AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と第一層 後篇



第四世界"天魔迷宮"第一層


『うーん、やっぱりパパに勝てなかった―』

「正確には、俺のスキルには……かな? ミントが強かったから、俺は固有スキルを使うことになったんだ。誇りに思って良いぞ」

『本当? わーい!』


 ――とそんな会話からも、模擬戦で俺が勝利したことは分かると思うのだが……実際はかなり苦戦した。
 (虫魔法)で大量の虫を操り、本人は後方で(瞑想)を行う。虫を倒すのに時間を掛ければ、より強力な虫達を召喚される。その虫も一撃で倒せなければ、(体力譲渡)でHPを回復されて復活、そしてまた虫を召喚されるのだ。大変だろう?
 だから、試合に勝って勝負に負けた気分になりながら、【科学魔法】で殺虫成分でもある合成ピレスロイドを作成して、周りに展開した。
 すると(異常耐性)を持つミント以外は全部死滅して、模擬戦は俺の勝利に終わった……てな訳だ。


「そうだ、レミル」

『はい、何でしょうか?』

「アレの準備ができたから受け取ってくれるか? 頑張って創ったんだ」

『こ、これは――っ!』


 そう言って、"武神の指輪"を仕舞った箱を"空間収納"から取り出して、レミルに箱に差し出す。
 片膝立ちに姿勢を変えてから、俺はレミルに告げる――


「前にも言ったが、俺はお前を嫁にしたい。レミル、俺のハーレムに入ってくれ」


 そう言って、箱をパカッと開き指輪が見えるように少し腕を伸ばす。頭は下げたので、レミルの表情は見えない、果たしてどうなることやら。……そして、レミルが真っ直ぐな視線をこちらに向けながら(予想)答える――


『メルス様、私も前に言いました。メルス様の眷属兼従魔兼嫁であると。その時から私の答えは決まっています。
 メルス様のハーレムに、ぜひ入らせて貰います』


 レミルは、自分の胸に手を当てながら(予想)俺にそう言ってきた。
 ……何か、フェニの時にも思ったのだが恥ずかしいなこれは。そう考えていると、レミルが再び口を開く――


『――ですので、この指輪を私に嵌めてくれませんか?』

「わ、分かった」


 俺は箱から指輪を取り出して、レミルに嵌めた。レミルは、自分の薬指に付いた指輪を見て、とても嬉しそうだった(いつものようにレ○プ目だけど)。
 このまま桃色の雰囲気が続くのかなー、と思っていると――


『ご主人』

「ん? なんだ、フェニ」

『レミルにはキスをしないのか』

「…………キ、キス?」

『我がキスをされた時の話をしたら、とてもされたそうにしていたぞ』

「…………キ、キス?」

『やってあげてはくれないか? ほらっ、レミルも期待の眼差しで見ているぞ』


 確かに、レミルの方を見ると、目をキラキラさせながらこちらを見ていた(レイ(ry)。
 でも、折角嫁になってくれたんだし、キスもしない仮面夫婦って訳にもいかないしな。


「レミル、キスするぞ」

『(コクンッ)』


 俺はレミルの顎を持ち上げ、そっとキスをする。自分でも顔が熱くなってるのが分かるくらいには緊張したが、何とかやり遂げた。


『あ、ありがとうございます』

「いいいいや、ここ、こ、こちらこそありがとうございます」

『やっぱり面白いな、ご主人は』


 フェニが俺をそう言ってからかってくる。
 ちっくしょー、今に見てろよ。絶対、今の俺と同じくらいに顔を赤くしてやるんだからな(ちなみに、レミルは俺と同じかそれ以上(?)に顔が赤い、嬉しいものだよ)。


『パパ、私にもキスして!』

「……大人になったらな」

『キスぐらいしてもしたいの!』

「……せめて、もう少し成長してからな」

『うん!!』


 ミントがキスをねだって来たので、とりあえずお父さんの定番『大きくなったらな』を使って誤魔化す。今のままキスをしたら、顔全部にキスをしてしまうからな。ミントは、『早く大きくならないかな~♪』とご機嫌だが、そんなに早く成長したら、世の中に幼女と紳士がいなくなってしまう(後者はいなくても別に良いか)。


「……さて、そろそろ帰るかな」

『えー、もう帰っちゃうの?』

「あぁ、ミントも(人化)できるようになったみたいだし、新しい装備を作りたいしな」

『本当!? ありがとう!』

「良いよ、気にするな。家族なんだから」

『家族……そうだね、私達は家族だもんね』

「そういうことだ。フェニ、レミルも鍛錬を頑張って続けろよ」

『うむ、分かった』

『必ずや強くなります』


 そんな挨拶をしてから、俺はダンジョンを脱出して、修練場に戻ってからログアウトをした。やっぱり布団は最高だぜ。



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