お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話

ただのものかき

羽月…そろそろ兄離れしないと…

「えへへ~♪お兄ちゃんとお散歩デート♪」
「羽月…俺、羽月のお兄ちゃんなんだから…デートっていうのも、おかしいよ」
「なんで?だあ~い好きなお兄ちゃんとお出かけだもん。わたしには、デートなの」
「…羽月は…お兄ちゃんとデート、なんて、恥ずかしくないの?」
「なんで?ぜ~んぜん恥ずかしくないよ?それどころか、す~っごく嬉しいもん」
「…そう…」

その丸みを帯びた、華奢で小さな左肩に、父へのお届けものである弁当の包みを入れたバッグをかけ…
一路、父の会社を目指して歩いていく涼羽。

その涼羽の右隣で、兄である涼羽の右腕を自分の身体に引き寄せるようにべったりとくっつき…
本当に幸せそうで、嬉しそうな笑顔を惜しげもなく晒しながら、兄と共に父の会社を目指して歩いていく妹、羽月。

兄である涼羽と一緒にお出かけ…
それだけなのに、まるで絶対に離れたくない恋人とのデートのように振舞おうとする羽月。

そんな羽月に、涼羽はたじたじとしながらも…
自身にとっては可愛い妹である羽月の好きにさせている。

ただ、言葉ではそれはおかしい、とは言ってはみるものの…
超がつくほどの兄ラブな…
筋金入りのブラコン妹である羽月にとっては…

兄とのこうしたお出かけは、この世で一番素敵な恋人とするデートなのだと、言ってはばからない。

高校生の男子としてはかなり小柄で…
同年代の女子の平均身長とほぼ変わりない涼羽よりも、さらに頭ひとつほど小柄な羽月。

涼羽の肩に頭を寄せて、その両腕でぎゅうっと、兄の右腕を抱きしめ…
もう絶対に離さない!!と言わんばかりに、兄、涼羽にべったりとくっついてくる。

来年には高校生になる妹が、兄とデートなんて嬉しいの?と聞いてはみるものの…
それを言葉にしなくても分かるほどに幸せそうで嬉しそうな笑顔を向けて…
すっごく嬉しい、などと言ってくる妹、羽月に…
もはや何も言えなくなってしまう兄、涼羽なのであった。

ただ、相変わらず当人である涼羽自身は無自覚なのだが…
腰の上まで真っ直ぐに伸びた、艶のいい黒髪。
丸みを帯びた、幼げな印象の輪郭に、ぱっちりとした、二重瞼にバサバサ睫の大きな瞳。
透き通るように白く、きめ細かい美しい肌。
全体的に丸みを帯びた、スリムでスレンダーなボディライン。

クラスの女子達が本当に心奪われ…
それでいて、常にうらやましく思っているほどの…
本当に童顔で可愛らしい美少女な容姿。

加えて、妹、羽月がそれに輪をかけて幼い印象の可愛らしい美少女。

周囲から見れば、そんな美少女達がこんな風に仲睦まじく歩いている様子は…

「(うわ~…めっちゃ可愛いな~…あの二人…)」
「(あの娘達、姉妹かな?ちっちゃい方の娘…妹ちゃん?が本当にお姉ちゃんのこと、大好きなのね)」
「(あんな可愛い妹ちゃんにあんなにべったりとされて…ちょっと困った感じのお姉ちゃんがまた可愛い!!)」
「(小学生と、中学生くらいの姉妹なのかな?二人とも可愛すぎて、ぎゅってしたくなっちゃう!!)」

と、まあ…
こんな風に、誰が見ても幼げな美少女姉妹にしか見えない、という状態。

二人とも母親譲りの可愛らしい顔立ちで…
異性の兄妹であるにも関わらず、そっくりと言えるほどよく似た造りであるため…
周囲から見れば、十人中十人が姉妹だと思ってしまう。

