AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と『不死魔王』 その02



 と、言うワケで俺は城の上空までやって来たのだが……その前に幾つかの準備をしておくとしよう。


「グー、どういう原理で死体は動いていたんだ? 説明してくれ」

《分かったよ。あのアンデッド達は、さっきも言った通り人為型によるものだったよ。地面にアンデッド化を促すスキルを籠めていたみたいで、この結界内に誰かが入ることを条件に辺りの死体をアンデッドにする。そしてそれのアンデッド達が、勝手に侵入者を攻撃するってワケさ》


 ……とりあえずは対処できたが、元を断たなければまた別の場所から死者達が来るってことか。
 確かによく視ると、こっちに向かって来ているみたいだな。

 再び(遠視)で先程までいた所を確認していると、死者達が行動可能な状態にまで復活しており、また別の所にいたと思われる死者と合流して俺のいる場所を目指しているみたいだ……と言っても、今いる場所から1kmぐらい離れているので、ゆっくり歩いている死者達がここに来るのは直ぐでは無いだろうな。


「ドゥル、この木刀を仕舞ってくれ」

《仰せのままに、我が王。次の武器はどうされますか?》

「こっちで用意するから問題無い」

《……仰せのままに》


 いや、そんなにガッカリしなくても……。
 俺は黒木刀を仕舞うと、"収納空間"から"慈愛のラッパ"であるガーを取り出して装備をしていく。


《ガーか……彼女はマスターが一回も使ってくれないと拗ねていたが、どうしてこのタイミングで?》

「え? マジか。そりゃ悪いことをしたな。簡単に言うと、ガーにリコーダーのような気分を感じていたんだ」

《……別に、マスター以外が使っていたわけじゃ無いんだから。そもそもとして、ガーはマスターの聖武具じゃないか》


 さすがグーさんである。俺の言いたいことが良く分かっている。

 リコーダーのような気分とは……ほら、あれだ。
 放課後に女子のリコーダーを舐めて、間接キスにするという、変態チックなヤツ。

 別にそんな経験全く無いのだが、よくよく考えたらガーを吹くってキスに入るのではという思考に陥ってしまい……中々使えなかったと言うワケである。


《……ガーも許してくれたみたいだよ。だけど、それならラッパじゃなくても良かったのでは? と言っているけど》

「あ~、慈愛のイメージが中々浮かばなかったんだよ。ジブリ○ルとか百合とかは浮かんだけど、片方は世界を滅ぼしそうだし、もう片方も……百合に走りそうだったし」


 殺戮天使と破軍歌姫だしな。
 どっちを選んでいたとしても、大規模な事件が起こりそうだな。


《……ガー、それは僕からじゃ無くて自分で言うことにした方が良い。マスター、それより早く行うことにしようか》

「……お、おう。なら、最後に装備の確認だけだな」


 何やらガーも言うことがあるらしいので、今回の強者との邂逅で覚醒できると良いな。
 さて、装備を組み替えて~と……よし、完成だ。
 新しい俺の装備を観よッ!!


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防具頭:鬼龍王の鉢金
防具胴:断罪のマント
防具上衣:寵愛礼装
防具下衣:〃
防具腕:救世の籠手
防具脚:パーティエンス・ブーツ

アクセサリー:

顔(耳含む)
/陣視の隠形コンタクト眼鏡レンズ


/解放のチョーカー


/武具庫の腕輪


/神呪の指輪
/ラスト・リング
/兵器統率の指輪
/挑む者の指輪
/時空の指輪
/再生の指輪

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 ……鉢金と指輪ぐらいしか変わってないんだけどな。
 武器は(同時武器所持)によって複数持っていられるから表示する意味がなくなったから割愛したぞ。

 新しくなった"鬼龍王の鉢金"は、前の【鬼人王】の補正の他に、鬼や龍系の種族のスキルにも補正が掛かるようになっている。

 後"再生の指輪"は、前回のクエラムの時に使っていた武技を再現できる指輪だ。
 再生という単語が示す――蘇生・更生・リピート・リサイクル・輪廻・想起・回復を全て補正できる指輪だが、全てを補正している所為か一つ一つの能力があまり高くない(だから武技は劣化するのだと思う)。


「……うっし、それじゃあ行くか」

《マスター、何をするんだい?》

「う~んと……殴り込み? 撃ち込み?」


 俺はまず、城に幾つかの魔法を掛ける。
 その次に、自身の能力値に補正の掛かるスキルや魔法を一気に掛けていく。


("エンチャントブースト")
("レインフォースブースト")
("ドラスティックブースト")
("疾如風"、"徐如林"、"侵掠如火"、"難知如陰"、"不動如山"、"動如雷霆")
("ステータス譲渡")


 (付与魔法)(強化魔法)(激強魔法)【風林火山】を発動させてステータスを強化した後、【謙譲】を使ってINT以外の能力値を、1残して全てINTに注ぐ(闘技大会の時に方便として言った能力だが、本当に存在するぞ)。

 そしてガーに口を当てながら、(神氣)を練り込み、流し込む。


「よっしゃー、行くぞ――ガー!!」

《…………ッ!》


 (神氣)を限界まで注ぎ込めた瞬間、ガーのスキルである二つのスキルを発動する――

(――"無限拡張""最後の審判")

 それが生み出した光景は、正に最後の審判と呼べるものだったのだろう。



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