AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

04-19 撲滅イベント前哨戦 その11



「──というわけで、まずは第一陣だ」

「第一陣?」

「アイテムは二種類。安定した性能を誇る七色武具シリーズと、特に決めていない雑多な武具。まずは前者の方から、クラン内で共有していいから暫定の使用者を選んでくれ」

 七色の武具を“空間収納”から取り出し、演出として『天魔創糸』をくっつけて宙で固定しておく。

 製作者権限で装備のステータスを開示してあるので、『ユニーク』のメンバーたちはすぐさま武具の吟味を始める。

「一つひとつ、説明していくぞ。まずはこの赤色の剣」

 糸を引っ張れば、剣が動き出して並べた武具から少し前に進み出た。
 ついでに、魔力を糸越しに送り込むと──剣身から炎が噴き出す。

「コイツは『紅剣[ルージュ]』、魔力を込めるとそれを炎属性に変換する。あと、外部の炎を取り込めるし、それらを留めておくこともできるぞ」

 自分で作ったので、説明できている。
 ちなみに、糸は熱に対する耐性も持っているので焼き焦げません。

「次はこっち、『橙刀[果物狩り]』。植物とかそれ系の魔物を斬ることに特化しているぞ。ついでに、植物を少しでも素材にしていると装備でも一気に耐久度を削れるぞ」

 かつての仮面のライダーを思い浮かべ、全然違う方法に至ったオレンジの刀である。
 果物から植物に思考が派生し、【生産神】の補正が過剰に働いた結果だな。

「いちおうのおすすめ、『黄(金)の剣[Xカリバー]』。さっきの[ルージュ]が炎に魔力を変換するのに対して、こっちは空間属性に変換する。使い方を理解できれば、何でも斬れるようになる玄人向けの剣だ」

 なお、聖剣とかそういう類じゃない。
 ただし、使った素材がそれなりに高いものなので、そんな性能を出せるような品となっているのだ。

 ……あと、鞘には特に何も効果はない。

「今度は弓、『緑弓[ディーン]』。色からイメージして、矢が刺さった場所から植物が育つようになっている。種をくっつけるか、矢を植物由来のものにするか……まあ、何かしらの下準備が必要になるぞ」

 魔力を木属性にするもので、周囲の環境に関係なく急速な生長を引き起こす。
 問題点は、弓自体には生やした植物を操る力が無いってことだな。

 ──畑とかを作るのには、わりと利用できる弓ではあるんだけど。

「続けてこちら、『空飛具[翼]』。魔力を込めれば必ず戻ってくる。装備しているときなら、手にしていなくとも名前を呼ぶだけで強制的に召喚も可能だ」

 自動で帰ってくるうえ、呼び出すこともできる……これらの能力は、この武具のためではなく副産物のようなモノだ。

 使わなくなった以上、プレゼントするわけだが……その理由は秘密である。

「あと二つだな。『青槍[マリーン]』、これは水じゃなくて海属性の魔力に変換する。海属性は破邪効果の塩付きだから、アンデッド対策にもいいな」

 海の力を纏わせる、すると槍の大きさも一回り二回り大きくなる仕組みだ。
 ただし、それ以上でもそれ以下でもないため、プレゼントすることが決まった。

「これが最後。『紫銃[シビ]』、オリジナルの魔弾を四種、撃てるようになる魔力式の銃だ。銃スキルが無くても撃てるから、サブウェポンとして持っておくのもいいかもな」

 これが一番苦労した武具だ。
 錯覚、隠蔽、増殖、麻酔──これら四つを魔力だけでやりくりするため、こちらもかなりレアな素材を必要とした。

 魔物の素材はもちろんのこと、魔鉱と呼ばれる魔力で変質した金属も大量に使ったし。
 それでもこれを作り上げたのは、つまるところそれが俺の力になるからだ。

「……というわけで、これらの武具を七名様にプレゼントしよう。決め方に俺はとやかく言わないから、誰が使ってくれても俺に異存はないぞ。これらに関する質問があれば、それも聞き受けるぞ」