つまり、微塵も兄と妹のいちゃらぶデートだとは、思うはずもないのだ。

以前に商店街への買い物でお出かけした時は…
兄、涼羽も妹、羽月とお揃いの女子の制服で女装してのお出かけだったが…

今回は、お互いに普段から好んで着ている服装でのお出かけ。
にも関わらず、結局は女の子同士、姉と妹にしか見えない状態となっている。

「(あ!あの娘達、前に商店街の方で見かけた…)」
「(そうだ!お揃いの制服着て、今みたいにめっちゃべったりしながら歩いてた…)」
「(あの超がつくほどの美少女姉妹じゃね!?)」
「(そうだよ!あの胸が残念だけどめっちゃお母さんみたいで可愛いお姉ちゃんと、めっちゃ甘えん坊でロリ可愛い妹ちゃんだよ!)」

そして、自宅の近所を通りかかるため…
当然、商店街の近くを通ることになる。

以前、一緒に出かけた時に、結構な数の写真を撮られていることもあり…
涼羽と羽月の容姿は、この町内では多くの人に知られることとなっている。

そのため、あの時とは服装も全く違い…
印象も少し変わってはいるものの…
その顔立ちまでは変わることがないため…
しかも、一度見たら忘れることはない、と断言できるほどの美少女なので…

すぐに、以前に二人を見かけたことのある人は、今こうして仲睦まじく歩いている二人が…
あの時の美少女姉妹であることに気づいたようだ。

しかも、あの時の写真が、さすがにインターネット上で出回ることはないものの…
割と、その時撮影に成功した人間から、その友人知人に出回っていってしまっていることもあり…

あの時実際に見てはいなくても、その写真の美少女と同一人物であるということが分かってしまう。
そして、そういう人間が、今この町内で非常に多くなっている。

いわば、この町内でちょっとした時の人、とでもいうべき扱いとなっており…
この二人の美少女姉妹を見たいがために、用もないのに商店街の周辺をうろついている人間が多発してしまうほどの状況となってしまっている。

「(ああ~…あの時の美少女姉妹ちゃん達がまたこうして見れるなんて…)」
「(いくら女の子同士だからって、べったりしすぎじゃね?ってくらいのいちゃらぶっぷりも、相変わらずいい!!)」
「(もうマジでなんなのあの二人!?可愛すぎて、めっさお持ち帰りしたくなるっつーの!!)」

当人である涼羽と羽月がまるで知る由もなく…
当人達の知らない間に、隠れファンが急増していっている状態。

にも関わらず、二人に声をかけようとする人間が一人も出てこないのは…

この二人の仲睦まじいやりとりを眺めているだけで、本当に幸せな気分になれるから。
この二人の幸せを壊すような無粋な真似は、自分達の幸せを壊すことにもなるから。

という、変に急増しているファン達の間での、暗黙の了解が成立してしまっているから。

その辺は、『Yes、ロリータ!!No、タッチ!!』という…
そんな感じの、非常に紳士的な趣旨からなるファン心理の浸透とでもいうのだろうか。

とにかく、自分達が変に介入して、あの微笑ましいいちゃらぶを壊さないように…
まさに、その一念で、この均衡が保たれている、と言えよう。

「えへへ~♪お兄ちゃん♪」

周囲がそんな風に自分達を温かく見守ってくれている中…
まさに幸せのおすそ分けをするかのように…

その幸せと喜びに綻んでいる満面の笑みをさらに綻ばせながら…
兄、涼羽の身体にべったりと抱きつき…
その胸に顔を埋めて、思う存分に兄に甘えてくる羽月。

「お兄ちゃん、だあい好き♪この世で一番愛してる♪」

兄である涼羽がアルバイトを始めてから、最愛の兄と触れ合える時間が減ってしまっている。
その為、こうして兄と一緒にいられる時は、以前よりもさらにべったりと甘えてくるようになった羽月。

