Creation World Online
85話
それから2日後、俺達は第86界層の攻略に参加していた。
攻略リーダーであるキョウラクの指示の元、大した事故もなくボス部屋の前に辿り着いていた。
ちなみにその事故も、俺達に絡んできたプレイヤーへの俺からの細やかな仕返しだったりする。
「やあシュウ君。久しぶりだね」
「ん?ああ、キョウラクか。悪いな急に参加して」
俺がそう言うと、キョウラクが何かを察したように笑う。
「彼らのことは気にしなくていいよ。前々から態度が悪いって他のプレイヤーからも苦情が出てたし」
爽やかに笑うキョウラク。なんだこいつめちゃくちゃイケメンだな。
「きゃっ!?」
その時、アンリの叫びが聞こえる。
見てみれば俺が仕返しをしたプレイヤーが、懲りずにアンリ達に絡んでいた。見たところ、一緒にいた男プレイヤーが居ないみたいだな…。
近寄ってみると何やら言い合いをしているようだった。
「いきなりなんなんですか?」
「あんた調子に乗ってんじゃないわよ!」
そう言って絡んでいた女性プレイヤーはアンリを突き飛ばす。
はぁ…なんで絡まれてんだよ。やっぱり事故を装って崖から落とすだけじゃ足りなかったのか?
「痛ぁ…なにするんですか!」
「だいたいあんたなんなのよ!なんで【鬼畜】と一緒に居るわけ!?それにキョウラク様や上位プレイヤーと仲良いとか…なんなの!?当てつけ!?」
おっと、俺の名前が出て来たぞ。
話を聞く限り上位のプレイヤー達に憧れでもあるんだろうな。最初に絡んで来た時も似たようなこと言ってたし。
仕方ない、仲裁に行くか。
「はいそこまで、ストップストーップ」
「何よっ!…って【鬼畜】!?」
俺の姿を見て女は驚いたようだった。
「それで、俺のツレが何か?」
「ねえ、【鬼畜】さん」
俺の問い掛けは無視かよ。
女が科を作って話しかけてくる。
「【鬼畜】さんのパーティーに私を入れてくれない?」
「それで…お前をパーティーに入れる利点は?」
見たところ大して戦力になりそうもないんだが…。攻略に参加している以上多少は戦えるんだろ。
「回復アイテムとか持つし、モンスターのドロップアイテムも預かるわ!」
なんだ、ただの役立たずか。話にならないな。
「だから_」
「必要ない」
「えっ」
「悪いが、お前に興味すらない。とっとと失せろ。アンリ、行くぞ」
最早興味を失った目の前の女プレイヤーにそう言い放つと俺は踵を返す。
「キィイイイ!なんなのよ!お前のせいだ!」
「うわっ!?やめっ、やめてくださ…ぐぅ…!」
後ろを振り向くと、鬼の形相でアンリの首を絞める女の姿があった。
俺は助走をつけると、女の頭を思い切り蹴り飛ばす。
ものすごい勢いで飛んで行ったが、体術系スキルは取って居ないので恐らく大したダメージにはならないはずだ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「大丈夫か?」
「は、はい…」
涙目になりながら咽せるアンリを見て、俺のイラつきは最高潮に達した。
もう一発殴ろうと、女が飛んで行った方向を見れば女のパーティーメンバーらしきチャラ男魔導師と筋肉ムキムキの戦士が女を守るようにして立っていた。
「あのさー、女の子の顔殴るなんてサイテーじゃない?2年前までプレイヤー最強だったかなんだか知らないけどさ、調子乗ってんじゃねえぞ?」
そう言ってチャラ男が俺の肩を軽く小突く。
正直鬱陶しかったので【世界介入】でチャラ男の足元に穴を空けると、間抜けな声を上げながら落下して行く。
「痛ぇな!何するんだよ!」
「黙れ。そうだな…お前は錬金術の目標って何か知ってるか?」
俺の問い掛けにチャラ男は「何言ってんだこいつ」という表情を向ける。
錬金術の目標、一般的に言われるのは卑金属を黄金に変える、そしてもう1つ、それは生命の錬成。
「今回はそんな錬金術の目標に則ってみようか」
「さっきから何をわけわかんねーことを_」
「えいっ」
チャラ男の言葉を遮って俺は小指の爪程のサイズの結晶を投げ入れる。
結晶が地面に落ちて割れると、そこには一体のドロドロとした物体が現れる。
ドロドロとした物体は緩慢な動きでチャラ男に襲いかかる。
「なっ!【バーンフレア】!」
チャラ男が魔法を放つとドロドロの物体は苦しそうに身体をよじらせて光の粒子に変わる。
「おー、流石だな」
「テメェ…どういうつもりだ!」
チャラ男が怒りの表情を向ける。
怒る理由はなんとなくだがわかる。
だが敢えておちょくってみるか。
「どういうつもりも何もそのままの意味だろ。お前の相手はそれで充分だって事だよ」
