(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
続 王女のワガママ・1
いつものようにボルケイノに到着すると、メリューさんと誰かが会話をしていた。
「ですから、私は本来ならばこのような野蛮な店にリクエストなどしたくないのですよ」
「ほほう、野蛮な店? あまり言いたくないけれど、客としてやってきておいてその言いぐさはないんじゃないの? しかもあんた、見るからにミルシア女王の国の人間でしょう? それも、徽章つきのメイド服ときちゃあ、それなりに地位が高いと見た。そんな人間が軽率にそんな発言をしてもいいのかな?」
メイド服を着た二人が、会話をしている。
一人がメリューさん、もう一人が黒髪の目つきがきつい女性だ。年齢はおそらく俺よりも年上。
「私だってはっきり言って、ミルシア女王陛下が言わなければ行きたくなかった。このお店が行きつけということは何となく知っていたけれど……まさかこんな『亜人』が経営しているとはね」
そう言ってメイド服を着た女性は睨みつけた。
俺がここにきて知ったこと。そのうちのひとつに挙げられることがある。
それは亜人の地位が想像以上に低いということ。その『低い』はもちろん人間を基準に考えたときの話だ。いまだに蔑まれる対象にあるらしく、今でもたまにこのような評価を受ける時があるのだという。
「……でも、あなたがミルシア女王陛下の好みを良く理解していることもまた事実。それに、ミルシア女王陛下自身があなたの料理を所望したことも事実」
「え、えーと……いったい何があったんですか?」
耐えきれなくなって二人の会話に割り入る。
そこで気づいていなかった二人がそれぞれ俺のほうを向いた。
「あら、ケイタ。もうそんな時間? ……そうか、そうだったかもしれないね。いや、実はここの人がね……」
「はじめまして、ケイタ……さんですか。私はグラフィリア王国でメイド長を務めています、アルシス・エボルクといいます。以後、お見知りおきを」
そう言って女性――アルシスさんは笑みを浮かべ、頭を下げる。
「実は、いろいろとありまして……ミルシア女王陛下が体調を崩してしまったのです。まともに食事もできない状況となっておりまして……、それで、何か食べ物を、と思っていたのですが、ミルシア女王陛下からのリクエストが……」
「このお店の料理……ということですか?」
こくり、と頷くアルシスさん。
「そう。そしてミルシア女王陛下の体に優しい料理を我々も作ろうと考えていたのだけれど……やはり、ミルシア女王陛下はそれをお望みになりませんでした。そうなったら仕方がありません。私はここへ向かったのですが……」
そこで亜人を見つけて怒っている、ということか。
俺は心の中でうんうんと頷いた。
「ですから、私は本来ならばこのような野蛮な店にリクエストなどしたくないのですよ」
「ほほう、野蛮な店? あまり言いたくないけれど、客としてやってきておいてその言いぐさはないんじゃないの? しかもあんた、見るからにミルシア女王の国の人間でしょう? それも、徽章つきのメイド服ときちゃあ、それなりに地位が高いと見た。そんな人間が軽率にそんな発言をしてもいいのかな?」
メイド服を着た二人が、会話をしている。
一人がメリューさん、もう一人が黒髪の目つきがきつい女性だ。年齢はおそらく俺よりも年上。
「私だってはっきり言って、ミルシア女王陛下が言わなければ行きたくなかった。このお店が行きつけということは何となく知っていたけれど……まさかこんな『亜人』が経営しているとはね」
そう言ってメイド服を着た女性は睨みつけた。
俺がここにきて知ったこと。そのうちのひとつに挙げられることがある。
それは亜人の地位が想像以上に低いということ。その『低い』はもちろん人間を基準に考えたときの話だ。いまだに蔑まれる対象にあるらしく、今でもたまにこのような評価を受ける時があるのだという。
「……でも、あなたがミルシア女王陛下の好みを良く理解していることもまた事実。それに、ミルシア女王陛下自身があなたの料理を所望したことも事実」
「え、えーと……いったい何があったんですか?」
耐えきれなくなって二人の会話に割り入る。
そこで気づいていなかった二人がそれぞれ俺のほうを向いた。
「あら、ケイタ。もうそんな時間? ……そうか、そうだったかもしれないね。いや、実はここの人がね……」
「はじめまして、ケイタ……さんですか。私はグラフィリア王国でメイド長を務めています、アルシス・エボルクといいます。以後、お見知りおきを」
そう言って女性――アルシスさんは笑みを浮かべ、頭を下げる。
「実は、いろいろとありまして……ミルシア女王陛下が体調を崩してしまったのです。まともに食事もできない状況となっておりまして……、それで、何か食べ物を、と思っていたのですが、ミルシア女王陛下からのリクエストが……」
「このお店の料理……ということですか?」
こくり、と頷くアルシスさん。
「そう。そしてミルシア女王陛下の体に優しい料理を我々も作ろうと考えていたのだけれど……やはり、ミルシア女王陛下はそれをお望みになりませんでした。そうなったら仕方がありません。私はここへ向かったのですが……」
そこで亜人を見つけて怒っている、ということか。
俺は心の中でうんうんと頷いた。
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