シスコンと姉妹と異世界と。

花牧優駿

【第43話】文化祭準備②




 「じゃあ早速なんですけど、どこに出店するのがいいかと思いますか?」

 「うーん……。食堂をそのまま使えないかな? あ、でもそうすると寮生がメシ食う所無くなっちまうか」

 「確かにショーの言うとおり、そこは懸念があるね。でもいっそ寮生の場所を予め決めておいて、その他の範囲でお客さんを入れるのもいいんじゃないかな?」

 「確かに、その案はアリだな。ローズ。実際のとこ、使えそうなのか? 食堂って」

 「お姉様に尋ねてみないことには……」

 「そしたら皆、場所の件は実行委員長の弟妹であるショーとローズに一任して、役割を決めよう」

 「役割っても厨房か配膳・接客だろ?」

 「まあそうだね。あとは各自でトンカツ用にコブシシ狩りだね。あ、頭は売り飛ばして備品を揃えるのに使おう。まぁ10頭もいれば不足することはないだろうし、保存はショーとローズが上手くやってくれるよね?」

 「買い被り過ぎじゃねーか? まぁ、やるけどな」

 「はい! 任せてください!」

 「で、接客とかどーする? 俺はトンカツ出す以上厨房に入ろうかと思ってるんだけど……」

 「お兄ちゃんの執事姿見たいんだけど!」

 「そう言われてもなぁ……。皆はローズは厨房と接客、どっちが」

 「「「接客」」」

 ほとんど皆の声が揃っていた。ローズ可愛いからなぁ。メイド姿観るの楽しみだな……。まあ、摘み食いしそうってのも皆にはあるかもしれないけど。

 因みに後で聞いた話では、摘み食いの懸念が7、メイド姿3くらいの割合だった。

 「それならショーは調理風景がお客様から見れるところでやってもらおうか」

 「完全に見世物じゃねーか……。でもまぁ、その方がお客さんは喜ぶだろうな」

 えらくトンカツ気に入られたりして、どっかのお偉いさんにコックとしてスカウトされたらどうしよ。そんなハプニングみたいなの求めてないからな。

 あれだ、show's キッチンだ。名前と英語のショーとで上手いこと整うのもいいな。……高いところから調味料振るのは盛り上がるんだろうか。

 「じゃ、モーリスは接客な。お前の面構えを嫌う女性客は居ないだろうしな。いい笑顔で高いものを勧めてくれればそれで大丈夫だろう」

 (((悪代官だ……)))

 「分かった。ガンガン貢がせて、ガンガン稼げばいいんだね!」

 「そこまでぶっちゃけて身も蓋ないこと言うなよ……」

 「だってそうでしょ? あとは……もし食堂が使えたら、お姉さん方にもメイド服着てもらって厨房の方手伝ってもらう?」

 「確かにそれはありだな。本職がいた方が安定感もあるし、いざと言う時に頼りになるからな」

 「そしたらとりあえず今週末に皆でコブシシ狩りに行って、肉の調達と資金の上乗せをしよう。場所については2人に任せるってことで。でいいよね?」

 「うん! モーリス君カンペキ! わたしは書類出してくるから! それじゃ皆、今日はお疲れ様でした!!」

 皆が教室を後にして、ローズは俺、モーリス、書類提出から戻ってきたローズの3人が残された。

 「上手くいくかなぁ?」

 「まぁモーリスの営業スマイルが何とかしてくれるだろ」

 「ショーの劇場型トンカツにも期待してるよ」

 「もちろんローズの可愛いメイド姿にも期待してるよ。とりあえずメイドと執事の衣装を今ある予算で作っといてくれ。採寸はまぁ各自で提出してもらうようにして、ローズが管理すれば問題ないだろ」

 「わたし!? お兄ちゃんが管理してよぅ……」

 「女の子の採寸結果を俺が持ち歩くのはダメだろ……なぁ?」

 「確かに必要なのかもしれないけど、変態面に堕ちたとか言われるかもしれないね。僕は耐えられそうにない。あだ名が変態悪代官だなんてね……」

 「お前の中でも俺は悪代官なのかよ……」

 「そろそろ帰ろ? わたしお腹空いてきた〜」

 「そうだね。もう陽が差し込んでくるくらいだし」

 「あいよ〜」

 扉を開けると廊下に阿修羅がおり、こちらへ向かって来ていた為に、俺はすぐに扉を閉めた。






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