(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
新聞記者とペペロンチーノ・5
俺はいつの間に、とメリューさんの登場に驚いていたが当の本人はそれを気にすることなく、
「このお店はひっそりとやっていくことが一番ですからね。それも、もし可能であれば理解していただきたかった。このお店が満員になって、入ることができない……なんてことは出来ればしたくないの。せっかく来てもらったのに、満員だから待ってもらう? そんなこと、させたくない」
「……成る程ね。道理は通っているわ」
先に折れたのはミルシア女王陛下だった。立ち上がり、お金を二人分きっちり置いておくと、そのまま踵を返した。
「料理、美味しかったわ。今回のこと、もし気分を悪くしたのならごめんなさいね」
「あ、待ってください! ……とっても美味しかったです。また、客としてきていいですか?」
「ええ。お客さんならばまた何度来ても構わない」
そう言うと、アルターさんは笑みを浮かべて頷き、そうして頭を下げた。
「ありがとう。それでは、またいつか。今日はありがとうございました」
踵を返すと、ミルシア女王陛下を追いかけるように小走りに去っていった。
それを見送っていたメリューさんは扉が閉まるのを確認して、溜息を吐いた。恐らく、メリューさんなりに落ち着けるタイミングになった――ということなのだろう。
「ふう、慣れないものはすることではないね。それにしても、新聞の取材……か。今回、断ったことであの記者が新聞社で変なことを言われなければいいけれどね」
「……メリューさんも人のことを考えるんですね」
「なんだそれ、まるで私が何も考えていないような言いぐさだな。私だって少しは考えているぞ。それに、私は報道されたくなかったことも事実だ」
そこだ。
どうしてメリューさんは報道されたくない――そういったのだろうか。いや、メリューさんの言ったことも道理として繋がっているのだけれど、とはいえそれを道理として受け取るほど馬鹿じゃない。きっと何か裏があるに違いないのだ。
「……別に私としてはこの店が発展してもらうことは全然問題ないのだけれどね。ただ、やはり常連がたくさんいることからこの店が成立しているということもある。それを無碍には出来ないのだよ」
メリューさんはそう言って片づけを開始すべく、厨房へと戻っていった。
いつ新しいお客さんがやってくるか解らないので、そのための準備――ということだ。
俺もそろそろ準備しないといけないな、そう思って俺は皿を洗うべく蛇口をひねった。
◇◇◇
「……あっさり追い出されちゃいました」
「まあ、仕方ないことよ。結局、メリューが納得してくれるとは思えなかった。あれはあくまでも当たって砕けろ的な作戦だったからね」
「……それにしても、女王陛下は余程あの店に取り入っているのですね?」
「それは当然よ。あのお店には……」
「……?」
アルターはそれを聞いて首をかしげる。
少ししてミルシア女王陛下は首を振り、笑みを浮かべる。
「なんでもないわ。……さて、あなたの仕事をこのままなくした状態なのはまずいわね。とりあえず、別の店を紹介しましょうか。残念ながら、ボルケイノに比べればダメなのかもしれないけれど」
「いえ。女王陛下の行く場所ならばどことでも!」
そうして二人は町中へと消えていく。
ミルシア女王陛下の楽しそうな笑顔を見ながら、彼女たちとすれ違う人々も笑みを浮かべたが、それに彼女たちが気づくことはなかった。
「このお店はひっそりとやっていくことが一番ですからね。それも、もし可能であれば理解していただきたかった。このお店が満員になって、入ることができない……なんてことは出来ればしたくないの。せっかく来てもらったのに、満員だから待ってもらう? そんなこと、させたくない」
「……成る程ね。道理は通っているわ」
先に折れたのはミルシア女王陛下だった。立ち上がり、お金を二人分きっちり置いておくと、そのまま踵を返した。
「料理、美味しかったわ。今回のこと、もし気分を悪くしたのならごめんなさいね」
「あ、待ってください! ……とっても美味しかったです。また、客としてきていいですか?」
「ええ。お客さんならばまた何度来ても構わない」
そう言うと、アルターさんは笑みを浮かべて頷き、そうして頭を下げた。
「ありがとう。それでは、またいつか。今日はありがとうございました」
踵を返すと、ミルシア女王陛下を追いかけるように小走りに去っていった。
それを見送っていたメリューさんは扉が閉まるのを確認して、溜息を吐いた。恐らく、メリューさんなりに落ち着けるタイミングになった――ということなのだろう。
「ふう、慣れないものはすることではないね。それにしても、新聞の取材……か。今回、断ったことであの記者が新聞社で変なことを言われなければいいけれどね」
「……メリューさんも人のことを考えるんですね」
「なんだそれ、まるで私が何も考えていないような言いぐさだな。私だって少しは考えているぞ。それに、私は報道されたくなかったことも事実だ」
そこだ。
どうしてメリューさんは報道されたくない――そういったのだろうか。いや、メリューさんの言ったことも道理として繋がっているのだけれど、とはいえそれを道理として受け取るほど馬鹿じゃない。きっと何か裏があるに違いないのだ。
「……別に私としてはこの店が発展してもらうことは全然問題ないのだけれどね。ただ、やはり常連がたくさんいることからこの店が成立しているということもある。それを無碍には出来ないのだよ」
メリューさんはそう言って片づけを開始すべく、厨房へと戻っていった。
いつ新しいお客さんがやってくるか解らないので、そのための準備――ということだ。
俺もそろそろ準備しないといけないな、そう思って俺は皿を洗うべく蛇口をひねった。
◇◇◇
「……あっさり追い出されちゃいました」
「まあ、仕方ないことよ。結局、メリューが納得してくれるとは思えなかった。あれはあくまでも当たって砕けろ的な作戦だったからね」
「……それにしても、女王陛下は余程あの店に取り入っているのですね?」
「それは当然よ。あのお店には……」
「……?」
アルターはそれを聞いて首をかしげる。
少ししてミルシア女王陛下は首を振り、笑みを浮かべる。
「なんでもないわ。……さて、あなたの仕事をこのままなくした状態なのはまずいわね。とりあえず、別の店を紹介しましょうか。残念ながら、ボルケイノに比べればダメなのかもしれないけれど」
「いえ。女王陛下の行く場所ならばどことでも!」
そうして二人は町中へと消えていく。
ミルシア女王陛下の楽しそうな笑顔を見ながら、彼女たちとすれ違う人々も笑みを浮かべたが、それに彼女たちが気づくことはなかった。
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