Creation World Online
102話
3界層『シラクサの森・郊外』シュウパーティー、パーティーホーム。
暗い地下通路の魔法陣が輝くと、黒色のローブを着た人物が現れる。
フードを目深に被っているため、その顔は見えないが身体つきから見てどうやら女性のようだった。
彼女が魔法陣から一歩踏み出すと、突然警報が鳴り、壁が剥がれる。
剥がれた壁の様に見えたものはゴーレムであり、侵入者捕縛用のトラップだった。
ゴーレムは、侵入者を捉えるべく女性に突進する。
しかし、ゴーレム達が女性に触れようとした瞬間、女性の姿がぶれ、まるで瞬間移動したかのようにゴーレムの背後に現れる。
再度ゴーレム達は女性を捕まえようと振り返り、そのまま崩壊した。
「ふふっ、まあこんなものかしら」
そう笑って靴を鳴らしながら歩き始めた女性の両の手には、ゴーレムの核である魔石が握られていた。
☆
錆びた音を立てて牢屋の扉が開くと、その音に反応して鎖に繋がれた男─クレートが顔を上げる。
「やあ、まさか君がここに来てくれるとはネ。さあ、早く出してくれヨ。ここは寝心地が悪いンダ」
「あら?あなた何か勘違いしてないかしら?」
「はっ?何…を…。ゴフッ…」
言葉を言い終わる前にクレートは胸を押さえ倒れる。
「ごめんなさいねえ?これが命令なのよ」
そう言って笑う女性の手には、ドクドクと脈打つ心臓が握られていた。
女性はそれに向かって指を入れると、グリグリと穿る。
「ぐぅ…ぐぁ、ぐぅううう!」
「痛い?ごめんなさいねえ?うん、あった」
ズボッと赤い糸を引いて引き抜かれた指には、小指の爪程の大きさの黒い結晶がつままれていた。
女性はそれを大事そうにアイテムボックスに仕舞うと、倒れているクレートの前に屈む。
「最後にボスの言葉を伝えるわね。『お前は用済みだ。消えろ』だって、それじゃ、確かに伝えたわよ」
そう言って女性はもう用はないと言わんばかりに、右手に握っていた心臓を握り潰す。
すると、クレートが死亡エフェクトである光の粒子に包まれ、消えていった。
女性は満足そうに頷くと、返り血に濡れたまま牢屋を立ち去り、最後に残されたのは血に汚れた牢屋だけだった。
☆
「やられたな」
血に汚れた空っぽの牢屋を見て俺はそう呟く。
破壊された侵入者捕縛用のゴーレムの残骸、空になった牢屋、クレートはここで殺されたのだろう、それも恐らくだが【Slaughter Works】の手の者だな。
ただ、これだけ派手に痕跡を残しているなら…。
俺は床に散乱していたゴーレムの核の欠片を拾い上げると、【世界介入】の能力の1つである『過去像追跡』を発動する。
ゴーレムの核が光り輝き、ぼんやりとした人型が生み出されると、人型は地下から地上へ戻るための魔法陣に歩いて行く。
人型のマーカーがマップに表示されているのを確認して、牢屋に向き直る。
「…これは面倒だなぁ…。」
散らかり放題の地下を見て、姿すら知らない襲撃者に対する怒りを覚えるのであった。
「シュウく…うわっ、なんですかこれ」
「お、アンリ。丁度いい所に…おい、どこに行くんだ?」
回れ右をして出口に向かおうとするアンリに声を掛けると、その動きがピタリと止まる。
こちらに振り向いてにこりと笑ってアンリはこう言った。
「アンリは逃げ出した!」
「しかし回り込まれてしまった!」
駆け出そうとしたアンリの目の前に転移し、立ち塞がる。
「そんなに焦ってどこに行くんだよ。俺と清掃をしようぜ」
「嫌だ!絶対それ違う!ルピが多分間違ってます!」
ルピなんて言葉を覚えたのか…。あのアンリが…。
アンリの成長に感動していると、アンリの姿が視界から消える。裏マップに入ったなアイツ!