加えて、こうして言葉でもひたすらに兄への愛情をよりぶつけるようになっている。

もう何度繰り返したか分からないその言葉。
もう何度ぶつけたか分からないその言葉。

とにかく、妹である自分が、どれほどに兄である涼羽のことが好きで好きでたまらないのか…
どれほどに、兄である涼羽のことが愛おしくて愛おしくてたまらないのか…

触れ合える時間が減った分、なおさらに膨れ上がってくる兄への想い。
それを、余すことなくぶつけていくようになってしまっている羽月。

「…羽月ったら、そんなに何回も言わなくても、分かってるよ?」
「だあめ♪お兄ちゃんは他の人達にもす~っごく好かれてるんだから」
「…別に、そんなことはないと思うんだけど…」
「そんなことあるの!!お兄ちゃん、自分がどれだけ周りの人から愛されてるのか、まるで自覚ないんだもん!!」
「え~…そうかなあ…」
「そうなの!!だから、お兄ちゃんには、わたしが一番お兄ちゃんのことが大好きで、愛してるって、めっちゃくちゃにアピールしないとだめなんだもん♪」

その童顔美少女な素顔を晒すようになってからというものの…
以前のような真剣を突きつけられるかのようなとっつき辛さがなくなり…
本当の意味で、誰からも愛されるようになっている涼羽。

穏やかで、優しくて…
それでいて、清楚で恥ずかしがりやで…
ちょっと可愛がったりしただけで、すぐに顔を赤らめてしまうほどに、愛されるのが苦手で…

そんな涼羽の本質が、日に日に晒されていっている今日この頃。

実際、羽月の中学でも、涼羽のファンクラブが存在してしまっているような状態なのだ。
それも、涼羽がその美少女顔を晒す前から。

大好きで大好きでたまらないお兄ちゃんを独り占めしたい羽月の懸命な努力で…
どうにか、兄妹で思う存分にいちゃらぶできる自宅の住所をひた隠しにしている状況で…

そのおかげで、涼羽のファンクラブである、『羽月ちゃんのお兄ちゃんに甘え隊』のメンバーから…
兄との触れ合いの時間を死守できているのだ。

以前、羽月の親友である佐倉姉妹が自宅に訪れてからというものの…
羽月の家に遊びに行こうとする、ファンクラブのメンバーが後を絶たない状況なのだ。

佐倉姉妹が高宮家を訪れ、実際に涼羽に甘えることのできた体験をメンバーに情報提供し…
さらには、実の妹である羽月が、どれほどに兄である涼羽に幸せそうに甘えているのか…
そして、兄である涼羽が、どれほどに嬉しそうに妹である羽月を甘えさせているのか…
それらを、余すことなく情報展開したことにより…
他のメンバー達も、自分もそんな風にあの可愛すぎるお兄ちゃんに甘えたい、という思いでいっぱいになってしまった。

なので、以前の佐倉姉妹と同じように、羽月の後をつけて高宮家の場所を探ろうとするメンバーが後を絶たず…
一度、それをやられたことにより、そのことに関する警戒心が異様に敏感になっている羽月は…
自宅に帰る時は、そそくさと、誰にも見られないように帰るくせが身についてしまった。

今では、常に涼羽のファンクラブのメンバーと、羽月との壮絶な鬼ごっこが…
羽月の通っている中学の放課後に、暗黙の了解で行われるようになっている。

ちなみに、実際に行った事のある佐倉姉妹から正確な場所を聞きだす、という手段を…
当然ながらメンバー達は最初に行使したのだが…
佐倉姉妹は、それは自分達が努力をして得た結果である、ということで…
その情報に関しては、完全に自分達のものとし、展開を拒否している状況なのだ。

確かに、その情報は彼女達が何日も何日もかけて放課後、羽月の後をつけていって…
失敗に失敗を繰り返しながらも、ようやっとの思いで得ることのできたものなのである。

人が自ら努力して得た成果を、簡単に譲ってほしい、などというのは言語道断。
その辺は、メンバー達も痛感しているため…
結局のところ、佐倉姉妹から高宮家の住所が展開される、ということはない状況である。

ゆえに、自分達でそれを手に入れるしかない、と一念発起したメンバーの女子達が…
とにもかくにも、羽月の後をつけていって、実際に自分の足で割り出すしかないと…
壮絶な鬼ごっこを、ターゲットである羽月と繰り広げている今日この頃なのだ。

