引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

四天王あらわる

 薄暗い通路のなかを、ロニンとシュンはひたすら進んでいた。

 非常に狭い。
 人ひとりがやっと通れるくらいのスペースを、二人は手を繋いで歩んでいた。

 ーーなんだろう、これ……

 シュンの手にひかれながら、ロニンは胸の高鳴りが止まらなかった。

 彼の手に触れることで、さっきまでの緊張は幾分か和らいだ。

 けれど、今度は別の意味でドキドキが止まらない。
 ずっと魔王城で生活してきたロニンにとって、これは初めての感覚であった。

 誰かに恋心を抱くなんて、未経験のことだから。

 知らず知らずのうちに、ロニンは握る手に力を込めていた。

「……? どうした?」

 不審に思ったシュンが振り返ってくる。

「あっ、あっ、えっと、なんでもないの」

「……変な奴だな」

 シュンは首をかしげ、また歩み始める。

 そんな彼の背中を見つめながら、ロニンは思うのだった。

 ーー私、お兄ちゃんに会えてよかった。
 本来なら無関係なことなのに、こうして魔王城まで来てくれてありがとう。
 私も、変われるように頑張るからーー

 ひとり決意を新たに、ロニンはシュンの手に引かれていくのだった。

 何分ほど歩いただろう。

 狭い通路を抜け、今度は広い部屋に出た。

 二人が出ると、部屋に通じていた穴は閉じ、裂け目などもまったく見えなくなった。

「ここは……?」

 呟きながら、シュンが室内を観察する。

 弓や剣、鎌など、さまざまな武器具が壁に立てかけられている。甲冑もあちらこちらに飾られており、どこか物々しい雰囲気を感じさせる。

 微妙な懐かしさを味わいつつ、ロニンは言った。

「訓練場だよ。城を警備するモンスターたちは、ここで訓練してるの」

「ほーん。なるほどねえ」

 妙に納得するシュン。
 万が一この抜け穴を使われても、訓練中のモンスターに返り討ちに遭う。たしかに理には適っている。

 ただし、いまは一匹たりとて敵兵はいない。ディストがうまく陽動してくれているようだ。

「さて、行くか。魔王の部屋はどうやって行くんだ?」

 通路を出たことで、シュンはロニンから手を離してしまった。

 そのことに名残惜しさを抱きながら、ロニンは返答する。

「えっと、まずこの部屋から出て……」

「いや。先には行かせませぬ」

「…………!」

 不意に第三者の声が聞こえ、ロニンは息を呑んだ。

 シュンもさっと身構え、ロニンを背にまわす。

「やはり我の推測は当たっていたようですな。ここに三人の四天王を配置して正解でしたわ」

 三人……四天王……

 ロニンがその言葉を理解するよりも早く。
 突如、なにもなかった空間から、三体の闖入者が姿を現した。

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