引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
セレスティア・ヴィ・クローディア
「……ん?」
会場へ向かう道すがら、シュンはふいに立ち止まった。
人だかりができている。
どうやらひとりの女生徒を、大勢の新入生が囲んでいるらしい。かなりの人気者のようで、五十人もの生徒たちが彼女に話しかけようと躍起になっている。
「お兄ちゃん。あれなに?」
「……さあな。わからん」
ロニンの問いかけに、シュンも首を傾げた。
一瞬、女生徒の美貌に惚れた猿どもが群がっているのかと思った。
だが、どうもそれだけではないらしい。集団のなかには女の子も多く混じっているからだ。彼らは女生徒に向けて熱狂的なまでにアピールを行っている。
「セレスティア様、お目にかかれて光栄です!」
「ああ、セレスティア様!」
様付けとは、かなりやんごとなき身分なのかもしれない。
ーーそれにしても、セレスティア、か。
どっかで聞いたことある名前だが……誰だっけ?
シュンは考えるのも面倒くさくなり、そのまま会場へ向かおうとした。彼にとってはコネ作りなどどうでもよく、単にタダ飯を欲しているだけだ。
すると。
「あら」
ふいに、セレスティアがシュンに目を止めた。
「ごめんなさい。ちょっとどいてくださるかしら。すこしあの者に用事があるの」
「えっ……!」
取り巻きが一斉にどよめきを上げた。
皇女にして次期国王の有力候補として名を馳せているセレスティア。彼女が自分から声をかけにいく人物とは、いったいどんな者なのか。
その場にいた誰もが、シュンとセレスティアに目を向けた。
「ごめんください。シュンさん、でよろしいかしら?」
「ん?」
シュンはぽかんと口を開けた。なぜこの女が自分の名前を知っている。
ロニンはちょっと攻撃的な目つきでセレスティアを睨んだ。
「あなた……辺境の村の出身でしょう? 国王様からの推薦状を授かったのね」
瞬間、またしても学生たちがどよめきをあげた。
推薦状。それを授与される者は数十年にひとりといない。
それを貰ったというのだから、このひょろひょろとした男はさぞかし素晴らしい人物なのだろう。みなの期待がシュンに集まった。
「そうだが……誰だおまえ」
不躾なシュンの態度に、セレスティアは一瞬だけむっとしたが、すぐににっこりと笑みを浮かべた。
「これは失礼を。わたくし、セレスティア・ヴィ・クローディアと申します」
ーークローディア。ってことは王族か。どっかで聞いたことあるとは思っていたが。
「ほーん」
しかしながら、シュンの発した返答は、そんな間抜けなものだった。
会場へ向かう道すがら、シュンはふいに立ち止まった。
人だかりができている。
どうやらひとりの女生徒を、大勢の新入生が囲んでいるらしい。かなりの人気者のようで、五十人もの生徒たちが彼女に話しかけようと躍起になっている。
「お兄ちゃん。あれなに?」
「……さあな。わからん」
ロニンの問いかけに、シュンも首を傾げた。
一瞬、女生徒の美貌に惚れた猿どもが群がっているのかと思った。
だが、どうもそれだけではないらしい。集団のなかには女の子も多く混じっているからだ。彼らは女生徒に向けて熱狂的なまでにアピールを行っている。
「セレスティア様、お目にかかれて光栄です!」
「ああ、セレスティア様!」
様付けとは、かなりやんごとなき身分なのかもしれない。
ーーそれにしても、セレスティア、か。
どっかで聞いたことある名前だが……誰だっけ?
シュンは考えるのも面倒くさくなり、そのまま会場へ向かおうとした。彼にとってはコネ作りなどどうでもよく、単にタダ飯を欲しているだけだ。
すると。
「あら」
ふいに、セレスティアがシュンに目を止めた。
「ごめんなさい。ちょっとどいてくださるかしら。すこしあの者に用事があるの」
「えっ……!」
取り巻きが一斉にどよめきを上げた。
皇女にして次期国王の有力候補として名を馳せているセレスティア。彼女が自分から声をかけにいく人物とは、いったいどんな者なのか。
その場にいた誰もが、シュンとセレスティアに目を向けた。
「ごめんください。シュンさん、でよろしいかしら?」
「ん?」
シュンはぽかんと口を開けた。なぜこの女が自分の名前を知っている。
ロニンはちょっと攻撃的な目つきでセレスティアを睨んだ。
「あなた……辺境の村の出身でしょう? 国王様からの推薦状を授かったのね」
瞬間、またしても学生たちがどよめきをあげた。
推薦状。それを授与される者は数十年にひとりといない。
それを貰ったというのだから、このひょろひょろとした男はさぞかし素晴らしい人物なのだろう。みなの期待がシュンに集まった。
「そうだが……誰だおまえ」
不躾なシュンの態度に、セレスティアは一瞬だけむっとしたが、すぐににっこりと笑みを浮かべた。
「これは失礼を。わたくし、セレスティア・ヴィ・クローディアと申します」
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しかしながら、シュンの発した返答は、そんな間抜けなものだった。
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