引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
不平等条約
「そ、そんな馬鹿なこと! あるわけないでしょう!」
ロニンは立ち上がり、声を荒らげた。
自分の心拍数が高まるのを感じる。それだけに、いまの国王の言葉は聞き逃すことができなかった。
ーーモンスターが今更、人間に戦いを挑むだって?
そんな無意味なこと、ロニンはもはや考えてもいない。戦争がいかに無益であるか、二年半前に身を以て知っている。モンスターはそんな野蛮な種族ではない。
なのに、人間界を支配しようとしているだって? まったくの事実無根である。
「おいロニン。おい」
シュンがこちらを見上げ、地面に向けて指を差す。座れ、と言いたいのだろう。
ロニンは頬を膨らませ、かすれる声で言った。
「で、でもシュンさん。いまの発言は……」
「まったくの事実無根である、と言いたいのかね」
国王がロニンの言葉尻を奪った。
「いいから座りたまえ。この話には続きがある」
「…………」
ロニンはなにも言わぬまま、静かに腰を下ろした。国王に従ったのではない。あくまでシュンの言うとおりにしただけだ。
国王はうむ、と頷くと話を再開した。
「事実かどうかは関係ないのだよ。魔王ロニン殿。あなたならば、人間とモンスターが長らく争っていたことは痛感しているはずだ」
「……ええ」
「その確執は二年やそこらで消えるものではない。国民の多くは、モンスターを野蛮な種族として認識している。いつ寝返るかわからない……そんな不安の声もあるのだよ」
「で、でも!」
ロニンは真っ直ぐに国王を見据え、真摯に訴えた。
「私たちは別に戦いを望んでいたわけではありません! モンスターの多くは、争いのない、平和な世界を望んでいます!」
「ならば……それをどう証明するのかね? 余の国民に、それとわかる形でモンスターの誠実さを証明できるのか?」
「そ、そんなの……」
証明する方法ーー
そんなもの、存在するわけがない。
いくらロニンがモンスターの真面目さを演説したところで、まったくの無駄であろう。おそらく人間たちは信じない。
「であれば、余も王として、手をこまねいているわけにはいかないのだ。だから本日、とある条約を結んでもらいたい」
「条約だと……?」
シュンがオウム返しに呟く。
エルノス国王は嫌らしい笑みを浮かべ、シュンに向けて片手を突き出した。
「我が国の騎士を、そなたの国に常駐させ、警備させるのだ。その負担費として、作物の収穫の半分を、我が国に献上してもらいたい」
ロニンは立ち上がり、声を荒らげた。
自分の心拍数が高まるのを感じる。それだけに、いまの国王の言葉は聞き逃すことができなかった。
ーーモンスターが今更、人間に戦いを挑むだって?
そんな無意味なこと、ロニンはもはや考えてもいない。戦争がいかに無益であるか、二年半前に身を以て知っている。モンスターはそんな野蛮な種族ではない。
なのに、人間界を支配しようとしているだって? まったくの事実無根である。
「おいロニン。おい」
シュンがこちらを見上げ、地面に向けて指を差す。座れ、と言いたいのだろう。
ロニンは頬を膨らませ、かすれる声で言った。
「で、でもシュンさん。いまの発言は……」
「まったくの事実無根である、と言いたいのかね」
国王がロニンの言葉尻を奪った。
「いいから座りたまえ。この話には続きがある」
「…………」
ロニンはなにも言わぬまま、静かに腰を下ろした。国王に従ったのではない。あくまでシュンの言うとおりにしただけだ。
国王はうむ、と頷くと話を再開した。
「事実かどうかは関係ないのだよ。魔王ロニン殿。あなたならば、人間とモンスターが長らく争っていたことは痛感しているはずだ」
「……ええ」
「その確執は二年やそこらで消えるものではない。国民の多くは、モンスターを野蛮な種族として認識している。いつ寝返るかわからない……そんな不安の声もあるのだよ」
「で、でも!」
ロニンは真っ直ぐに国王を見据え、真摯に訴えた。
「私たちは別に戦いを望んでいたわけではありません! モンスターの多くは、争いのない、平和な世界を望んでいます!」
「ならば……それをどう証明するのかね? 余の国民に、それとわかる形でモンスターの誠実さを証明できるのか?」
「そ、そんなの……」
証明する方法ーー
そんなもの、存在するわけがない。
いくらロニンがモンスターの真面目さを演説したところで、まったくの無駄であろう。おそらく人間たちは信じない。
「であれば、余も王として、手をこまねいているわけにはいかないのだ。だから本日、とある条約を結んでもらいたい」
「条約だと……?」
シュンがオウム返しに呟く。
エルノス国王は嫌らしい笑みを浮かべ、シュンに向けて片手を突き出した。
「我が国の騎士を、そなたの国に常駐させ、警備させるのだ。その負担費として、作物の収穫の半分を、我が国に献上してもらいたい」
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