AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と再会



夢現空間 玄関


 ギーとの狩りを終えた後、俺は夢現空間へと移動することになる。
 あの後、色々な武具への変化をしてみたんだが、ある程度の理解さえあれば何にでもなれた――そう、MSや戦艦にすらな。
 途中から宴会芸みたいな感じになっていた気もするが……今は良いだろう。
 そして、安全地帯である島の中央へ戻ってから{夢現空間}を発動させて、玄関に入ってみると――


「ただい……ま……」

『どうしたの、メルス? ……あ』


 そこには、懐かしい面々が待っていた。


『お帰りなさい!』×7


 リョク、フェニ、フーラ、フーリ、レン、レミル、ミント。俺が創った空間に置いてきた眷属達が、何故かメイド服姿で俺を迎えてくれた。俺、メイド服はそんな大量に創って無かったんだがな(ちなみに、俺の作った服の大半は衣装部屋という部屋に置かれている。偶に追加するのだが、消えることがあるんだよ……不思議だな)。
 ……あれ、リッカは? 一応空間内にリッカの反応自体はあるから、ドッキリでも仕掛けようとしているのかな?


移動中
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


居間


「……え? 何がどうなってるんだ?」

『少々調べるのに時間が掛かりまして……』


 レンが俺にそう伝えてくるが……何か言っただろうか。そう考えていると、念話が頭に流れてくる。


《ご主人が最後にレンに伝えたあの言葉を、レンは愚直に信じ続けたのだ》

「(っと言われても……どういうことだ?)」

《主はレンに「99%を100%にしてくれ」と仰ったのですね》

「(……言ったな)」

《レン様はメルス様が消えて以降、運営と呼ばれる存在や運命神についての調査を始めました。それがある程度完了しましたので、皆様と一緒に来たということです》


 確かに俺はレンに色々なことを教えたし、グーが見つけた知識を――恐らくだがレンも知っていたのだろう。
 そんな断片的な情報から、運営や運命神の調査に移るとは……かなり行動力があるな。
 俺が求めていたのは、何かされた時の対策だったから、運営について調べたレンは殆ど正解と言って良いと思う……と、レンがいつまでも黙っている俺を見ている……何か言った方が良いか。


「――うん、ありがとうな、レン」

主様マイマスター……』

「俺の為に頑張ってくれたんだよな? ……なら、しっかり俺の気持ちを伝えないとな」


 俺はレンに近付き、優しく頭を撫でる。
 擽ったそうにしてはいるが、抵抗はしていないようだしそのまま続行だ。


「本当に感謝している。まだ今いる島から出れた訳じゃ無いけど、こうやって今会えているんだ。何度も言うが、ありがとうな」

『あ、あのぉ……ぁぅ』


 はっはっはー、まだ頭を撫でただけなのにな。レン達が来るまでに、一体どれだけ色々なことを眷属達に求められたことやら。
 その経験からすれば、ナデナデぐらいなら簡単のことに感じられるようになっちまったよ(今も桜桃だぞ)。


閑話休題ナッデナッデナッデ


 ……いや~、皆に止められるまでレンを撫で続けてしまった。なんでだろうね~? (SM術)が暴走しちゃったのかな~? ……あ、Lvが上がってた。
 そして――現在は正座中だよ。


『まったく、何をやってるんですか』

『……めっ』


 英雄姉妹――フーラとフーリにも、怒られてしまったよ。でも、止まらなかったんだから、仕方がないじゃないか。だって、レンが……レンの反応が良かったんだもん。
 『ぁぅ』なんだぞ、ぁぅ。いつも真面目に仕事をしているできる娘が、そんな、可愛らしいセリフを言ったんだぞ。これが止めずにいられるか!
(ちなみに、そんな可愛かったレンは、ミントと一緒に少し離れた所に居る)


『ねえねぇセイ、ぼく達も撫でて貰いたかったね』

『……そ、そうだね』


 別の所でグラとセイが話している。……そうか、なら後でナデナデするか。
 ま、今は本題に戻ることにしよう。


「……そういえば、どうしてみんなの服装はメイド服だったんだ?」

『えっとね~それは――』


『それは私から説明するわ』


 その声が聞こえた方を向くと、そこには、これまたメイド服のリッカが立っていた……が、リッカがそれを着ているのを見ると、他のみんなのメイド服が"めいどふく"と言えるぐらいにとてもメイドな雰囲気を出していた……ん? なら、どうしてさっきまで気付かなかったのだろうか。スキルの効果かな?


(ドッキリじゃ、無かったな)


 リッカは俺の内情には気付かず、そのまま説明を始めた。


『そうね……簡単に言うと、貰ったわ』

「短すぎるっ!?」

『もう少し詳しく言うと、メイド試験を合格した記念に、大量にメイドに関連するアイテムをかっぱr……貰ってきたわ』


 おいおい、今完全にかっぱらったって言おうとしてたよね? というか、メイド試験って一体何なの? 送り出したのは俺だけど、そんなのがあるなんて聞いて無かったよ。
 そんなリッカの発言で少し俺への説教心が消えた隙を狙い、再び話を元に戻す。


「……ゴホンッ。さて、現在の俺の状態を説明しておこう。皆一度情報を纏めたいから、集まってくれ」


 そう告げると、眷属達は居間にある椅子やソファに座ってくれた……そろそろ俺も正しく座らなくても良いよね? 『駄目ですよ』……あ、駄目なのね(――"聖霊化")。


 それから俺達は、情報交換を始める。



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