TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
私の知らないはずのこと
山を鮮やかに彩った紅葉も散り、日本の北側では既に雪化粧が広がる頃。
私達の住む街は毎年雪が降ったり、降らなかったりするようですが、今年は如何なものでしょうか。
積もれば皆と雪合戦がしたいものです。
「どうしたの千佳ちゃん。窓の外に何かあるの?」
「愛ちゃん」
昼休みの教室。
私は窓際の席で、ぼんやりと外を眺めていた私に愛ちゃんが声を掛けます。
愛ちゃんの方を向くと、どうやらクラスの女の子全員、……と他のクラスや学年の女の子やらが集まっています。
いつも休憩時間に私は、クラスの女の子全員とお話をして過ごしていたのですが、運動会が終わってからは他のクラスや学年からも女の子が遊びに来るようになりました。
「いや、ボーっとしてただけだよ。ごめんね、心配かけて」
「ううん。千佳ちゃんに何もなくて良かったよ」
「愛ちゃん……!」
なんていい子なんだ。
背後の女の子たちも、よかったー。
千佳ちゃんだもん大丈夫だよー。
私たちが元気付けなきゃ、と私の心配をしてくれています。
なんだ、視界が滲んでしまいそう。
「あれ、千佳ちゃん。どうしてまた外を向くの?」
「な、なんでもないよ!」
べ、別に泣いてなんてないからね!
み、皆が優しいのがいけないんだから!
「ほんで、あの話やねんけど」
私がそっと涙を拭いていると、背後の女の子集団の中から湖月ちゃんの声が聞こえます。
どうやら小さな声で私に聞こえないように喋っているようですが、ところがどっこい!
神様に恵まれた私の身体能力には、耳の良さも含まれるのだ!
さぁさぁ、私に秘密のお話、聞かせてもらおうか!
「ああ、千佳ちゃんファンクラブの話だよね」
「愛も勿論参加するよ!」
「わ、私も入りたいです」
「拙者も入りたいですぅ!」
「まぁ参加費とかは作らんし、皆で千佳ちゃんの情報を分け合ったり、貢献者には千佳ちゃんプロマイドの特典付きや!」
ぶほぉっ!? ちょっと待って!?
ファンクラブ!?
ていうか湖月ちゃぁぁぁぁん!?
プロマイドって何!?
「しゃ、写真……!じゅるり」
「が、額縁買っておかなきゃ!」
「で、データでほしいなり! 一杯拡大してポスターにしたいなりよ!」
なんかやばそうな人いない!?
「貢献ってどうすればいいの?」
「簡単や、千佳ちゃんの手助けをすることや! 最近、男子の視線が湖月ちゃんを追ってることを確認したんや。これは由々しき事態や!」
それは私も初耳だよ!?
この頃感じてた視線って、女の子の視線じゃなかったんだ!?
「な、なんですって!?」
「私たちの千佳ちゃんになんてことを!」
「情報処理部だよ!」
「それは違うゆゆしきだよ!」
「け、汚らわしい! 千佳ちゃんを守らなきゃ!」
「天誅ですぅ!」
さっきからなんか時代錯誤な子いません!?
「そこでや! 各自、千佳ちゃんを守る体制を立てる。男子が不躾な視線を向けていたり、近付く不審な人がいたらうちらで守るんや! 千佳ちゃんに知られると気を使ってくるやろうから、極秘裏にな!」
もう気を使っております。
「いいですね! 賛成です!」
「さすが梅田さん!」
「お姉さまを守ってあげなきゃ!」
「お姉ちゃんをしっかり守ってあげないとね!」
メグちゃん!? いつの間に来てたの!?
「姉さん、なにやら面白い話をしていますよ」
「……湖月。混ぜて」
「ねぇねのファンクラブー!」
あぁ! オールスターがどんどん集合している!
感謝祭が始まりそうだよ!
「では私が責任を持って管理いたしましょう! 先生として、皆さんにやらせる訳にはいきませんから!」
九重せんせえええええええ!?