しかし、羽月の方も、最愛の兄との触れ合いの時間がかかっているとなると、全力でそれに対して抵抗し…
ついてこられている、と思ったら、いつもと違うルートを歩いたり…
兄がアルバイトで、今までよりも帰りが遅くなっていることを逆に利用して…
普段なら絶対に立ち寄らないであろう、書店や雑貨店などに入って、時間をつぶしつつ、メンバーの尾行を回避したり…
時には、以前兄である涼羽と共に買い物に出かけた時にいった、若江精肉店の方に助けを求め…
店主である、若江 京子にしばらくの間、匿ってほしいと、可愛らしくお願いをしたり、など…
とにかく、自分の家の場所を他の女子達に知られまいと、毎日頑張っているのだ。

京子としては、もう自分の中で涼羽と並んでトップに入る可愛い子である羽月に…
そんな風に可愛らしく、甘えるようにお願いされては…
もう、その整った美人な顔を盛大に緩ませて、二つ返事で了承してしまう。

もちろん、羽月が尾行をやり過ごすまでのちょっとの間と、やり過ごしてからの少しの時間…
見返りとして、羽月を思う存分に可愛がらせてもらったりしている。

そのおかげで、京子はその度に艶々と、満たされた感じになり…
最近では、なんだかますます綺麗になりましたね、と…
若江精肉店を利用するお客様の方々に、言われるようになっている状態だ。

そして、京子のお決まりの台詞として――――



――――今度は、涼羽ちゃんと一緒に来てね――――



――――と、羽月がそこを出て行く際に必ず口にする。

まあ、涼羽に関しては普通に肉類を買うときは必ずここを訪れるので…
その時に思う存分に可愛がってしまうのだが。

それでなくても、日に日にその可愛らしさが増していっている感のある最近の涼羽に対しては…
もう顔をトロトロに緩ませて、めちゃくちゃに可愛がってしまう、そんな状態である。

「ん~♪」

もはや、天にも昇る、といった感じの、本当に幸せそうな笑顔を惜しげもなく晒しながら…
ひたすらに、兄である涼羽にべったりと抱きついたまま、兄と一緒に歩き続ける羽月。

ただこれだけのことなのに、こんなにも幸せな表情を見せる妹を見て…
思わず、くすりと笑ってしまう涼羽。

中学生にしては結構、といった感じで育っている…
今は亡き母親譲りの、存在感のある胸を、思う存分に兄の右腕にくっつけながら…
自身も、兄の華奢で女の子のような身体の感触を思う存分に堪能する羽月。

「お兄ちゃん、大好き♪」
「羽月ったら…そんなにべったりしてて、暑くない?」
「ん~ん、ぜんぜん♪もっと、お兄ちゃんとこうしてたいもん♪」
「いつまでも、こんなんじゃだめだよ、羽月」
「や。お兄ちゃんとべったりできなくなるなんて、絶対にや」
「羽月…羽月ももうすぐ高校生なんだから、そろそろ兄離れしないと…」
「や!そんなこというなんて、お兄ちゃんの意地悪!」
「い、意地悪なんかじゃ…」
「そんな意地悪なこと言ってくるお兄ちゃんなんて、絶対に離してあげないんだから!」

来年には高校生になるにも関わらず…
いつまでたってもお兄ちゃん子で、筋金入りのブラコンな妹に対し…
割と最近は、兄離れを促すことを言っている涼羽。

しかし、その度にこんな風に羽月がことごとく抵抗することとなり…
しかも、涼羽が兄離れを促すことを言ってきた時は、その言葉に全力で抵抗する意思表示として…
逆に、もっともっとといった感じで、よりべったりと兄に抱きついて、離れようとしなくなる。

