TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
メグちゃんと雨の日とゲーム
朝。窓を打ちつける音と和やかに鳴る目覚まし時計の音が部屋に響いて、外を走る車は道路に溜まった水を弾いていく。
春が終わって梅雨の季節、六月に入りました。
まだメグちゃんが私の腰を抱きしめるようにして眠っているので、上半身だけを起こしてカーテンを少し開く。
水が流れて景色は歪み、警報が出ていそうな大雨が道路に降り注いでいます。
いつもは朝日を浴びて寝惚けた意識を覚醒させるのですが、日が出ていないので少しの間だけぼんやりと眺めることに。
この目覚まし時計、入っている音楽が全てクラシックの曲という何だか豪華なもの。
お父さんが言うには、五月蝿い音で起きるより静かな音で起きた方が気持ちよく起きられる、だそうですが本当かは未だ調べてません。
まぁ数年前からこの目覚ましなので、特に気にならなくなりましたが。
「んん……お姉ちゃん?」
私が動いたせいでメグちゃんを起こしてしまったようです。
寝惚けた顔で体を起こすメグちゃんの頭を撫でながら、前世では絶対に思うことがなかったことを心の中で呟く。
警報が出ていなければいいな、と。
腕に抱きついたままのメグちゃんと一緒に階段を降りると、ダイニングでは既にお母さんとお父さんが食卓で座っていました。
テレビでは天気予報を説明するお天気キャスターのお姉さんが警報について喋っており、私の願いは虚しく二階級特進となりましたが、メグちゃんは目を輝かせていました。
「お姉ちゃん、今日は学校行けないの?」
「うん。警報が出てるから、外に出ちゃ駄目なんだよ」
「それじゃあ一緒に遊ぼ!」
「いいよ、とりあえず朝食食べてからね」
「うん!」
どうやら遊びたかったようで、せっせと朝食を口に運んでいくメグちゃん。
お母さんにゆっくり食べなさいと叱られるも、何処か落ち着かない様子での朝食となった。
メグちゃんを見て、負けじと食べるスピードを上げたお父さんも共に叱られていましたが。
「お姉ちゃんこれ! 一緒にやろ!」
朝食を食べ、歯磨きを終わらせた私の前には既に起動を済ませたゲーム画面が広がっていました。
ゲームソフトは以前花ちゃんと一緒に、いや私のソロプレイだったけど遊んだ髭の兄弟を操作するゲームです。
遂に私もソロから脱却か……と思った束の間。
「はい、お姉ちゃん!」
「あ、やっぱり一人でやるのね」
手渡されたコントローラーは一つ、もうメグちゃんの手にはコントローラーはありません。
デジャヴを感じながらも私と髭のお兄ちゃんの冒険は再び始まるのでした。
「……」
「……」
右隣りから視線を感じて全く集中出来ない。
腕に抱きついたまま私の顔を凝視しているメグちゃんは、一挙一動を見逃すものかという気概を持っている。
花ちゃんは笑いながら見てくれていたからまだよかったものの、メグちゃんは本気で見てくる。
真顔である。若干怖い。
「あのメグちゃん、一緒にやらない?」
「私はお姉ちゃんのやってるところが見たいな!」
「……もしかして花ちゃんと遊んだときのこと聞いたりした?」
「うん! 花ちゃんから聞いたよ!」
「そっか……」
「それでね、花ちゃんがお姉ちゃんのゲームをしている姿がすごく可愛いって言ってたんだ! これは私もこの目で見て、永久保存版の脳内お姉ちゃんメモリーに保存するしかないよ!」
なんだそれは。
と思ったけど、私もリビングのパソコンに隠しフォルダで皆の写真を保存しているし、似たようなものかもしれない。
一体誰のせいでこんな性格になってしまったんだ……。
いや、気のせいだ。
段々とメグちゃんが私に似てきているなんて気のせいだ。あー気のせい気のせい。
私も脳内メグちゃんメモリーはあるけど気のせい。
そしてじっと見られるという緊張の中、私は無言でプレイをしていきます。
すると隣からは不満そうな声が。
「むー」
「どうしたのメグちゃん?」
「……思ってたのと違う」
「うぇ!? いや、特に何も変わらないと思うんだけど」
「だって花ちゃんはゲームしてるとコロコロと表情が変わるって言ってたもん!」
「そうかな? というか、人からそう聞かされるとちょっと恥ずかしいな!」
「もっと集中してお姉ちゃん!」
「メグちゃんがそれを言うの!?」
集中できない原因から応援され、やむなくゲームに意識を戻す。
私はゲームをするとき体が反応してしまうタイプだ。
レースゲームでは体が右に左にと傾き、ホラーゲームでは吃驚して仰け反ってしまう。
要はリアクションをしているのが花ちゃんのツボに嵌ったのだと思うので、頑張っていつも通りにプレイすることにした。
「ほっ、せいっ、おっとっと! うわ危なっ!? ふぅ、よしよしもうすぐゴールだ」
花ちゃんのときより少しだけ過大にリアクションを取っていく。
チラリと横目で確認したところ、メグちゃんはニコニコしているのでこれで合っているらしい。
全くシスコンの妹を持って大変だぜぃ。
……いや、お前が言うな。
