Creation World Online
第74話
宿屋に帰り着いた俺が部屋に入ると、部屋の中はもぬけの殻だった。
フレンドコールもチャットも反応が無いため、一階の酒場兼食事処でエアディスプレイを眺めていると、隣のテーブルに座っていたプレイヤーから声を掛けられる。
「よっ、ニイちゃん確か【鬼畜】だろ?」
「ああ、不本意だがその通りだ」
「おお、良かった良かった。女の子から伝言を預かってるんだよ『街でショッピングしている』ってな。それじゃ、確かに伝えたぜ」
そう言うと、そのプレイヤーは再び自分達のパーティーメンバーと飲み始める。
街でショッピングか…仕方ない、探すか。
そう決めた俺は立ち上がると、アンリ達を探しに街に繰り出すのであった。
☆
ショッピングと言ってもその種類、系統は様々で一般的なものなら食料品や装飾品、更にゲームならではというか武具の類なんかもあったりする。
そして俺が何を言いたいのかというと_
「あいつらどこに居るんだよ…」
更に言えばここ数日は、ダスク連合の大商会『輪廻の蛇』主催のフリーマーケットが行われていた。
普段は目にかかれないレアアイテムを求める戦闘職や、逆にこのチャンスに有力な戦闘職とのコネクションを築こうとする生産職などのプレイヤー達でメインストリートはいつもよりも活気溢れている様子だった。
その中から2人のプレイヤーを探すなんてかなりの至難の技なんじゃないか?
「おっ、シュウじゃねえか」
「ん?キョウジか、久しぶりだな」
人混みの中でこちらに手を振ってくるキョウジにヒラヒラと手を振ると、キョウジはこちらに駆けてくる。
「よっ、何してんだ?嬢ちゃん達はどうしたんだよ」
「ああ、ちょっとな」
「あー…ドンマイ」
ポンポンと同情の視線と共に俺の方を叩く。
「ま、元気出せよ!きっといい出会いがあるぜ!」
「フられてねーよ。勝手に決めんな!」
パシッと肩に置かれた手を払うと「冗談だよ」とキョウジはケラケラと笑う。
「ま、冗談は置いといて嬢ちゃんなら向こうの通りで見かけたぜ」
「そうか、ありがとな」
「おう、またなー」
挨拶もそこそこに俺はキョウジの指差した方角に向かって歩いて行った。
すると目の前に大量のプレイヤーの集団があった。
見たところ生産職みたいだが…なにしてるんだ?こんな道の真ん中で…
「これを着てくれませんか!」
「ぜ、ぜひ拙僧の作った装備を!」
「ええい!黙れ!僕チンの作った装備こそ似合う!」
どうやら装備の押し売りみたいなことをしているようだ。有名なプレイヤーでもいるのかもしれないな。
だが、この売り方は間違いだな。
こんな押し売りみたいな方法を取られたんじゃ、よっぽど自己顕示欲の強いやつくらいしか喜ばないと思うぞ。
そんな中、とあるプレイヤーの一言に俺は耳を疑った。
「お代は結構ですから!」
お代は結構、つまり無料。
どんだけ有名なプレイヤーなんだよ、アイドルプレイヤーか何かなのか?
どんなプレイヤーなのか気になった俺は、集団の隙間からその人物を覗き見た。
「や、ちょっ、ほんといいですから!」
突き出される服と沢山の男性プレイヤーに囲まれて涙目になりながらそう言う茶髪の女性プレイヤー。
「あっ、シュウ君!助けてください!」
こちらに気づいてプレイヤーの群れを掻き分けると俺の背中に隠れる、このプレイヤー、アンリがそこにはいたのだった。          
フレンドコールもチャットも反応が無いため、一階の酒場兼食事処でエアディスプレイを眺めていると、隣のテーブルに座っていたプレイヤーから声を掛けられる。
「よっ、ニイちゃん確か【鬼畜】だろ?」
「ああ、不本意だがその通りだ」
「おお、良かった良かった。女の子から伝言を預かってるんだよ『街でショッピングしている』ってな。それじゃ、確かに伝えたぜ」
そう言うと、そのプレイヤーは再び自分達のパーティーメンバーと飲み始める。
街でショッピングか…仕方ない、探すか。
そう決めた俺は立ち上がると、アンリ達を探しに街に繰り出すのであった。
☆
ショッピングと言ってもその種類、系統は様々で一般的なものなら食料品や装飾品、更にゲームならではというか武具の類なんかもあったりする。
そして俺が何を言いたいのかというと_
「あいつらどこに居るんだよ…」
更に言えばここ数日は、ダスク連合の大商会『輪廻の蛇』主催のフリーマーケットが行われていた。
普段は目にかかれないレアアイテムを求める戦闘職や、逆にこのチャンスに有力な戦闘職とのコネクションを築こうとする生産職などのプレイヤー達でメインストリートはいつもよりも活気溢れている様子だった。
その中から2人のプレイヤーを探すなんてかなりの至難の技なんじゃないか?
「おっ、シュウじゃねえか」
「ん?キョウジか、久しぶりだな」
人混みの中でこちらに手を振ってくるキョウジにヒラヒラと手を振ると、キョウジはこちらに駆けてくる。
「よっ、何してんだ?嬢ちゃん達はどうしたんだよ」
「ああ、ちょっとな」
「あー…ドンマイ」
ポンポンと同情の視線と共に俺の方を叩く。
「ま、元気出せよ!きっといい出会いがあるぜ!」
「フられてねーよ。勝手に決めんな!」
パシッと肩に置かれた手を払うと「冗談だよ」とキョウジはケラケラと笑う。
「ま、冗談は置いといて嬢ちゃんなら向こうの通りで見かけたぜ」
「そうか、ありがとな」
「おう、またなー」
挨拶もそこそこに俺はキョウジの指差した方角に向かって歩いて行った。
すると目の前に大量のプレイヤーの集団があった。
見たところ生産職みたいだが…なにしてるんだ?こんな道の真ん中で…
「これを着てくれませんか!」
「ぜ、ぜひ拙僧の作った装備を!」
「ええい!黙れ!僕チンの作った装備こそ似合う!」
どうやら装備の押し売りみたいなことをしているようだ。有名なプレイヤーでもいるのかもしれないな。
だが、この売り方は間違いだな。
こんな押し売りみたいな方法を取られたんじゃ、よっぽど自己顕示欲の強いやつくらいしか喜ばないと思うぞ。
そんな中、とあるプレイヤーの一言に俺は耳を疑った。
「お代は結構ですから!」
お代は結構、つまり無料。
どんだけ有名なプレイヤーなんだよ、アイドルプレイヤーか何かなのか?
どんなプレイヤーなのか気になった俺は、集団の隙間からその人物を覗き見た。
「や、ちょっ、ほんといいですから!」
突き出される服と沢山の男性プレイヤーに囲まれて涙目になりながらそう言う茶髪の女性プレイヤー。
「あっ、シュウ君!助けてください!」
こちらに気づいてプレイヤーの群れを掻き分けると俺の背中に隠れる、このプレイヤー、アンリがそこにはいたのだった。          
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