「九重先生がやってくれるんやったら安心やな! それで、折角やからファンクラブとして活動していこうって訳や!」
「なるほど! いいと思う!」
「これで私も千佳ちゃんに近付く名目を得たよ!」
「一年生のわたくしが役に立てるかしら……?」
「大丈夫だよ、上級生の私たちが確りサポートしてあげるから!」
「でも、これってこの学校の女子殆どが入るんじゃない?」
「男子は禁制!」
「早く写真欲しいなり!」
やばい。私の知らないところ、いや知らないけど知ってるところで凄い話が進んでいる……。
やばい。これもうファンクラブというか近衛だと思うんだけど。
やばい。マジヤバクネ?
「というわけで千佳ちゃんファンクラブをここに結成します! 発案者のうちがナンバーワンは貰うで!」
「駄目だよ! ナンバーワン会員は愛が貰うから!」
「いいえ私が!」
「ここは上級生に譲ってよ!」
「わ、わたくしも一番がいいですわ!」
「お姉ちゃんの一番は私だもん!」
「花もほしー!」
「姉さん、戦争の予感です」
「……漁夫の利を狙う」
やばいよ! 私の為に争わないで!?
さっきまでの和気藹々とした雰囲気が無くなって、一気に殺伐とした空間をデザインしちゃったよ!?
「ちょっと待ってください! 先生が居る限り、喧嘩は駄目ですよ!」
よく言った九重先生!
あんた見上げたおと、いや見上げた女だよ!
「不肖ながら、私こと九重が一番を貰います!」
返せよ私の言葉! 喧嘩の種火が燃え盛ってるよ!
それから昼休み丸々を使った第一次千佳大戦は、莉里ちゃんによる初期メンバーはゴールド会員にするという何処かの商法のような形で終止符が打たれました。
尚、学校の総生徒数が大体六百人に対し、ファンクラブ創設時の初期メンバーは四百人程。学校内の殆どの女子を制圧した形になります。
「どうしたの千佳ちゃん。窓の外に何かあるの?」
「ボーっとしてた、だけだよ……」
私の知らないはずのファンクラブです。
皆が楽しそうにその会合をしているのに、私が首を突っ込む訳にはいきません。
私はこの事実を知っているという記憶を、墓まで持っていくことに決めました。
「そっか! ねぇ、今日は何して遊ぶ?」
「そうだねー……」
私は、隠し通せるのだろうか。
この純粋無垢な子たちを前に。
後日すぐバレました。
どうやらファンクラブは本人公認になったようです。
とりあえず、サインでも練習しておこうかな……。
私達の住む街は毎年雪が降ったり、降らなかったりするようですが、今年は如何なものでしょうか。
積もれば皆と雪合戦がしたいものです。
「どうしたの千佳ちゃん。窓の外に何かあるの?」
「愛ちゃん」
昼休みの教室。
私は窓際の席で、ぼんやりと外を眺めていた私に愛ちゃんが声を掛けます。
愛ちゃんの方を向くと、どうやらクラスの女の子全員、……と他のクラスや学年の女の子やらが集まっています。
いつも休憩時間に私は、クラスの女の子全員とお話をして過ごしていたのですが、運動会が終わってからは他のクラスや学年からも女の子が遊びに来るようになりました。
「いや、ボーっとしてただけだよ。ごめんね、心配かけて」
「ううん。千佳ちゃんに何もなくて良かったよ」
「愛ちゃん……!」
なんていい子なんだ。
背後の女の子たちも、よかったー。
千佳ちゃんだもん大丈夫だよー。
私たちが元気付けなきゃ、と私の心配をしてくれています。
なんだ、視界が滲んでしまいそう。
「あれ、千佳ちゃん。どうしてまた外を向くの?」
「な、なんでもないよ!」
べ、別に泣いてなんてないからね!
み、皆が優しいのがいけないんだから!
「ほんで、あの話やねんけど」
私がそっと涙を拭いていると、背後の女の子集団の中から湖月ちゃんの声が聞こえます。
どうやら小さな声で私に聞こえないように喋っているようですが、ところがどっこい!
神様に恵まれた私の身体能力には、耳の良さも含まれるのだ!
さぁさぁ、私に秘密のお話、聞かせてもらおうか!
「ああ、千佳ちゃんファンクラブの話だよね」
「愛も勿論参加するよ!」
「わ、私も入りたいです」
「拙者も入りたいですぅ!」
「まぁ参加費とかは作らんし、皆で千佳ちゃんの情報を分け合ったり、貢献者には千佳ちゃんプロマイドの特典付きや!」
ぶほぉっ!? ちょっと待って!?
ファンクラブ!?
