(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
食わず嫌いを何とかしよう・転
「……ところで話を戻しますけれど、メリューさんは好き嫌いも解るんですか?」
「それくらい簡単よ。まあ、それを食べられるかどうかまでは解らない。だから取り敢えず出してみた、ってだけのこと。もし怒られたらどうしようかなあ、って思ったけれど何とかなったね。いやはや、これで改めて好き嫌いを何とかする術を繰り出すことが出来る、ってもんよ」
「……つまりどういうことです?」
「まあ、見ていれば解るはなしだ。ガパオライスに入っているものを羅列してみれば、自ずとあの女性の苦手なものが解ってくるはずだ。ああ、別に正解しなくてもいい。間違っていても構わないから」
「はあ……。えーと、挽き肉と、パプリカと玉ネギ……ですか?」
「そうだ。ほんとうはもっと種類が入っているのだけれど、正解を早々に引き当ててしまったからこれで終わりにしよう。では、そのパプリカと玉ネギは重要かね?」
急にメリューさんからの質問攻めにあう俺だが、これは何となく理解できる。
ずっとボルケイノで働いてきたから、それくらいは簡単に理解できるものだ。
「たぶん、必要ですね。メリューさんは無駄な食材を使ったことはありませんから。少なくとも、お客さんに出す料理に対しては」
「ご名答」
頷いて、メリューさんは話を続ける。
「つまりどういうことかといえば、好き嫌いをいかに気にせず、美味しいものを客に提供できるか。私の師匠もそんなことを言っていたよ。先ずは好き嫌いを受け入れる。そうして、客に見合ったものを作る。コストはかかるかもしれないが、客は喜んでくれる。そうだろう?」
「……そうかもしれませんが、ここは店ですよ? 最近雇った人も増えましたし、少しはもっと『黒字』ってことも視野に入れてくれないと!」
「それはティアがやっているから問題ないの。ほら、あの子、赤字だったら文句言ってくるでしょう? いわないってことは……ボチボチやっていけている、ってことなのよ」
「そうなんですか、ティアさん?」
俺はティアさんに会話を振った。
ティアさんはいつも通り分厚い本を読んでいたが、それを聞いてこくりと頷く。
「ね?」
「嘘だぞ。絶対今話を聞いていなかった……! 何かの本を読んでいて、絶対、適当に話を流していましたよ……!?」
「またまた。ティアに限ってそんなことはないわよ。そういうわけで、まずは嫌いなものを限りなく無いものと扱えるようにこちらで何とかすること。それが大事、ってわけ。そういうわけだからこれ持って行って」
そう言って俺の手に渡されたのは、また出来立てのガパオライスだった。
もうすでにできていたのなら、この時間は何だったのか。
そんなことをメリューさんに質問したかったけれど、今はお客さんを待たせている。そう考えると、俺はガパオライスをもってカウンターへと戻るのだった。
「それくらい簡単よ。まあ、それを食べられるかどうかまでは解らない。だから取り敢えず出してみた、ってだけのこと。もし怒られたらどうしようかなあ、って思ったけれど何とかなったね。いやはや、これで改めて好き嫌いを何とかする術を繰り出すことが出来る、ってもんよ」
「……つまりどういうことです?」
「まあ、見ていれば解るはなしだ。ガパオライスに入っているものを羅列してみれば、自ずとあの女性の苦手なものが解ってくるはずだ。ああ、別に正解しなくてもいい。間違っていても構わないから」
「はあ……。えーと、挽き肉と、パプリカと玉ネギ……ですか?」
「そうだ。ほんとうはもっと種類が入っているのだけれど、正解を早々に引き当ててしまったからこれで終わりにしよう。では、そのパプリカと玉ネギは重要かね?」
急にメリューさんからの質問攻めにあう俺だが、これは何となく理解できる。
ずっとボルケイノで働いてきたから、それくらいは簡単に理解できるものだ。
「たぶん、必要ですね。メリューさんは無駄な食材を使ったことはありませんから。少なくとも、お客さんに出す料理に対しては」
「ご名答」
頷いて、メリューさんは話を続ける。
「つまりどういうことかといえば、好き嫌いをいかに気にせず、美味しいものを客に提供できるか。私の師匠もそんなことを言っていたよ。先ずは好き嫌いを受け入れる。そうして、客に見合ったものを作る。コストはかかるかもしれないが、客は喜んでくれる。そうだろう?」
「……そうかもしれませんが、ここは店ですよ? 最近雇った人も増えましたし、少しはもっと『黒字』ってことも視野に入れてくれないと!」
「それはティアがやっているから問題ないの。ほら、あの子、赤字だったら文句言ってくるでしょう? いわないってことは……ボチボチやっていけている、ってことなのよ」
「そうなんですか、ティアさん?」
俺はティアさんに会話を振った。
ティアさんはいつも通り分厚い本を読んでいたが、それを聞いてこくりと頷く。
「ね?」
「嘘だぞ。絶対今話を聞いていなかった……! 何かの本を読んでいて、絶対、適当に話を流していましたよ……!?」
「またまた。ティアに限ってそんなことはないわよ。そういうわけで、まずは嫌いなものを限りなく無いものと扱えるようにこちらで何とかすること。それが大事、ってわけ。そういうわけだからこれ持って行って」
そう言って俺の手に渡されたのは、また出来立てのガパオライスだった。
もうすでにできていたのなら、この時間は何だったのか。
そんなことをメリューさんに質問したかったけれど、今はお客さんを待たせている。そう考えると、俺はガパオライスをもってカウンターへと戻るのだった。
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