シスコンと姉妹と異世界と。
【第96話】ショーとの任務③
「とまぁ、こんな所かな〜」
「おお、急にテレパス切れた。思ったより激しい物語だったわね……」
「そう……だね。本当に危うかった」
「ショーくんも人を殺しちゃったか……。まだ12歳なのに重い十字架を背負わせちゃったね」
「うん……。今でこそちゃんと笑ってくれるけど、やっぱりどこか気にしてる所があっただろうし。……わたしのせいで」
「悪いのは相手の連中なんだから、サニーがそこまで思い詰めることもないよ……」
「でもっ」
「もしサニーがショーくんなら、自分が助けた子が笑顔なのと悲しい顔をしてるの、どっちがいい?」
「……笑ってる方がいい」
「サニーがどうしてもショーくんに対して負い目を感じちゃうなら、それこそ笑顔でいてあげなきゃ」
「……うん……」
「で、実際のとこどうなのよ?」
「え、どうって……?」
「皆まで言わせるのー?」
「…………」
「ショーくんのこと、好きになった?」
「やっぱりそれかっ」
「でぇでぇでぇ、どうなんですかぁ〜サニーさん?」
「そんなニヤニヤした悪い顔で聞いてこないでほしいんだけど……」
「惚れた?」
「ほ、惚れては……ない……かな、多分……おそらく……」
「歯切れ悪過ぎないかな?」
「歳の差も、3つ向こうが下だし……。格好良い、とは思ったけど惚れるってのとはちょっと違う感じ、なのかなぁ……」
「ふーん?」
「自分でもよく分かんないよ……」
「でもさ、お風呂一緒に入ってたよね?」
「あれは、みんなも一緒だったし……」
「抜け駆けして2人っきりでさっきまで入ってたよね?」
「なぜそれを……」
「それだけ髪濡らして来て誤魔化せると思ってたの??」
「うぅ……」
「ショーくんには裸を見られたんだよね?」
「ま、まぁ……」
「嫌だった?」
「嫌というよりは、ただただ恥ずかしかった……。身体の内側から熱がぶわ〜っと広がるような感じで……」
「それって女が目覚めちゃってない?」
「そ、そんなことないってば! アリスってば何言っちゃってるんだかもうっ!!」
「でも、サニーからショーくんにキスしたんでしょ? 話を聞いた限りじゃさ」
「…………」
「思い出してるからって黙らないでよ〜」
「思い出してたわけじゃないってば!」
「…………」
「あぁもう! 好き、好き、大好きだってば! 最初はなんか窮地を救われたから色眼鏡で見ちゃってるだけだと思ったりもしたけど、全然そんなことなくてドキドキしちゃって……」
「頂きました〜。『好き、好き、大好きだってば!』」
「え、……なにそれ?」
「録音結晶、っていったところかな。記録魔法の応用って感じだけどね。ルーンで魔法効果をこの箱みたいな本体に刻み込んであるだけなんだけどさ。ほら、ここのスイッチ押してみて?」
「ここ?」
『好き、好き、大好きだってば!』
「いやー、いいね。寂しくなったらこれ聞こうっと」
「アリスに言ったんじゃないってばぁっ」
「あははは。でもそっかぁ、サニーもかぁ……」
「サニーも、って……、アリスも!?」
「さすがにサニーほどじゃないと思うけど……ね」
「アリスも何かあったの?」
「そんな、サニーみたいな物語はそうそう無いよ」
「じゃあ、なんで?」
「普段の感じがなんかねぇ〜。ショーくんだったら、わたしの初めての男になってもいいかな、って」
「なななな……何言ってんのアリス!?」
「何をそんな慌ててるの? サニーだってショーくんのことが好きならそーゆーこと考えてたんじゃないのー?」
「わ、わたしはそんなこと……ちょっとくらいしか」
「別に女の子同士のガールズトークなんだから、恥ずかしがることなんかないのにぃ〜」
「もう、アリスのエッチ」
「ぐへへ〜、そんなことを言うのはこの口か。塞いでやるぞ〜」
「止めて! そんなニヤニヤした顔でチューしようとしないでったら」
「「イタッ!」」
「拳骨じゃなくたっていいじゃない、エリーゼの暴力女! 暴力振るう人嫌いってショーくん言ってたぞー」
「う、うるさい! みんな疲れてるんだ、静かにして早く寝ろっ」
「じゃあ、話の続きはまたいつか」
「そう遠くないうちに、ね?」
「「おやすみなさい」」
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