ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
46話ー罠ー
……−−。
「へぇ……なんか下で始まってんな。シドーかあの狐女か……こちとらもぬけの殻もいいとこだってのによ」
RB軍曹は縦穴の階段から階段へと飛び移り、ある程度ショートカットしながらこの広大な区画を探索していた。
ここからではある程度しか聞こえはしないが銃声と何かの破裂音が聞こえてきていたのだが、それには目もくれず自分が与えられた探索区画を歩き回っている。
(なんか気分悪ィな……。何かしら見られてンのはわかってるがそれがなんなのかまったくわからねェ)
このシャフトに入ってからここしばらくなんらかの気配を感じていた。
ドミネーターとも人間とも取れない嫌な気配だ。
厄介なものなのか無害なものなのかすら判断できず、本腰入れて対処する気にもなれない。
縦穴側面の壁のいたるところにグレアノイド侵食が進んでおり、どこか脈動めいた動きをしている。
その生々しい物体はおそらくグレアノイド侵食を受け変質した海藻やプランクトンなどが壁にへばりついたもの。
「臭っせェな……」
その物体は時折腐敗ガスを噴出することがあり、酷い匂いを撒き散らす。
「どうする……キナ臭ェ場所はいくらかあるが……」
立体モニターに映し出された採掘シャフト内部の構内図の一部を拡大していく。
幾つかのメンテナンス用通路が外部につながっている。それは通気口であったり非常口であったりするのだが……。
(今は閉じられてるはずだよなァ……)
通気口は確実に閉じられている。だからこそのこの閉塞感と淀んだ空気。
非常口が閉じているのもここに潜伏しているであろう本土軍の人間を逃さないようにするためだ。
構内図をもう一度確認しても示されている非常口は根こそぎ閉じている。
「俺ならここを通るけどなァ」
……と、RB軍曹が来たのは自分の担当外であり本来蘇芳の担当であるエリアの非常口への扉。
下層のためグレアノイド侵食レベルも高いはずだが、RBは平気な顔をして非常口にかけられているセキュリティを確認する。
(無理やり開けられた形跡はねェな……。まあ、逆に怪しいわけだがよ)
非常口のセキュリティロックを解除し堅牢な扉を開く。
開けた先には通常、代わり映えのしない通路が続いているはずである。
「……Wow」
続いている……はずだった。
強烈な赤い光と音の空気の壁が襲い来る前に見えたのは、これでもかと設置された爆薬の山だった。
……−−。
「はあ!? なんだどうした!?」
上層エリアを確認して回っていた新田大尉は凄まじい爆音と揺れに驚き縦穴を覗き込む。
煌々と赤く燃える火と凄まじい煙が登ってきていた。
「おいおいおい、やばいことになってるじゃねーの!! くそ……降りるしかないかねこれは」
新田は自分の担当エリアであるところはすべて回り終わり、上層階で待機していた。
ある程度何もないことを祈っていたが、先刻の銃声や爆発音で何か起こっていそうなことは知っていたのだ。
だがメンツがメンツだ、自分のやることさえ終わっていれば出しゃばる必要はない。だからこそ待機を選び、ことが終わるのを待っていたのだが……。
「姐さんのいる階層あたりだなこりゃ。どうにかなってるとは思えはせんが……」
新田大尉はごくりと生唾を飲みつつ下層へ向かうことを決めた……。
「へぇ……なんか下で始まってんな。シドーかあの狐女か……こちとらもぬけの殻もいいとこだってのによ」
RB軍曹は縦穴の階段から階段へと飛び移り、ある程度ショートカットしながらこの広大な区画を探索していた。
ここからではある程度しか聞こえはしないが銃声と何かの破裂音が聞こえてきていたのだが、それには目もくれず自分が与えられた探索区画を歩き回っている。
(なんか気分悪ィな……。何かしら見られてンのはわかってるがそれがなんなのかまったくわからねェ)
このシャフトに入ってからここしばらくなんらかの気配を感じていた。
ドミネーターとも人間とも取れない嫌な気配だ。
厄介なものなのか無害なものなのかすら判断できず、本腰入れて対処する気にもなれない。
縦穴側面の壁のいたるところにグレアノイド侵食が進んでおり、どこか脈動めいた動きをしている。
その生々しい物体はおそらくグレアノイド侵食を受け変質した海藻やプランクトンなどが壁にへばりついたもの。
「臭っせェな……」
その物体は時折腐敗ガスを噴出することがあり、酷い匂いを撒き散らす。
「どうする……キナ臭ェ場所はいくらかあるが……」
立体モニターに映し出された採掘シャフト内部の構内図の一部を拡大していく。
幾つかのメンテナンス用通路が外部につながっている。それは通気口であったり非常口であったりするのだが……。
(今は閉じられてるはずだよなァ……)
通気口は確実に閉じられている。だからこそのこの閉塞感と淀んだ空気。
非常口が閉じているのもここに潜伏しているであろう本土軍の人間を逃さないようにするためだ。
構内図をもう一度確認しても示されている非常口は根こそぎ閉じている。
「俺ならここを通るけどなァ」
……と、RB軍曹が来たのは自分の担当外であり本来蘇芳の担当であるエリアの非常口への扉。
下層のためグレアノイド侵食レベルも高いはずだが、RBは平気な顔をして非常口にかけられているセキュリティを確認する。
(無理やり開けられた形跡はねェな……。まあ、逆に怪しいわけだがよ)
非常口のセキュリティロックを解除し堅牢な扉を開く。
開けた先には通常、代わり映えのしない通路が続いているはずである。
「……Wow」
続いている……はずだった。
強烈な赤い光と音の空気の壁が襲い来る前に見えたのは、これでもかと設置された爆薬の山だった。
……−−。
「はあ!? なんだどうした!?」
上層エリアを確認して回っていた新田大尉は凄まじい爆音と揺れに驚き縦穴を覗き込む。
煌々と赤く燃える火と凄まじい煙が登ってきていた。
「おいおいおい、やばいことになってるじゃねーの!! くそ……降りるしかないかねこれは」
新田は自分の担当エリアであるところはすべて回り終わり、上層階で待機していた。
ある程度何もないことを祈っていたが、先刻の銃声や爆発音で何か起こっていそうなことは知っていたのだ。
だがメンツがメンツだ、自分のやることさえ終わっていれば出しゃばる必要はない。だからこそ待機を選び、ことが終わるのを待っていたのだが……。
「姐さんのいる階層あたりだなこりゃ。どうにかなってるとは思えはせんが……」
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