 まずさっそく、【鉱魔法】の所持者である山人族の老人祈念者が手を挙げた。
 戦闘中に使っていたのが槌だったので、質問内容はおそらく──

「このような武具は初めて見た。いったい、どのようなことをすればいいのか、そのヒントだけでも教えてもらえぬか?」

「えっと、ご老人」

「メタラルじゃよ。孫がそのうち始めるからのう、親しみやすい名前にしたのじゃ」

「そうか。ならメタラル爺さん、いくらでレシピを買うか? タダでとは言えないが、それなりに安くしてやろう」

 本来、生産したいアイテムを自動化して作れるようになるレシピは、職業ごとに登録できる数が決まっているため、レシピ化するアイテムを考える必要がある。

 しかしながら、【生産神】はそれが無制限なので気にする必要が無い。
 片っ端から作ったアイテムはレシピを作っておき、一人で満足していた。

 それを使いたいというのであれば、俺には必要ないので売ってやろう。
 ……なお、制限がある者は普通、一度作って必要が無くなったら削除するそうです。

 というわけで、お孫さん用に貯めていたらしいお金でレシピを買ったメタラル爺さん。
 すぐに作り方を調べて……何やら驚いている様子。

「なんと、このような技術が……お主、いったどこで?」

「企業秘密だな。やり方の公開はともかく、場所は秘匿されているからさ。ああ、公開したいなら公開してもいいぞ。その分のお代は貰いたいが」

「……無理じゃな。これまで儂は、それなりの鍛冶師だと自負していたが、この武具を作り上げた者に比べれば『月とスッポン』が如き差があったようじゃ。お主、まさかこれを作った本人なのか?」

「祈念者はみんな生産職もセットで就いているだろう? 俺は枠に余裕があったから、それができる職も埋めていたってだけだ」

 製作者の部分を隠蔽していたので特定していなかったようなので、暴露しておく。
 今回作った武具は、すべて鍛冶と錬金両方のレベルが高くないと作れないのだ。

「……そういえば、さっき名前を聞いたときに思ったけど、まだ名前を知らない奴が多いな。ナックル、教えてくれないか?」

「本人に言え」

「ほとんどの奴が武具に集中しているんだから、仕方ないだろう。じゃあ、間を取って仲介役になってくれ」

「仕方ない……それぐらいならいいぞ」

 まだ出していない八名用の武具のこともあり、決めっていない七色武具の主。
 それでも、先に決めてもらいたい……時間が掛かりそうだし、さっさと紹介してくれ。


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装備のデータです(修正する可能性あり)

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紅剣[ルージュ]製作者:???

武具:剣
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+30 

ある特殊な方法で打ち上げた剣
魔力を流すことで、剣身が炎を放つ

装備スキル
(魔力変換:炎)(炎纏)

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橙刀[果物狩り]製作者:???

武具:刀
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+20・DEX+15

ある特殊な方法で打ち出した刀
植物や植物系の魔物を切ることに特化しており、魔力を流すことで地形に存在する植物を切れる

装備スキル
(植物キラー)(地形破壊:植物)

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黄(金)の剣[Xカリバー]製作者:???

武具:剣
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+20・DEX+15

ある特殊な方法で打ち出した剣
魔力を流すことで、万物を切り裂く力を持つ

装備スキル
(魔力変換:空間)(万能切断)

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緑弓[ディーン]製作者:???

武具:弓
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+10・DEX+5

ある特殊な方法で作り上げた弓
魔力を流すことで、矢が当たった所から植物が生える

装備スキル
(魔力変換:木)(急速成長)

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空飛具[翼]製作者:???

武具:投擲

ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+15・DEX+15

ある特殊な方法で作り出したブーメラン
魔力を流すことで、何処にあろうとも戻ってくる

装備スキル
(自動帰還)(強制召喚)

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青槍[マリーン]製作者:???

武具:槍
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:STR+25・DEX+5

ある特殊な方法で打ち出した槍
魔力を流すことで、槍頭に海水を纏う

装備スキル
(魔力変換:海)(海纏)

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紫銃[シビ]製作者:???

武具:魔法銃
ランク:A  耐久値:300/300
装備補正:DEX+20

ある特殊な方法で作り上げた銃
魔力を流すことで、4つの特殊な弾丸を放てる

装備スキル
(偽視弾生成)(不可視弾生成)
(増殖弾生成)(死寐弾生成)

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