引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
震える小さき魔王
「さて」
入学式が終わり、数名の生徒が欠伸をするなか、女性教員がひとり、壇上に立った。
「入学式お疲れさま。これからクラス分けの適性検査を行います。新入生のみなさんはもう少し頑張ってください」
「適正……検査……?」
ロニンが頭に《?》マークを浮かべる。
教員いわく。
今後三年間は、生徒の適正に合ったカリキュラムで授業を進めるらしい。
剣に向いている者は騎士に。
魔法に長けている者は魔術師に。
計算や商談に向いている者は大商人に。
それぞれに向いた分野でクラス分けが行われるようだ。残念ながら、本人の希望は通用しないらしい。厳しい世界である。
「まずは騎士への適正検査を行います。本日に限り、本日の立ち会いは《勇者アルス様》が行ってくださいます。みなさん、拍手して出迎えてください」
「ぶっ……!」
シュンは大きくむせかえった。
勇者が立ち会いだって? まあ曲がりなりにも勇者だし、それくらいの腕はあるのか。
シュンとロニンの冷めた反応とは裏腹に、新入生たちは一斉に歓声をあげた。盛大な拍手とともに、勇者アルスが壇上に上っていく。
「す、すごい人気なのね……勇者が」
ロニンが小さな声で呟いた。
「まあ、《魔王と戦える唯一の人間》ってことになってるからな。人間にしてみりゃ、英雄みたいな扱いさ」
「ふうん。そんなもんなんだ」
その魔王は新入生として普通に居座っている。
前代魔王を軽々倒した村人もここにいる。
それを知っている二人には、ここまで勇者がもてはやされることに、どうしても納得できないのであった。
勇者アルスは教壇に両手をつくと、大きく声を張り上げた。
「さて、これから騎士としての適正検査を行う! 諸君らには、着替えを済ませたあとーーデッドスライムと闘ってほしい。我々によって、モンスターはすべて無力化してある。攻撃を喰らっても怪我等はしないので、安心してほしい」
「え……」
ロニンが一転して顔を青くした。
「そんな……モンスターを、まるで玩具みたいに……」
そんなロニンの震える手を、シュンは無言で握るのだった。
入学式が終わり、数名の生徒が欠伸をするなか、女性教員がひとり、壇上に立った。
「入学式お疲れさま。これからクラス分けの適性検査を行います。新入生のみなさんはもう少し頑張ってください」
「適正……検査……?」
ロニンが頭に《?》マークを浮かべる。
教員いわく。
今後三年間は、生徒の適正に合ったカリキュラムで授業を進めるらしい。
剣に向いている者は騎士に。
魔法に長けている者は魔術師に。
計算や商談に向いている者は大商人に。
それぞれに向いた分野でクラス分けが行われるようだ。残念ながら、本人の希望は通用しないらしい。厳しい世界である。
「まずは騎士への適正検査を行います。本日に限り、本日の立ち会いは《勇者アルス様》が行ってくださいます。みなさん、拍手して出迎えてください」
「ぶっ……!」
シュンは大きくむせかえった。
勇者が立ち会いだって? まあ曲がりなりにも勇者だし、それくらいの腕はあるのか。
シュンとロニンの冷めた反応とは裏腹に、新入生たちは一斉に歓声をあげた。盛大な拍手とともに、勇者アルスが壇上に上っていく。
「す、すごい人気なのね……勇者が」
ロニンが小さな声で呟いた。
「まあ、《魔王と戦える唯一の人間》ってことになってるからな。人間にしてみりゃ、英雄みたいな扱いさ」
「ふうん。そんなもんなんだ」
その魔王は新入生として普通に居座っている。
前代魔王を軽々倒した村人もここにいる。
それを知っている二人には、ここまで勇者がもてはやされることに、どうしても納得できないのであった。
勇者アルスは教壇に両手をつくと、大きく声を張り上げた。
「さて、これから騎士としての適正検査を行う! 諸君らには、着替えを済ませたあとーーデッドスライムと闘ってほしい。我々によって、モンスターはすべて無力化してある。攻撃を喰らっても怪我等はしないので、安心してほしい」
「え……」
ロニンが一転して顔を青くした。
「そんな……モンスターを、まるで玩具みたいに……」
そんなロニンの震える手を、シュンは無言で握るのだった。
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