「スライムなんて雑魚で俺と戦おうってのか!?舐めてんだろ!」
スライム、水に属性石、又は何も入れずに錬金すると完成する錬金生物。
同じ錬金生物であるキマイラなどに比べて全てにおいて脆弱で、駆け出しの錬金術師が初めに作る従魔だったりする。
穴をあけて閉じ込めてまでしてスライムのみを投入する。
舐めていると言われても仕方のない事だろう。
「スライム1匹だけじゃなくてお前も降りてこい!」
「ん?誰が1匹なんて言った?」
アイテムボックスから大量の結晶を取り出す。
俺の手元を見てチャラ男は面白い顔をする。
いい間抜け面だな。
「まあ、楽しめよ」
「え、ちょ、まっ_」
「そーれ」
俺の手からバラバラと結晶が零れ落ちる。
その後、なんとかスライムを魔法で凌いでいたチャラ男だったが、どんどんと追加していくと物量の差で処理が間に合わず、魔力切れを起こしてあっという間にスライムに飲みこまれるのであった。
☆
「で、まだやる?」
チャラ男にトラウマを植え付けた後、俺は残りの2人に問い掛ける。
チャラ男は自分の身体を抱いて、ブツブツと壊れたように何かを呟きながら怯えていた。
まあ、穴という穴にスライムが入り込もうとしてきたらトラウマにもなるよな。
「どうするんだよオイ。ないならそいつ殴らせてもらうからな」
「くっ…!うぉおおお!」
俺が一歩足を踏み出すと、筋肉男が殴り掛かってくる。
さて、躱してもいいんだが…。ステータスを試すのに丁度いいかもな。
俺は敢えてそれを避けずに、掌でガードする。
「グヌヌヌヌヌ…!」
「おいおい、どうしたんだよ。もっと力入れろよ」
筋肉男が力一杯押すが、俺の身体はピクリとも動かない。
まあ、こんなもんか。実験も終わったしコイツも要らないな。
そして未だにピクリとも動かせない筋肉男の肘に反対の手を添えると、火スキル『炎圏』を発動すると、筋肉男の肘が一瞬で炭化して腕がポロリと取れる。
一瞬ポカンとした表情を見せた筋肉男は、次の瞬間には炭化した部分を抱いて大声で喚き始める。
あまりにも煩いので筋肉男の口に奪い取った右腕を押し込んでやった。
「さて、と。邪魔者はいなくなった。そろそろ終わりにしようか」
「ヒィっ!」
各種スキルを発動すると、俺の右腕が属性を纏ったり、発光したり、鋼のようになったりと次々に変化していく。
そして、完全に強化が終わった俺は女の顔面めがけて拳を振り下ろした。
しかし、その拳は女の頭部を爆散させる事なく、なにか硬いものによって防がれる。
見てみれば、ギリギリのところで飛び込んだキョウラクの盾だった。
「シュウ君。落ち着くんだ」
「…すまない。やり過ぎた」
完全に我を忘れていたな。俺の悪い癖だ。
女を見ればビビり上がってしまったらしく、その足元に湯気を立てる水溜りを作って失神していた。
そういえばアンリは無事なのだろうか。
後ろを振り向くとそこには_
「大丈夫かい?」
「立てる?手を貸そうか?」
「アンリちゃんこっち向いて!」
などと男女関係なく心配されているアンリの姿があった。
俺の視線に気づいたプレイヤー達は次々に顔を背ける。
「おい【鬼畜】がこっち見てるぞ。絶対に目を合わすな!」
「目を合わしたらスライム責めにされるぞ!」
「全部聞こえてるからなー?」
「「!?」」
小声で話してたつもりなんだろうけど、丸聞こえなんだよ。
その後、コソコソと話し合っていたプレイヤー達をスライム責めにして、土下座をさせた俺は新たなる伝説を刻んだとか刻んでないとか。
攻略リーダーであるキョウラクの指示の元、大した事故もなくボス部屋の前に辿り着いていた。
ちなみにその事故も、俺達に絡んできたプレイヤーへの俺からの細やかな仕返しだったりする。
「やあシュウ君。久しぶりだね」
「ん?ああ、キョウラクか。悪いな急に参加して」
俺がそう言うと、キョウラクが何かを察したように笑う。
「彼らのことは気にしなくていいよ。前々から態度が悪いって他のプレイヤーからも苦情が出てたし」
爽やかに笑うキョウラク。なんだこいつめちゃくちゃイケメンだな。
「きゃっ!?」
その時、アンリの叫びが聞こえる。
見てみれば俺が仕返しをしたプレイヤーが、懲りずにアンリ達に絡んでいた。見たところ、一緒にいた男プレイヤーが居ないみたいだな…。
近寄ってみると何やら言い合いをしているようだった。
「いきなりなんなんですか?」
「あんた調子に乗ってんじゃないわよ!」
そう言って絡んでいた女性プレイヤーはアンリを突き飛ばす。
はぁ…なんで絡まれてんだよ。やっぱり事故を装って崖から落とすだけじゃ足りなかったのか?
