TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―

夕月かなで

メグちゃんとあったか手袋

 今日はお母さんとメグちゃんと共に、手袋を買いに行くことになっています。
 なので一年生のクラスにお邪魔して、メグちゃんと一緒に帰宅するのです。

「お、おお、お姉さま! どどどど、どうしたんですの、一年生のクラスに何か御用が!?」
「あ、小金井ちゃん。今日はメグちゃんと一緒に帰るんだよ」

 最近よく見かける、金髪ドリルのお嬢様である小金井ちゃん。
 丁度一年生たちのクラスも終わりの会が終わったので、私は沢山の後輩たちに囲まれます。
 人気者なので! 圧倒的一位ですので!

「千佳お姉ちゃん、どうしたのー?」
「ねえたまだ!」
「諸弓せんぱいだー!」
「えっ、どこどこー?」
「おねーさん、何処か行くなら案内するよー!」

 見よこの人気! なんたって一位だからね!

「むー! お姉ちゃん!」

 後輩女子たちに囲まれて団子のようになっていた私を、メグちゃんが人混みを掻き分けてやってきました。
 そして、腕を抱きしめて皆を威嚇します。

「しゃあー!」
「はいゴロゴロー」
「にゃー」

 威嚇したメグちゃんも、喉を撫でてあげるとご覧の通り。
 私の胸に顔をすり寄せてきます。

「かわいいー!」
「すごーい!」
「いいなぁ、私も甘えたいなー」
「ふっふっふ」

 皆の尊敬の眼差しを受けメグちゃんはドヤ顔です。
 お母さんを待たせるのは悪いので、一年生の集団にお別れを告げてから帰路につきます。

「お姉ちゃん、お買い物楽しみだね!」
「そうだね」
「可愛いの欲しいね!」

 そういえばメグちゃんの手袋も、買ってから一年以上は経っているのではないでしょうか。
 この前千佳ちゃんと愛ちゃんと話していた内容を思い出して、私はメグちゃんに提案します。

「そうだ。お母さんに頼んでメグちゃんも一緒の奴買ってもらおっか?」
「本当に!? お姉ちゃんとお揃い欲しい!」

 手を繋ぎながら歩くメグちゃんですが、私の提案を聞いて手の振りが大きくなります。
 私の腕も一緒に大きく振ることになりますが、メグちゃんが楽しそうなので何も問題はありません。

「よーし、そうと決まったら走って帰ろっか!」
「うん! 競争だー!」

 メグちゃん、手を繋いでいるから競争にはならないよ……。



 家から歩いて十分程、商店街にあるお店へやってきました。
 ここは雑貨から服まで色々と取り扱っているお店で、様々な手袋も売っています。
 私が真ん中で、お母さんとメグちゃん三人で手を繋ぎながら歩いてきました。

「これとかどう?」
「もっと可愛いのがいい!」

 私一人のものだとちゃちゃっと決めてしまえばいいじゃん、となるのですが、今回はメグちゃんとのお揃いを探しています。
 私的には実用的なものがいいのですが、その意見を飲み込んで、メグちゃんの好みに合わせていきます。

「これと、これと、これ! お姉ちゃんどれがいい?」
「うーん」

 うむ、分からん。
 一つ目は赤を基調としたモコモコの手袋で、手を入れる所は白いモコモコです。
 まるでサンタさんのような感じ。

 二つ目はピンク色に可愛いウサギのキャラクターが描かれたもの。
 生地としては、毛糸みたいな感じでしょうか。

 最後は白色のモコモコ手袋。
 よく見ると、手の甲の部分に猫の耳のようなものが付いています。
 手を使って口を作れば、まるでお人形劇のような感じになります。
 うん、これは面白いかもしれません。

「じゃあ、この白い猫ちゃんをメグちゃん。こっちの黒い犬かな? これを私が使うってのはどう?」
「流石お姉ちゃん! 私も賛成!」

 ふぅ、無事にメグちゃんも賛同する答えを導き出せたようです。
 なんだか、彼女の買い物に付き合う彼氏のような光景で、私はとても嬉しく思います。
 このまま結婚しましょう。



 そうして帰り道、早速手袋を着けた私たちは手を口を作って、パクパクさせながら帰ります。
 その為、お母さんを真ん中にして両側に私たちが手を繋ぐ形です。
 これで二人とも片手が開くからね!

「わんわん、メグちゃんの猫も可愛いわん!」
「にゃーにゃー、お姉にゃんの犬もかっこいいにゃ!」

 私たちの言葉にクスリと笑うお母さん。
 メグちゃんと共に、大切に扱おうねと約束するのでした。

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