ていうか湖月ちゃぁぁぁぁん!?
プロマイドって何!?
「しゃ、写真……!じゅるり」
「が、額縁買っておかなきゃ!」
「で、データでほしいなり! 一杯拡大してポスターにしたいなりよ!」
なんかやばそうな人いない!?
「貢献ってどうすればいいの?」
「簡単や、千佳ちゃんの手助けをすることや! 最近、男子の視線が湖月ちゃんを追ってることを確認したんや。これは由々しき事態や!」
それは私も初耳だよ!?
この頃感じてた視線って、女の子の視線じゃなかったんだ!?
「な、なんですって!?」
「私たちの千佳ちゃんになんてことを!」
「情報処理部だよ!」
「それは違うゆゆしきだよ!」
「け、汚らわしい! 千佳ちゃんを守らなきゃ!」
「天誅ですぅ!」
さっきからなんか時代錯誤な子いません!?
「そこでや! 各自、千佳ちゃんを守る体制を立てる。男子が不躾な視線を向けていたり、近付く不審な人がいたらうちらで守るんや! 千佳ちゃんに知られると気を使ってくるやろうから、極秘裏にな!」
もう気を使っております。
「いいですね! 賛成です!」
「さすが梅田さん!」
「お姉さまを守ってあげなきゃ!」
「お姉ちゃんをしっかり守ってあげないとね!」
メグちゃん!? いつの間に来てたの!?
「姉さん、なにやら面白い話をしていますよ」
「……湖月。混ぜて」
「ねぇねのファンクラブー!」
あぁ! オールスターがどんどん集合している!
感謝祭が始まりそうだよ!
「では私が責任を持って管理いたしましょう! 先生として、皆さんにやらせる訳にはいきませんから!」
九重せんせえええええええ!?
「九重先生がやってくれるんやったら安心やな! それで、折角やからファンクラブとして活動していこうって訳や!」
「なるほど! いいと思う!」
「これで私も千佳ちゃんに近付く名目を得たよ!」
「一年生のわたくしが役に立てるかしら……?」
「大丈夫だよ、上級生の私たちが確りサポートしてあげるから!」
「でも、これってこの学校の女子殆どが入るんじゃない?」
「男子は禁制!」
「早く写真欲しいなり!」
やばい。私の知らないところ、いや知らないけど知ってるところで凄い話が進んでいる……。
やばい。これもうファンクラブというか近衛だと思うんだけど。
やばい。マジヤバクネ?
「というわけで千佳ちゃんファンクラブをここに結成します! 発案者のうちがナンバーワンは貰うで!」
「駄目だよ! ナンバーワン会員は愛が貰うから!」
「いいえ私が!」
「ここは上級生に譲ってよ!」
「わ、わたくしも一番がいいですわ!」
「お姉ちゃんの一番は私だもん!」
「花もほしー!」
「姉さん、戦争の予感です」
「……漁夫の利を狙う」
やばいよ! 私の為に争わないで!?
さっきまでの和気藹々とした雰囲気が無くなって、一気に殺伐とした空間をデザインしちゃったよ!?
「ちょっと待ってください! 先生が居る限り、喧嘩は駄目ですよ!」
よく言った九重先生!
あんた見上げたおと、いや見上げた女だよ!
「不肖ながら、私こと九重が一番を貰います!」
返せよ私の言葉! 喧嘩の種火が燃え盛ってるよ!
それから昼休み丸々を使った第一次千佳大戦は、莉里ちゃんによる初期メンバーはゴールド会員にするという何処かの商法のような形で終止符が打たれました。
尚、学校の総生徒数が大体六百人に対し、ファンクラブ創設時の初期メンバーは四百人程。学校内の殆どの女子を制圧した形になります。
「どうしたの千佳ちゃん。窓の外に何かあるの?」
「ボーっとしてた、だけだよ……」
私の知らないはずのファンクラブです。
皆が楽しそうにその会合をしているのに、私が首を突っ込む訳にはいきません。
私はこの事実を知っているという記憶を、墓まで持っていくことに決めました。
「そっか! ねぇ、今日は何して遊ぶ?」
「そうだねー……」
私は、隠し通せるのだろうか。
この純粋無垢な子たちを前に。
後日すぐバレました。
どうやらファンクラブは本人公認になったようです。
とりあえず、サインでも練習しておこうかな……。
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