「痛ぁ…なにするんですか!」
「だいたいあんたなんなのよ!なんで【鬼畜】と一緒に居るわけ!?それにキョウラク様や上位プレイヤーと仲良いとか…なんなの!?当てつけ!?」
おっと、俺の名前が出て来たぞ。
話を聞く限り上位のプレイヤー達に憧れでもあるんだろうな。最初に絡んで来た時も似たようなこと言ってたし。
仕方ない、仲裁に行くか。
「はいそこまで、ストップストーップ」
「何よっ!…って【鬼畜】!?」
俺の姿を見て女は驚いたようだった。
「それで、俺のツレが何か?」
「ねえ、【鬼畜】さん」
俺の問い掛けは無視かよ。
女が科を作って話しかけてくる。
「【鬼畜】さんのパーティーに私を入れてくれない?」
「それで…お前をパーティーに入れる利点は?」
見たところ大して戦力になりそうもないんだが…。攻略に参加している以上多少は戦えるんだろ。
「回復アイテムとか持つし、モンスターのドロップアイテムも預かるわ!」
なんだ、ただの役立たずか。話にならないな。
「だから_」
「必要ない」
「えっ」
「悪いが、お前に興味すらない。とっとと失せろ。アンリ、行くぞ」
最早興味を失った目の前の女プレイヤーにそう言い放つと俺は踵を返す。
「キィイイイ!なんなのよ!お前のせいだ!」
「うわっ!?やめっ、やめてくださ…ぐぅ…!」
後ろを振り向くと、鬼の形相でアンリの首を絞める女の姿があった。
俺は助走をつけると、女の頭を思い切り蹴り飛ばす。
ものすごい勢いで飛んで行ったが、体術系スキルは取って居ないので恐らく大したダメージにはならないはずだ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「大丈夫か?」
「は、はい…」
涙目になりながら咽せるアンリを見て、俺のイラつきは最高潮に達した。
もう一発殴ろうと、女が飛んで行った方向を見れば女のパーティーメンバーらしきチャラ男魔導師と筋肉ムキムキの戦士が女を守るようにして立っていた。
「あのさー、女の子の顔殴るなんてサイテーじゃない?2年前までプレイヤー最強だったかなんだか知らないけどさ、調子乗ってんじゃねえぞ?」
そう言ってチャラ男が俺の肩を軽く小突く。
正直鬱陶しかったので【世界介入】でチャラ男の足元に穴を空けると、間抜けな声を上げながら落下して行く。
「痛ぇな!何するんだよ!」
「黙れ。そうだな…お前は錬金術の目標って何か知ってるか?」
俺の問い掛けにチャラ男は「何言ってんだこいつ」という表情を向ける。
錬金術の目標、一般的に言われるのは卑金属を黄金に変える、そしてもう1つ、それは生命の錬成。
「今回はそんな錬金術の目標に則ってみようか」
「さっきから何をわけわかんねーことを_」
「えいっ」
チャラ男の言葉を遮って俺は小指の爪程のサイズの結晶を投げ入れる。
結晶が地面に落ちて割れると、そこには一体のドロドロとした物体が現れる。
ドロドロとした物体は緩慢な動きでチャラ男に襲いかかる。
「なっ!【バーンフレア】!」
チャラ男が魔法を放つとドロドロの物体は苦しそうに身体をよじらせて光の粒子に変わる。
「おー、流石だな」
「テメェ…どういうつもりだ!」
チャラ男が怒りの表情を向ける。
怒る理由はなんとなくだがわかる。
だが敢えておちょくってみるか。
「どういうつもりも何もそのままの意味だろ。お前の相手はそれで充分だって事だよ」
「スライムなんて雑魚で俺と戦おうってのか!?舐めてんだろ!」
スライム、水に属性石、又は何も入れずに錬金すると完成する錬金生物。
