引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

これぞ最強の引きこもり

 二ヶ月半後。

 きたるべき《魔王城侵略》に備えて、三人はリビングで顔を合わせていた。

 それぞれがテーブルを囲う形で椅子に座っている。

「いまさら悪いが」

 とディストは腕を組みながら言った。

「この二ヶ月半で、我々は本当に強くなったのか? いまいち実感が湧かんのだが」

 めいっぱい修行して、敵を倒し、そしてまた修行する……これの繰り返しによってのみ、自己のステータスが磨かれていく。

 ディストにはやはり、その先入観が拭いきれなかった。

 家にこもっているだけでステータスが向上するなど、都合が良いにもほどがある。

 シュンはニヤニヤ笑いながら言った。

「そう思うか? なら自分のステータスを開いてみな」

 シュンはこれまで、彼らのステータス確認を禁止してきた。
《ステータスを見たら成長が遅くなる》と言っておいたが、単に二人の驚く顔を見たかっただけである。

 ディストは訝しげな表情で「ステータス・オープン」と唱えた。

 ロニンもそれに続く。

 いま、二人の目の前には自分の数値がありありと映っているはずだ。
 ーーありえないほどに強くなった、自分のステータスが。


《ロニン

 HP 6900/6900
 MP 8567/8567

 物理攻撃力 4579
 物理防御力 5000
 魔法攻撃力 8901
 魔法防御力 8763
 俊敏性   7298

【職業】
 引きこもり Lv.81  》

《ディスト

 HP 7000/7000
 MP 4599/4599

 物理攻撃力 8703
 物理攻撃力 7980
 魔法攻撃力 4201
 魔法防御力 3899
 俊敏性   6509

【職業】
 引きこもり Lv.72  》


「うそ!?」
「なんだこれは!?」

 二人は同時に叫んだ。

「な?」

 シュンはドヤ顔で二人を見回した。

「引きこもりは最強の職業なんだよ。なんといってもその成長率が半端ねえ」

「こ……これは!」

 ディストが身を震わせながら、ガタンと椅子から立ち上がる。

「信じられぬ! 俺が懸命に修行しても、この境地には達せなかったというのに……!」

 そしてシュンを見下ろすと、興奮さめやらぬようすで叫んだ。

「いける! いけるぞ! これなら三人でも魔王城を攻め込める!」

 シュンもにやりと笑った。

「……引きこもり軍団の完成だな」

 かくして三人は、ロニンを救うべく、魔王城へ向かうのであった。

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