今も、こうして羽月の腕が涼羽を離さないようにがっちりと…
そして、べったりと抱きしめて離さない。

そんな妹、羽月に、涼羽は困ったような表情をその顔に浮かべながら…
ただただ、妹にされるがままとなっている。

「お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんなんだから、ず~っとわたしと一緒にいるの!」
「は、羽月…」
「だから、お兄ちゃんがそんなこと言うのなんて、や!」
「で、でも…」
「やだったらやなの!お兄ちゃん、大好きだもん!」
「…はあ…」

もう、ただただ兄と共にいたい…
その思いひとつで、こうして兄、涼羽のことをぎゅうっと抱きしめて離さない妹、羽月。

本当に甘えん坊で、本当に兄のことが大好きで大好きでたまらなくて…
本当に必死になって、ひたすらに兄、涼羽にべったりとしてくる。

そんな妹に、非常に困った感じで溜息をひとつつきながら…
ついつい、その頭を優しく撫でてしまう涼羽。

「!えへへ~♪お兄ちゃんお兄ちゃん♪」

それだけで、本当に幸せそうな笑顔を浮かべ…
さらに兄、涼羽にべったりと甘えてくる羽月。

やはり、こんな風に甘えてきてくれる妹が、なんやかんや言いながらも可愛らしく思えてしまう涼羽。
こんなことで、こんなにも幸せそうな顔をして、目いっぱい甘えてきてくれるのなら…
いくらでも、してあげたくなってしまう。

兄離れを促してはいるものの…
結局のところ、こうして妹を目いっぱい包み込んで、甘えさせてしまうのだから…
兄離れするどころか、逆にもっともっと羽月が兄に懐いて離れなくなってしまう。

これじゃあ、逆効果なのに…
これじゃあ、いつまでたっても妹が兄である自分から離れられなくなっちゃうのに…

そう思いながらも、どうしても、心を鬼にして妹を突き放すことができないでいる涼羽。
その溢れんばかりの母性と優しさが、どうしても涼羽にそれをさせてくれない。

「(いつまでもこんなんじゃ、だめだって分かってるのに…)」

それでも、可愛い妹がこんなにも幸せそうで嬉しそうな満面の笑みを浮かべてくれるのが…
涼羽自身、本当に嬉しくて、どうしても突き放すことができない。

そのくらい、涼羽も妹である羽月を可愛がっており…
甘えてきてくれることに、本当に幸せを感じてしまっているのだ。

「お兄ちゃん♪」
「?なあに?羽月?」
「これからもず~っと、わたしだけのお兄ちゃんでいてね?」
「?そりゃあ、羽月のお兄ちゃんは、俺だけだよ?」
「えへへ♪だから、ず~っとそばにいてね♪お兄ちゃん♪」
「…羽月…」

もう、羽月には兄離れする意思などかけらも見えることなどなく…
逆に、これからもずっとそばにいてほしい、と…
本気で、そう思っている。

それをそのまま表す言葉を兄、涼羽にぶつけ…
何が何でも、涼羽のそばにいることを約束させようとしてくる始末。

妹にずっと抱きしめられているその右腕からは…
妹の年の割には大きい胸の柔らかな感触がずっと、伝わってきている。

それに動揺や欲望を感じることなど、微塵もない涼羽ではあるのだが…
それでも、血を分けた肉親であるとはいえ、異性である自分に対してこれでは…
いささか、無防備すぎるのではないか、とは思ってしまう。

思うのだが、常日頃から自身にべったりと抱きついてきていることから…
それも、まあ仕方ないのかな、で済ませてしまう涼羽。

それに、内心そんな妹に困ってはいるのだが…
それでも、こんな感じで妹にひたすらに求められていると…
自然とその顔に、優しい笑顔が浮かんでくることに、まるで自覚のない涼羽。

そんな優しい笑顔を可愛い妹である羽月に無意識のまま、向け続け…
羽月も、そんな笑顔を自分に向けてくれる兄、涼羽に本当に幸せそうな笑顔を崩さない。

そんな、仲睦まじい兄妹のやりとりを…
まるで、周囲の人々に、その幸せをおすそ分けするように見せながら…

二人は、父の就業している会社へと、一歩一歩、その足を進めていくのであった。

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