同じ錬金生物であるキマイラなどに比べて全てにおいて脆弱で、駆け出しの錬金術師が初めに作る従魔だったりする。
穴をあけて閉じ込めてまでしてスライムのみを投入する。
舐めていると言われても仕方のない事だろう。
「スライム1匹だけじゃなくてお前も降りてこい!」
「ん?誰が1匹なんて言った?」
アイテムボックスから大量の結晶を取り出す。
俺の手元を見てチャラ男は面白い顔をする。
いい間抜け面だな。
「まあ、楽しめよ」
「え、ちょ、まっ_」
「そーれ」
俺の手からバラバラと結晶が零れ落ちる。
その後、なんとかスライムを魔法で凌いでいたチャラ男だったが、どんどんと追加していくと物量の差で処理が間に合わず、魔力切れを起こしてあっという間にスライムに飲みこまれるのであった。
☆
「で、まだやる?」
チャラ男にトラウマを植え付けた後、俺は残りの2人に問い掛ける。
チャラ男は自分の身体を抱いて、ブツブツと壊れたように何かを呟きながら怯えていた。
まあ、穴という穴にスライムが入り込もうとしてきたらトラウマにもなるよな。
「どうするんだよオイ。ないならそいつ殴らせてもらうからな」
「くっ…!うぉおおお!」
俺が一歩足を踏み出すと、筋肉男が殴り掛かってくる。
さて、躱してもいいんだが…。ステータスを試すのに丁度いいかもな。
俺は敢えてそれを避けずに、掌でガードする。
「グヌヌヌヌヌ…!」
「おいおい、どうしたんだよ。もっと力入れろよ」
筋肉男が力一杯押すが、俺の身体はピクリとも動かない。
まあ、こんなもんか。実験も終わったしコイツも要らないな。
そして未だにピクリとも動かせない筋肉男の肘に反対の手を添えると、火スキル『炎圏』を発動すると、筋肉男の肘が一瞬で炭化して腕がポロリと取れる。
一瞬ポカンとした表情を見せた筋肉男は、次の瞬間には炭化した部分を抱いて大声で喚き始める。
あまりにも煩いので筋肉男の口に奪い取った右腕を押し込んでやった。
「さて、と。邪魔者はいなくなった。そろそろ終わりにしようか」
「ヒィっ!」
各種スキルを発動すると、俺の右腕が属性を纏ったり、発光したり、鋼のようになったりと次々に変化していく。
そして、完全に強化が終わった俺は女の顔面めがけて拳を振り下ろした。
しかし、その拳は女の頭部を爆散させる事なく、なにか硬いものによって防がれる。
見てみれば、ギリギリのところで飛び込んだキョウラクの盾だった。
「シュウ君。落ち着くんだ」
「…すまない。やり過ぎた」
完全に我を忘れていたな。俺の悪い癖だ。
女を見ればビビり上がってしまったらしく、その足元に湯気を立てる水溜りを作って失神していた。
そういえばアンリは無事なのだろうか。
後ろを振り向くとそこには_
「大丈夫かい?」
「立てる?手を貸そうか?」
「アンリちゃんこっち向いて!」
などと男女関係なく心配されているアンリの姿があった。
俺の視線に気づいたプレイヤー達は次々に顔を背ける。
「おい【鬼畜】がこっち見てるぞ。絶対に目を合わすな!」
「目を合わしたらスライム責めにされるぞ!」
「全部聞こえてるからなー?」
「「!?」」
小声で話してたつもりなんだろうけど、丸聞こえなんだよ。
その後、コソコソと話し合っていたプレイヤー達をスライム責めにして、土下座をさせた俺は新たなる伝説を刻んだとか刻んでないとか。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
70810
-
-
149
-
-
1978
-
-
35
-
-
29
-
-
89
-
-
93
-
-
111
-
-
24251
コメント