(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
遣らずの雨・転
「……ふむ、これがカルーアミルクとやら、か。まあ、うまそうに見えるな。これは珈琲か?」
「そうですよ。コーヒーのようなお酒、とでも言えばいいでしょうか? それに牛乳を加えて混ぜたものとなります。シンプルですが、美味しいですよ」
「ふうむ……?」
魔王はグラスを傾けて中身の様子を眺める。何度眺めてもカルーアミルクはカルーアミルクなのでまったく変わりないのだが……。いや、そんなことをいっても無駄だ。言わないでおいたほうがいい。
対して勇者も勇者で面白い反応をしている。色が苦手なのか、じっと見つめてそのまま待機している。まさか泥水か何かと勘違いしているのではないだろうな?
「……なあ、この飲み物、泥水に見えるのだが……」
「列記とした飲み物ですよ、ええ」
予想通り。
勇者って思ったよりバカなのではないか……いいや、これは言わないでおこう。勇者の威厳が失墜する。そもそも俺の住んでいる世界に勇者はいないから別にいいのだけれど。
「まあ、飲んでみてくださいよ。百聞は一見に如かず、とも言いますし?」
「ふむ……。確かに、訝しんでばかりでは何も進まない。まずは飲まないとな」
そう言って。
動いたのは魔王だった。
一口、カルーアミルクを口に運んだ。そして少しずつ喉を通って体内へ――。
「なんだ、これは!」
ごくり、と喉を鳴らした魔王はコップの中身を見て俺に言った。
いや、だからそれはカルーアミルクだって。
とりあえずもう一度(質問されたのだから答えねばならない)それについて答える俺。
勇者も少しずつそれを飲んでいたが、味がおいしいと分かったからか、一気に飲み干した。
ああ、カルーアミルクってけっこうアルコール度数高いのに……。
まあ、勇者だから、お酒に強いのかもしれない。知らないけど。俺の勝手な想像だけど。
しかし、その俺の予想に反して――勇者は頬を真っ赤にさせた。
「……もしかして、お酒が弱いのですか?」
「そんなわけないでしゅよ」
……だめだ、完全に舌が回っていない。
こんな酩酊している勇者、見たことがない。
いや、正確に言えば勇者を見たのがそもそも初見なのだが。
対して魔王は一杯飲み干しても冷静だった。強がり、にも見えるかもしれないが、少なくともそうではないのだろう。
「眠いよう」
勇者はそう言って、隣に座っている魔王の肩に寄り掛かった。
――衝撃である。
誰が予想しただろうか? 魔王と勇者の、このような光景を。
魔王は冷静をキープしているが、きっと心の中ではドキドキしているのだろう。仮にも敵が、目の前で寄り掛かっている。そして勇者は、敵である以前に一人の女性である、と。
そして勇者はそれだけでは終わらない。
勇者は魔王の腕に自らの腕を絡ませてきたのだ。きっと魔王は勇者の体温を直に感じているはずである。鎧を外しているから、微かに胸のふくらみも感じることができるのだろう。うらやましい……い、いや、それは冗談だ。冗談だぞ。大変だな、って思っているだけだ。ああ、そうだ。それは断言できる。
「そうですよ。コーヒーのようなお酒、とでも言えばいいでしょうか? それに牛乳を加えて混ぜたものとなります。シンプルですが、美味しいですよ」
「ふうむ……?」
魔王はグラスを傾けて中身の様子を眺める。何度眺めてもカルーアミルクはカルーアミルクなのでまったく変わりないのだが……。いや、そんなことをいっても無駄だ。言わないでおいたほうがいい。
対して勇者も勇者で面白い反応をしている。色が苦手なのか、じっと見つめてそのまま待機している。まさか泥水か何かと勘違いしているのではないだろうな?
「……なあ、この飲み物、泥水に見えるのだが……」
「列記とした飲み物ですよ、ええ」
予想通り。
勇者って思ったよりバカなのではないか……いいや、これは言わないでおこう。勇者の威厳が失墜する。そもそも俺の住んでいる世界に勇者はいないから別にいいのだけれど。
「まあ、飲んでみてくださいよ。百聞は一見に如かず、とも言いますし?」
「ふむ……。確かに、訝しんでばかりでは何も進まない。まずは飲まないとな」
そう言って。
動いたのは魔王だった。
一口、カルーアミルクを口に運んだ。そして少しずつ喉を通って体内へ――。
「なんだ、これは!」
ごくり、と喉を鳴らした魔王はコップの中身を見て俺に言った。
いや、だからそれはカルーアミルクだって。
とりあえずもう一度(質問されたのだから答えねばならない)それについて答える俺。
勇者も少しずつそれを飲んでいたが、味がおいしいと分かったからか、一気に飲み干した。
ああ、カルーアミルクってけっこうアルコール度数高いのに……。
まあ、勇者だから、お酒に強いのかもしれない。知らないけど。俺の勝手な想像だけど。
しかし、その俺の予想に反して――勇者は頬を真っ赤にさせた。
「……もしかして、お酒が弱いのですか?」
「そんなわけないでしゅよ」
……だめだ、完全に舌が回っていない。
こんな酩酊している勇者、見たことがない。
いや、正確に言えば勇者を見たのがそもそも初見なのだが。
対して魔王は一杯飲み干しても冷静だった。強がり、にも見えるかもしれないが、少なくともそうではないのだろう。
「眠いよう」
勇者はそう言って、隣に座っている魔王の肩に寄り掛かった。
――衝撃である。
誰が予想しただろうか? 魔王と勇者の、このような光景を。
魔王は冷静をキープしているが、きっと心の中ではドキドキしているのだろう。仮にも敵が、目の前で寄り掛かっている。そして勇者は、敵である以前に一人の女性である、と。
そして勇者はそれだけでは終わらない。
勇者は魔王の腕に自らの腕を絡ませてきたのだ。きっと魔王は勇者の体温を直に感じているはずである。鎧を外しているから、微かに胸のふくらみも感じることができるのだろう。うらやましい……い、いや、それは冗談だ。冗談だぞ。大変だな、って思っているだけだ。ああ、そうだ。それは断言できる。
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