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山田 武

偽善者と自己紹介 その05



夢現空間 居間


「いつもいつも大雑把に――不定期に開催、自己紹介の時間ッデスッ!」

『いつも視聴させてもらっているぞ』

「お、嬉しいこと言ってくれるな。放送している甲斐があるってもんだ」

『主のやっていることだからな。それに、同じ眷属たちのことも分かるのだ……これが、一石二鳥であろうか』

「訊かなきゃ分からないこともいっぱいあるからな。こういった機会を設けてやらない限り、分からないなんて寂しいし……」

『それでこそ、我が主であろう』


 何でも肯定してくれるのは嬉しいが、少しこそばゆいな。


「……どこにそのセリフを言う要素があるんだよ。俺は別に、そこまでに偉大な奴じゃ無い……って言ったら、また女体化したリョクと会ったばかりの時みたいになるのか。仕方ない、止めておくか」

『…………あまり思い出させないでくれ。あのときはその、少々舞い上がっていたのだ』

「いやーあのときの言葉は感動したぞ。こっちに飛ばされる前に言われた言葉の中でも、ベスト10的なものにランクインするぐらいには、俺に響いてきたんだ」

『…………本当に勘弁してくれぇぇ……』


 うんうん、やっぱり可愛いんだよな~。
 ゴホンと咳払いをしてから、話を元に戻していく。


「――ところで、国の方はどうなっているんだ? 定期的に報告は貰っているが、書類だけじゃ分からないこともあるしな」

『どの国も順調に運営されている。ラントスだけは代表が居ない為少々難航していたが、それでも問題があるというわけでは無い』

「そっか。……苦労を掛けるな、お前にも国王にも」

『ジークとも偶に会話をするが、年齢以外は問題無いと言っていたぞ』

「色々と無理を押し付けてしまったからな。
 子供たちも学校に通ってもらってるし……次の代に代わったら、盃でも交わすかな?」


 別に俺は男が嫌いってわけでも無いし、国王のことも良い人だと思ってる。
 だからこそ、俺はアレ・・を勧めてしまったんだろうな。


「……よし、それじゃあ始めるか」

『うむ、よろしく頼む』


 今回もまた、インタビューが始まる。


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「問01:あなたの名前は?」

『リョクだ』


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

『今は女で、出身は洞窟だな。生年月日は分からん』

「洞窟って、どこの洞窟なんだ?」

『主と会った森の少し先に、小さな洞窟が存在するのだ。我らはかつて、そこで生きてきたのだが……あの時の我以上の魔物に場所を占拠されてな。仕方なく場所を移動していたわけだ』

「お、おう(スッゲーイベントっぽいよ)」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

『身長165、髪と眼は緑、一本の角が額から生えている』


「問04:あなたの職業は?」

『【忠誠の勇者】だ』

「……魔物が就いて良い職業なのかな?」

『主への忠誠心を示す職業がこれしかなかったのだ、仕方が無い』


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

『主への忠誠心がMAXだ』

「……最近、眷属の大半がそうじゃないかと疑い始めたよ」

『それでも、我が一番だ』

「……かもな(女体化する程だし)」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

『ダンジョン潜りだ』


「問07:座右の銘は?」

蹇蹇匪躬けんけんひきゅうだ』


「問08:自分の長所・短所は?」

『長所は忠誠心だ。短所は……忠誠心ゆえに暴走することだ』

「『――代表して主に捧げるのです!』」

『……我が主、それだけはご勘弁を』


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

『リーンの周りのエリアを巡るのが好きだ。
 嫌いなことは、何もできないことだな』


「問10:ストレスの解消法は?」

『ダンジョンに潜ることだ』


「問11:尊敬している人は?」

『偉大なる我が主だ』


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

『何事も、主優先だな』


「問13:この世で一番大切なものは?」

『我が主だ』


「問14:あなたの信念は?」

『忠臣であり続けることだ』


「問15:癖があったら教えてください」

『男の時の生理的行動を偶にしてしま――』

「中々無いご意見をありがとう!」


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

『ツッコミだ』


「問17:一番嬉しかったことは?」

『主が我らを救ってくれた時だ』


「問18:一番困ったことは?」

『主と会ったばかりの頃の政治だな。何も知らないゴブリンに、いきなり政治など大変であった』


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

『鬼殺しが好きだな』


「問20:自分を動物に例えると?」

『鬼だな』


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

『リーンでは、お、王妃と偶に呼ばれるな』

「…………」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

『あのときの発言だな「……」言わないで欲しい!』


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

『リーンを繁栄させることだ』


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

『主のためのものだ』


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

『必要ない』


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

『主がなんとかする』


「問27:何か悩み事がありますか?」

『服装を悩むな』

「今度一緒に探してみるか。お前に似合う服装をな」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

『無い……と言いたいが、主と会う前……縄張りを占拠された時に一度思った』


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

『もうこの状態が生まれ変わったようなものだろう』

「……書き換えたんだけどな」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

『主と共に生きる我に、死は必要ない』


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

『主、主はあの頃から変わってくれた』


「…………問32:最後に何か一言」

『だから、我にも助力できることがあったら言ってくれ。いつでも協力する』


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「……はい、カット。リョク、毎度毎度お前の言葉は響いてくるな」

『我にその自覚は無いのだがな』


 王のカリスマ……ってヤツなのかな?
 俺みたいな奴の元でも、そんな才能は光り輝く。

 ――せめてその輝きが衰えないように、少しでも支えた方が良いのかな?


「リョク、暇な時は修練に付き合ってくれ」

『ッツ! 承知しました!!』


 ……これで……良いのかな?
 何だか(比喩的な意味で)目の色が変わったリョクを見て、そう思うのであった。



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