ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最凶生体兵器少女と働いたら
第1節4部ー再会ー
「その、どうだった? コクピットの中……」
「かなりグレアノイド侵食が進んだ状態だった。グレアノイド侵食を受けた亡骸もあったぞ」
「そう……やっぱりね。ひどいことにはなってるだろうとは思ってたの。私じゃどうしても確認できないから。見てくれてありがとう」
そこまで会話すると、雛樹と葉月は事務所へ戻った。そして、与えられた住居に向かおうとする雛樹に……。
「センチュリオンノアの第3区画はとても綺麗なところよ。よかったわね」
「別に綺麗じゃなくてもいいんだけどな……。住んでくれってのが気になるんだ、それより。どういうことなんだ?」
「それは私にもわからないわ。こんなこと異例だもの」
企業連が民間企業の社員に直接住居を指定するなど、聞いたことがない。何か特別な事情があるのだろうが、そんなもの知る由もなく……。
「とにかく行ってみるさ」
「ええ。ああ……あと」
雛樹が事務所を出ようとすると、葉月が小さな白い箱を差し出してきた。
「退院おめでとう。これ、そんな大したものじゃないけど」
「おお、ありがとう。ありがたくもらっておくよ。中は……楽しみに取っておくとしようかね」
白い小さな箱を持った右手を小さく上げて、雛樹は外へ出た。さて、ここから指定されている住居の場所まで結構な距離がある。しかし、入院していてなまった体をほぐすことも兼ねて、もらったマップデータを頼りに徒歩で向かうことにした。
このセンチュリオンノアは幾つもの島でできている。今、雛樹が向かっているのは都市部隣の島にある場所なのだが……。
「でかい橋だなー。これで島同士繋がってるわけか」
行き来するための橋と、その下には島と島をつないでいる巨大な鉄の柱が何本か。
人工的に島をつないでいるために、こうした接続器具とも呼べる施設がセンチュリオンノアにはいくつもあるのだ。
その橋を抜けると、随分のどかな丘陵地。なだらかな地形を利用した豊かな畑が広がっていたり、川が横切っているのも見えた。
海上都市に存在する川はほぼ人工的に建設されたものだ。後ろを振り向くと見える、未来的な都市部と比べると不思議な感覚を覚えてしまう。
舗装もされていない道を進んでいくと、丘の上に建てられた小さな家が見えてきた。
その家が自分の住居になる場所……なのだが。
「……随分な鍵がかかってるな」
シックな見た目にそぐわず、最新式のセキュリティキーが幾重にもかかっている。個人の住居にこれだけのセキュリティは必要なのかと疑問に思いながらも、事前に知らされていたコードやら何やらを使用して解錠。
家の中に入ると、木の香りがふわりと身を包んでくる……と、同時に何かの気配を感じた。
玄関で身動き一つせずに耳を澄まし、神経を集中させたのだが……上から聞こえてきた軽い足音を聞き、視線をそこに向けた。
吹き抜けから降りてきている階段だ。そこにいたのは……。
「あ、しどぉ。なぁに、面白い顔ー」
褐色白髪の赤い瞳を持つ少女が、階段の手すりから顔を覗かせていた。
なんでここに方舟の最高戦力が! そんな驚きと戸惑いで、自分はひどい顔をしていたのだろう。じとっとした目を持つ彼女は、やっときたのかといった態度で、そんな顔を指摘したのだった。
「かなりグレアノイド侵食が進んだ状態だった。グレアノイド侵食を受けた亡骸もあったぞ」
「そう……やっぱりね。ひどいことにはなってるだろうとは思ってたの。私じゃどうしても確認できないから。見てくれてありがとう」
そこまで会話すると、雛樹と葉月は事務所へ戻った。そして、与えられた住居に向かおうとする雛樹に……。
「センチュリオンノアの第3区画はとても綺麗なところよ。よかったわね」
「別に綺麗じゃなくてもいいんだけどな……。住んでくれってのが気になるんだ、それより。どういうことなんだ?」
「それは私にもわからないわ。こんなこと異例だもの」
企業連が民間企業の社員に直接住居を指定するなど、聞いたことがない。何か特別な事情があるのだろうが、そんなもの知る由もなく……。
「とにかく行ってみるさ」
「ええ。ああ……あと」
雛樹が事務所を出ようとすると、葉月が小さな白い箱を差し出してきた。
「退院おめでとう。これ、そんな大したものじゃないけど」
「おお、ありがとう。ありがたくもらっておくよ。中は……楽しみに取っておくとしようかね」
白い小さな箱を持った右手を小さく上げて、雛樹は外へ出た。さて、ここから指定されている住居の場所まで結構な距離がある。しかし、入院していてなまった体をほぐすことも兼ねて、もらったマップデータを頼りに徒歩で向かうことにした。
このセンチュリオンノアは幾つもの島でできている。今、雛樹が向かっているのは都市部隣の島にある場所なのだが……。
「でかい橋だなー。これで島同士繋がってるわけか」
行き来するための橋と、その下には島と島をつないでいる巨大な鉄の柱が何本か。
人工的に島をつないでいるために、こうした接続器具とも呼べる施設がセンチュリオンノアにはいくつもあるのだ。
その橋を抜けると、随分のどかな丘陵地。なだらかな地形を利用した豊かな畑が広がっていたり、川が横切っているのも見えた。
海上都市に存在する川はほぼ人工的に建設されたものだ。後ろを振り向くと見える、未来的な都市部と比べると不思議な感覚を覚えてしまう。
舗装もされていない道を進んでいくと、丘の上に建てられた小さな家が見えてきた。
その家が自分の住居になる場所……なのだが。
「……随分な鍵がかかってるな」
シックな見た目にそぐわず、最新式のセキュリティキーが幾重にもかかっている。個人の住居にこれだけのセキュリティは必要なのかと疑問に思いながらも、事前に知らされていたコードやら何やらを使用して解錠。
家の中に入ると、木の香りがふわりと身を包んでくる……と、同時に何かの気配を感じた。
玄関で身動き一つせずに耳を澄まし、神経を集中させたのだが……上から聞こえてきた軽い足音を聞き、視線をそこに向けた。
吹き抜けから降りてきている階段だ。そこにいたのは……。
「あ、しどぉ。なぁに、面白い顔ー」
褐色白髪の赤い瞳を持つ少女が、階段の手すりから顔を覗かせていた。
なんでここに方舟の最高戦力が! そんな驚きと戸惑いで、自分はひどい顔をしていたのだろう。じとっとした目を持つ彼女は、やっときたのかといった態度で、そんな顔を指摘したのだった。
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