TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
クラブに入りましょう?
「――祐里香さん、私たちの演劇クラブに入ってくれないかしら?」
愛さんに手を引かれ、廊下で四つん這いになった千佳を置いて私、柏原祐里香は体育館へと向かった。
そして体育館に足を踏み入れた途端、先輩らしき女子生徒にこんな声を掛けられたの。
「えっと、その。学校では演技とか、そういうのから離れたいなって」
「そこを何とかお願い! 演者じゃなくてもいいから!」
先輩が言うには、演劇クラブでは季節ごとに毎年四回の公演を行っているみたい。
でも最近は千佳に皆が夢中なせいで、動員が減っているそうなの。
そこで子役アイドルとして人気を博している私が転校してきたという話を聞いて、藁にも縋る思いで提案してきたという訳。
……そんなこと言われたら、断り辛くなるじゃない。
「まぁいいわ。別に入りたいクラブがある訳じゃないし、演技指導として入ってあげるわよ」
「本当に!? ありがとう祐里香さん!」
ま、自分で演技をする訳じゃないしね。
それに演技や歌だけじゃ芸能界は生きていけないのってママも言ってたし、人を育てるのもまぁ、悪くないわよね。
「部長やったわね! これで後は」
「そうね、後は私たちの千佳ちゃんが入ってくれさえすれば……」
「ちょっと待ったぁ!?」
何それ!? どうして千佳まで勧誘しようとしてるのよ!?
人気の現役子役アイドルが入ってあげるのよ? そこは打倒千佳って燃える所じゃないの!?
「え、だって何処のクラブも千佳ちゃんを狙ってるし、私たちも狙わないと」
「千佳ちゃんにお姫様の格好してもらって……ぐへ、ぐへへ」
「わ、私だけじゃ不満って訳!?」
「そうじゃないけど、やっぱり千佳ちゃんだし」
「千佳ちゃんだもんねぇ」
また千佳、千佳、千佳って……何処までも私の前に立ちはだかるのね。
本当に私のプライドを刺激してくるったらありゃしない!
……いいわ。そんなに千佳が欲しいのなら、私が入れてあげる。
「私に任せなさい。千佳くらい簡単に入れてあげるわ」
「本当に!? 流石芸能人は違うわね!」
「そこ関係無いわよね!?」
「祐里香ちゃん、本当にできるの?」
「……ええ。その代わり一つ約束してもらえるかしら?」
――入部してから最初の公演。私と千佳で主役オーディションをさせなさい。
千佳が体育館へとやってきたのは、本当にギリギリの時間だった。
もしかしてずっと四つん這いで落ち込んでいたのかしら?……私のせいじゃないけど、なんだか少し悪い気がするわね。
まるで千佳を待っていたかのようにステージに先輩たちが現れ、様々なクラブが体育館での実演や発表をしていく。
サッカークラブ、ドッジボールクラブ、陸上クラブ、空手クラブ……お遊びのようなものから、意外と本格的なものまであるのね。
そして合唱クラブに吹奏楽クラブ、将棋クラブ、ゲームクラブ、アイドルクラブ……って私のライブ映像を大画面で流さないでよ!?
ちゃんとマネージャーさんに話通してよ!?
バラエティ溢れるクラブたちの紹介が終わって、今は先生の指示を待っている。
周りの生徒たちがどんなクラブに入るか話し合っている中、私も千佳に話し掛けることにした。
「それで、千佳は何処に入るの?」
「うーん……クラブ活動は授業の範囲で行われるから絶対入らなきゃいけないんだけど、どれにしようかな?」
良かった。それなら私の作戦が簡単に成功しそうね。
「それなら、このクラブにしない? よかったらでいいんだけど」
そう言って私は配布されたクラブ一覧表に指を差した。
「演劇クラブ……?」
「えぇ。ほら、私子役の仕事をしているから。千佳も一緒にやらない?」
「うーん、どうしようかな」
む、そこまで乗り気じゃ無さそうね……。
どうしたものかしら。
「うちは将棋クラブに入るで! 最近読んだ漫画が将棋ものやから、気になっとったんや~」
「愛は合唱クラブに入ろうかな? 顧問の先生にピアノ伴奏してくれませんかって誘われてるの」
「そっか。うーん、それじゃあ私は祐里香ちゃんと一緒に演劇クラブに入ろうかな」
と思ったら、思わぬ所からの援護射撃がやってきた。
ずっと千佳に引っ付いているだけかと思ったら、湖月さんも愛さんも自分の意志を確りと持っているのね。
寂しそうな千佳の表情がとても憂いを帯びていて……って見惚れている場合じゃないわ!
此処は畳み掛けるタイミング、作戦決行よ!
「ありがとう千佳。それじゃあ勝負よ!」
「……へ?」
私の言葉に首を傾げる千佳。
……すっごく可愛いと思ってしまったのは内緒にしておくわ。
「演劇には主役が必要よ。どっちが主役になれるか勝負よ!」
「あ、そういう。いやー現役の祐里香ちゃんには勝てないよ」
これだけ人気で私に勝っておきながら、何を言っているのかしら。
絶対に人気を奪い取ってやるんだから!
「何を言っているのかしら? この学園の全女子生徒が入っているファンクラブがあるのよ? 私の敵足りうるわ!」
「て、敵って……」
「ともかく勝負よ千佳! 私のプライドの為に!」
「え、あ、うん」
頷いたわね、言質は取ったわ!
「絶対負けないわ。私のプライドの為に!」
「プライド押しすぎじゃない!?」
反論はさせないわ!
勝負よ千佳。私が人気子役アイドルであるという、プライドの為に!