裏マップに入られたらもう発見は困難…なわけねえだろ!
「うぎゃああああ!?」
叫び声が聞こえると、空間に切れ目が走り、そこから軽く焦げたアンリが落下し、ビクンビクンと痙攣を始める。
あのアキラとかいうやつが気になることを言っていたからな、考えられる限りの対策をこの屋敷に施した。当然裏マップもその対象だ。
「さて、キリキリ働いて貰うぞー」
「ち…ちくしょう…です…」
アンリに【世界介入】でエリア移動制限の効果を付与し、掃除を開始することにしたのであった。
ま、取り敢えずアンリの回復から始めるかな。
暗い地下通路の魔法陣が輝くと、黒色のローブを着た人物が現れる。
フードを目深に被っているため、その顔は見えないが身体つきから見てどうやら女性のようだった。
彼女が魔法陣から一歩踏み出すと、突然警報が鳴り、壁が剥がれる。
剥がれた壁の様に見えたものはゴーレムであり、侵入者捕縛用のトラップだった。
ゴーレムは、侵入者を捉えるべく女性に突進する。
しかし、ゴーレム達が女性に触れようとした瞬間、女性の姿がぶれ、まるで瞬間移動したかのようにゴーレムの背後に現れる。
再度ゴーレム達は女性を捕まえようと振り返り、そのまま崩壊した。
「ふふっ、まあこんなものかしら」
そう笑って靴を鳴らしながら歩き始めた女性の両の手には、ゴーレムの核である魔石が握られていた。
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錆びた音を立てて牢屋の扉が開くと、その音に反応して鎖に繋がれた男─クレートが顔を上げる。
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「あら?あなた何か勘違いしてないかしら?」
「はっ?何…を…。ゴフッ…」
言葉を言い終わる前にクレートは胸を押さえ倒れる。
「ごめんなさいねえ?これが命令なのよ」
そう言って笑う女性の手には、ドクドクと脈打つ心臓が握られていた。
女性はそれに向かって指を入れると、グリグリと穿る。
「ぐぅ…ぐぁ、ぐぅううう!」
「痛い?ごめんなさいねえ?うん、あった」
ズボッと赤い糸を引いて引き抜かれた指には、小指の爪程の大きさの黒い結晶がつままれていた。
女性はそれを大事そうにアイテムボックスに仕舞うと、倒れているクレートの前に屈む。
「最後にボスの言葉を伝えるわね。『お前は用済みだ。消えろ』だって、それじゃ、確かに伝えたわよ」
そう言って女性はもう用はないと言わんばかりに、右手に握っていた心臓を握り潰す。
すると、クレートが死亡エフェクトである光の粒子に包まれ、消えていった。
女性は満足そうに頷くと、返り血に濡れたまま牢屋を立ち去り、最後に残されたのは血に汚れた牢屋だけだった。
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血に汚れた空っぽの牢屋を見て俺はそう呟く。
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ただ、これだけ派手に痕跡を残しているなら…。
俺は床に散乱していたゴーレムの核の欠片を拾い上げると、【世界介入】の能力の1つである『過去像追跡』を発動する。
ゴーレムの核が光り輝き、ぼんやりとした人型が生み出されると、人型は地下から地上へ戻るための魔法陣に歩いて行く。
人型のマーカーがマップに表示されているのを確認して、牢屋に向き直る。
「…これは面倒だなぁ…。」
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「お、アンリ。丁度いい所に…おい、どこに行くんだ?」
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「アンリは逃げ出した!」
「しかし回り込まれてしまった!」
駆け出そうとしたアンリの目の前に転移し、立ち塞がる。
「そんなに焦ってどこに行くんだよ。俺と清掃をしようぜ」
「嫌だ!絶対それ違う!ルピが多分間違ってます!」
ルピなんて言葉を覚えたのか…。あのアンリが…。
アンリの成長に感動していると、アンリの姿が視界から消える。裏マップに入ったなアイツ!
裏マップに入られたらもう発見は困難…なわけねえだろ!
「うぎゃああああ!?」
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コメント
ノベルバユーザー298861
ルピってルビのことですかね?