その後、私が頼み込んで二人プレイをしてもらうまで、あと三十分掛かった。
春が終わって梅雨の季節、六月に入りました。
まだメグちゃんが私の腰を抱きしめるようにして眠っているので、上半身だけを起こしてカーテンを少し開く。
水が流れて景色は歪み、警報が出ていそうな大雨が道路に降り注いでいます。
いつもは朝日を浴びて寝惚けた意識を覚醒させるのですが、日が出ていないので少しの間だけぼんやりと眺めることに。
この目覚まし時計、入っている音楽が全てクラシックの曲という何だか豪華なもの。
お父さんが言うには、五月蝿い音で起きるより静かな音で起きた方が気持ちよく起きられる、だそうですが本当かは未だ調べてません。
まぁ数年前からこの目覚ましなので、特に気にならなくなりましたが。
「んん……お姉ちゃん?」
私が動いたせいでメグちゃんを起こしてしまったようです。
寝惚けた顔で体を起こすメグちゃんの頭を撫でながら、前世では絶対に思うことがなかったことを心の中で呟く。
警報が出ていなければいいな、と。
腕に抱きついたままのメグちゃんと一緒に階段を降りると、ダイニングでは既にお母さんとお父さんが食卓で座っていました。
テレビでは天気予報を説明するお天気キャスターのお姉さんが警報について喋っており、私の願いは虚しく二階級特進となりましたが、メグちゃんは目を輝かせていました。
「お姉ちゃん、今日は学校行けないの?」
「うん。警報が出てるから、外に出ちゃ駄目なんだよ」
「それじゃあ一緒に遊ぼ!」
「いいよ、とりあえず朝食食べてからね」
「うん!」
どうやら遊びたかったようで、せっせと朝食を口に運んでいくメグちゃん。
お母さんにゆっくり食べなさいと叱られるも、何処か落ち着かない様子での朝食となった。
メグちゃんを見て、負けじと食べるスピードを上げたお父さんも共に叱られていましたが。
「お姉ちゃんこれ! 一緒にやろ!」
朝食を食べ、歯磨きを終わらせた私の前には既に起動を済ませたゲーム画面が広がっていました。
ゲームソフトは以前花ちゃんと一緒に、いや私のソロプレイだったけど遊んだ髭の兄弟を操作するゲームです。
遂に私もソロから脱却か……と思った束の間。
「はい、お姉ちゃん!」
「あ、やっぱり一人でやるのね」
手渡されたコントローラーは一つ、もうメグちゃんの手にはコントローラーはありません。
デジャヴを感じながらも私と髭のお兄ちゃんの冒険は再び始まるのでした。
「……」
「……」
右隣りから視線を感じて全く集中出来ない。
腕に抱きついたまま私の顔を凝視しているメグちゃんは、一挙一動を見逃すものかという気概を持っている。
花ちゃんは笑いながら見てくれていたからまだよかったものの、メグちゃんは本気で見てくる。
真顔である。若干怖い。
「あのメグちゃん、一緒にやらない?」
「私はお姉ちゃんのやってるところが見たいな!」
「……もしかして花ちゃんと遊んだときのこと聞いたりした?」
「うん! 花ちゃんから聞いたよ!」
「そっか……」
「それでね、花ちゃんがお姉ちゃんのゲームをしている姿がすごく可愛いって言ってたんだ! これは私もこの目で見て、永久保存版の脳内お姉ちゃんメモリーに保存するしかないよ!」
なんだそれは。
と思ったけど、私もリビングのパソコンに隠しフォルダで皆の写真を保存しているし、似たようなものかもしれない。
一体誰のせいでこんな性格になってしまったんだ……。
いや、気のせいだ。
段々とメグちゃんが私に似てきているなんて気のせいだ。あー気のせい気のせい。
私も脳内メグちゃんメモリーはあるけど気のせい。
そしてじっと見られるという緊張の中、私は無言でプレイをしていきます。
すると隣からは不満そうな声が。
「むー」
「どうしたのメグちゃん?」
「……思ってたのと違う」
「うぇ!? いや、特に何も変わらないと思うんだけど」
「だって花ちゃんはゲームしてるとコロコロと表情が変わるって言ってたもん!」
「そうかな? というか、人からそう聞かされるとちょっと恥ずかしいな!」
「もっと集中してお姉ちゃん!」
「メグちゃんがそれを言うの!?」
集中できない原因から応援され、やむなくゲームに意識を戻す。
私はゲームをするとき体が反応してしまうタイプだ。
レースゲームでは体が右に左にと傾き、ホラーゲームでは吃驚して仰け反ってしまう。
要はリアクションをしているのが花ちゃんのツボに嵌ったのだと思うので、頑張っていつも通りにプレイすることにした。
「ほっ、せいっ、おっとっと! うわ危なっ!? ふぅ、よしよしもうすぐゴールだ」
花ちゃんのときより少しだけ過大にリアクションを取っていく。
チラリと横目で確認したところ、メグちゃんはニコニコしているのでこれで合っているらしい。
全くシスコンの妹を持って大変だぜぃ。
……いや、お前が言うな。
その後、私が頼み込んで二人プレイをしてもらうまで、あと三十分掛かった。
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