千佳が勝ったなら認めてあげる……貴女を最強の。
子役アイドルだってことを!
愛さんに手を引かれ、廊下で四つん這いになった千佳を置いて私、柏原祐里香は体育館へと向かった。
そして体育館に足を踏み入れた途端、先輩らしき女子生徒にこんな声を掛けられたの。
「えっと、その。学校では演技とか、そういうのから離れたいなって」
「そこを何とかお願い! 演者じゃなくてもいいから!」
先輩が言うには、演劇クラブでは季節ごとに毎年四回の公演を行っているみたい。
でも最近は千佳に皆が夢中なせいで、動員が減っているそうなの。
そこで子役アイドルとして人気を博している私が転校してきたという話を聞いて、藁にも縋る思いで提案してきたという訳。
……そんなこと言われたら、断り辛くなるじゃない。
「まぁいいわ。別に入りたいクラブがある訳じゃないし、演技指導として入ってあげるわよ」
「本当に!? ありがとう祐里香さん!」
ま、自分で演技をする訳じゃないしね。
それに演技や歌だけじゃ芸能界は生きていけないのってママも言ってたし、人を育てるのもまぁ、悪くないわよね。
「部長やったわね! これで後は」
「そうね、後は私たちの千佳ちゃんが入ってくれさえすれば……」
「ちょっと待ったぁ!?」
何それ!? どうして千佳まで勧誘しようとしてるのよ!?
人気の現役子役アイドルが入ってあげるのよ? そこは打倒千佳って燃える所じゃないの!?
「え、だって何処のクラブも千佳ちゃんを狙ってるし、私たちも狙わないと」
「千佳ちゃんにお姫様の格好してもらって……ぐへ、ぐへへ」
「わ、私だけじゃ不満って訳!?」
「そうじゃないけど、やっぱり千佳ちゃんだし」
「千佳ちゃんだもんねぇ」
また千佳、千佳、千佳って……何処までも私の前に立ちはだかるのね。
本当に私のプライドを刺激してくるったらありゃしない!
……いいわ。そんなに千佳が欲しいのなら、私が入れてあげる。
「私に任せなさい。千佳くらい簡単に入れてあげるわ」
「本当に!? 流石芸能人は違うわね!」
「そこ関係無いわよね!?」
「祐里香ちゃん、本当にできるの?」
「……ええ。その代わり一つ約束してもらえるかしら?」
――入部してから最初の公演。私と千佳で主役オーディションをさせなさい。
千佳が体育館へとやってきたのは、本当にギリギリの時間だった。
もしかしてずっと四つん這いで落ち込んでいたのかしら?……私のせいじゃないけど、なんだか少し悪い気がするわね。
まるで千佳を待っていたかのようにステージに先輩たちが現れ、様々なクラブが体育館での実演や発表をしていく。
サッカークラブ、ドッジボールクラブ、陸上クラブ、空手クラブ……お遊びのようなものから、意外と本格的なものまであるのね。
そして合唱クラブに吹奏楽クラブ、将棋クラブ、ゲームクラブ、アイドルクラブ……って私のライブ映像を大画面で流さないでよ!?
ちゃんとマネージャーさんに話通してよ!?
バラエティ溢れるクラブたちの紹介が終わって、今は先生の指示を待っている。
周りの生徒たちがどんなクラブに入るか話し合っている中、私も千佳に話し掛けることにした。
「それで、千佳は何処に入るの?」
「うーん……クラブ活動は授業の範囲で行われるから絶対入らなきゃいけないんだけど、どれにしようかな?」
良かった。それなら私の作戦が簡単に成功しそうね。
「それなら、このクラブにしない? よかったらでいいんだけど」
そう言って私は配布されたクラブ一覧表に指を差した。
「演劇クラブ……?」
「えぇ。ほら、私子役の仕事をしているから。千佳も一緒にやらない?」
「うーん、どうしようかな」
む、そこまで乗り気じゃ無さそうね……。
どうしたものかしら。
「うちは将棋クラブに入るで! 最近読んだ漫画が将棋ものやから、気になっとったんや~」
「愛は合唱クラブに入ろうかな? 顧問の先生にピアノ伴奏してくれませんかって誘われてるの」
「そっか。うーん、それじゃあ私は祐里香ちゃんと一緒に演劇クラブに入ろうかな」
と思ったら、思わぬ所からの援護射撃がやってきた。
ずっと千佳に引っ付いているだけかと思ったら、湖月さんも愛さんも自分の意志を確りと持っているのね。
寂しそうな千佳の表情がとても憂いを帯びていて……って見惚れている場合じゃないわ!
此処は畳み掛けるタイミング、作戦決行よ!
「ありがとう千佳。それじゃあ勝負よ!」
「……へ?」
私の言葉に首を傾げる千佳。
……すっごく可愛いと思ってしまったのは内緒にしておくわ。
「演劇には主役が必要よ。どっちが主役になれるか勝負よ!」
「あ、そういう。いやー現役の祐里香ちゃんには勝てないよ」
これだけ人気で私に勝っておきながら、何を言っているのかしら。
絶対に人気を奪い取ってやるんだから!
「何を言っているのかしら? この学園の全女子生徒が入っているファンクラブがあるのよ? 私の敵足りうるわ!」
「て、敵って……」
「ともかく勝負よ千佳! 私のプライドの為に!」
「え、あ、うん」
頷いたわね、言質は取ったわ!
「絶対負けないわ。私のプライドの為に!」
「プライド押しすぎじゃない!?」
反論はさせないわ!
勝負よ千佳。私が人気子役アイドルであるという、プライドの為に!
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