方ない。こうなったら……」
……誰かの必死で焦りを含んだ声が聞こえてくる。
ただすでに意識が朦朧とした俺には誰の声なのか判別がつかなかった。
暗い世界で俺は一人、そこに浮かんでいた。
どこまでも闇が覆う世界の中、俺は何故かそこがとても心地良い空間だと思った。
そしてまどろんでいた意識を手放そうとした所で体の中に何かが流れ込んでくる。
それは暖かな光、それは暗闇の中を照らしていき暖かい熱は体の隅々まで広がっていき、体を温めてくれる。
俺は、暗闇の中でゆっくりと自分の意識が浮上するのを感じた。
そして気がつくと満天の星空を見上げていた。
「……一体何が……」
「起きられたのですね?良かったですわ」
額の上に手を置かれる。
ひんやりとした手が火照った体に心地良い。
やわらかい枕といい、これはとても良い物だ。
少しだけ寝返りを打つと顔に布地が触れた。
「―――きゃっ!くすぐったいので動かないでください」
ん?頭の上から声がしたような……。
視線を上に上げていくとそこには大きな壁があった。
ふむ。これはなんだろうか?
手を伸ばして触れると、それはとてもやわらかい物だった。
「ユウマさん!エッチな事は駄目ですよ?」
……?
俺はやわらかい枕の上からゴロゴロ回転しながら地面の上に降り立ち先ほどまで自分が居た場所へ視線を向ける。
そこには、エメラダ様が顔を真っ赤にして胸を両手で隠して座っていた。
ふむ、どうやら俺は倒れた後に膝枕をしてもらっていたようだ。
そしてエメラダ様の胸まで揉んでしまったと……俺、ここで殺されちゃうのかな……。
「エメラダ様、申し訳ありませんでした。気がつかずに胸まで揉んでしまって……」
体にまだ力が入らない事もあり地面の上で寝そべったままで謝罪。
第三者から見たら舐めているのかーとか言われそうだが体に力が入らないのだから仕方がない。
とにかくまず謝罪してエメラダ様の機嫌を取らないと貴族様への不敬で死刑になってしまう。
親にも妹にも迷惑がかかってしまう可能性もある。
幸い、鎧を脱いでいるエメラダ様はとても発育がよくて女性的で美しい女性だ。
褒めるほどのやりとりをしたほうがいいか。
「胸のことは、緊急でしたから今回は不問にしてさしあげます。それよりもお体の方は如何ですか?」
鎧を着ている時は、高圧的な話し方をしてくるのに着ていないときは女性らしく、やわらかい言葉遣いで俺に話しかけてきている。
エメラダ様と出会ってから見てきたけど、彼女は騎士風の格好をしているかどうかで感情のON/OFFをしているようだ。
鎧を着ている時は、精一杯がんばっているのが分かる。
体にはまだ力は入らないが、ある程度は力が回復している気がする。
「…はい、まだ体に力はほとんど入りませんが大丈夫みたいです」
「――そうですか!それはよかったです」
エメラダ様は両手の手のひらを胸の前で組むと祈るようにそっと呟いてきた。
月明かりがエメラダ様の銀色の髪を照らしておりその姿は神秘的ですらある。
そんな彼女が少しだけ怒った表情で……
「それよりもさっきのアレは駄目ですよ?自身の持つ魔力以上の魔力を行使するのは命を削る行為なのです。ですからああいう時は少しづつ止めていかないと駄目です。魔法師育成学校でもそのくらいは習うでしょう?基本ですよ!基本!」
……俺に説教してきた。
「ということはエメラダ様が俺を助けてくれたんですか?」
状況証拠から言うとそれしかない。
でも一体どうやって俺を助けたんだ?
これは後学のために聞いておく必要があるのかも知れない。
「ええ、そうですわよ。本当に気をつけてくださいね」
「ありがとうございます。エメラダ様に回復の魔法を使わせてしまって申し訳ありません」
俺の言葉にエメラダ様の顔が真っ赤に染まった。
「――え、ええええええええと。そ、そうね……今度からは、気をつけないと駄目ですよ?」
「はい!本当にありがとうございます。つかぬ事をお伺いしますが……」
「なんですの?」
「俺みたいな症状の人はどうやって回復させたのですか?」
俺の言葉にエメラダ様は、唇に指先を当てると体をワナワナとさせ始めた。
彼女の様子から見るに、どうやら聞いてはいけない内容だったようだ。
エメラダ様は唇にあてたまま、潤んだで俺を見つめてきた。
「――そんな事言える訳ありませんの!」
どうやら余程、重要な回復魔法だったというか、彼女にとって触れられたくない事柄だったらしい。
  地面に転がっていた俺は頭を踏みつけられた。
そして、エメラダ様は顔を真っ赤にしたまま走り去って行ってしまった。
その後、、魔法の後遺症で満足に動かせなかった体を動かせるようになったのは、30分後だった。
体が動かせるようになった俺は、堀の方へ進んで行き地面に手をつく。
先ほどは、全体的に堀全体の水を停止しようとしたが、今回は同じ轍を踏むことをしない。
範囲を指定して魔力が尽きないように発動をさせる。
《極少限定範囲水流停止》の魔法を発動させる。
すると、見ていた内堀の水の一部の流れが緩やかになる。
それに伴い、俺の魔力が少しづつ回復していくのを感じる。
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20
コメント
ウォン
放置してたらだんだんはやくなったのでは?
白石 ナス
水流が40から50に上がったのはミスなんかな?