転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~
第三十二話 襲撃事件1
「では、また話しましょう。夏休みになったら学園も長期休暇になりますから、少しドリントルで落ち着ける予定なので」
カインは席を立ち、ギルドマスターのリキセツと握手をした。
「こちらこそ、いつでも声を掛けてください」
応接室から出てきたカインは、受付嬢たちからの熱い眼差しを受けたことにより、不思議に思いながらギルドから外に出た。
まだ領主邸に戻るには早い時間なので、街の武器屋や防具屋などを覗きながら、領主邸まで戻ってきた。
文官からエライブは出かけていると教えられ、一人で執務室に籠り、書類の決済をすすめていた。
◇◇◇
カインが執務室に籠っている頃、薄暗い部屋には四人の男女が椅子に座っている。全員の顔が機嫌が悪いようで額にシワを寄せている。
「今日はいったいなんなのよ。あんまりギルドを抜けるわけにもいかないのよ」
最初の言葉を発したのは、冒険者ギルドのサブギルドマスターでもあるベティだ。
「今日集まってもらったのは、他でもない。あの領主のことだ。今日、教会に来たのだが、あいつが王都の教会に告発すると、断言して出て行きやがった。このままではまずいだろ。査察が入った場合、お前らの企みも全て明るみにでるぞ」
両手に指には色とりどりの宝石を散りばめた指輪をつけて、重たそうな体を揺すりながらスタッグが、酒臭い息を撒き散らしながら息巻く。いかにも成金の装いをしていれば、誰でもそう思うだろうと、他の三人が溜息をつく。
「こちらも少し問題が起きた。新しく内政官が来ることになった。街全体の税収の査察が入ることになると思う。今のままでは問題になりそうだ。私たち全員が捕らえられることになるかもしれん。早々に始末する必要がある。リック、人の手配を頼む。必要ならベティからも人手を出せ」
中央に座っていた男が話し始めた。
「わかったよ。こっちはスラムの闇ギルドのメンツを集めておく。決行は今日の夜でいいよね。明日、王都に帰られたらスタッグは問題だろ? それに王都に向かう時に襲ってもいいが、冒険者ランクAでしょ? こちらの被害も大変なことになる」
黒いフードを被り、あまり顔を見せないようにしていたリックが答える。
「私も、上級冒険者で裏稼業ができる数人を集めておくわ。目の前で魔法を見たけど、あれは日中、正面から襲っても、返り討ちに合うだけだと思うし、寝込みを襲うのなら問題はないはずよ」
ベティはあのギルドの訓練場での出来事を思い出して、震えあがった。
「準備が出来たら、鍵は私が開けよう。正門は夜間も衛兵が立っているからな。裏口から入れるようにしておく。あとは、いざという時のために……」
中央の男は不気味な笑い方をした。
そして男の続けた言葉に、皆が頷いた。
◇◇◇
夕飯時には、エライブも戻ってきており、一緒に食事をした。
領主邸での食事は、来客がない場合、基本的に代官と二人で食事となっている。そこで情報交換をしながら食事をしている。
「カイン様、教会のほうはどうでしょうか」
エライブはワインを口にしながらカインに尋ねた。
「あの教会については、王都に戻り次第、教会本部に話すつもりです。グラシア領にいた時もそうでしたが、司祭は謙虚でないといけません。両手の指に指輪をいっぱいつけて、昼間から酒を飲んでいるなんて考えられない。新しい司祭を派遣してもらうことになると思います」
カインは王都やグラシア領での教会を知っている。教会に絵画や装飾品などあるはずもなく、質素な生活を送っていた。それが当たり前だと思っている。
「そうですか……。そこまでひどいとは。今まで約束を取ろうとしても、いつも反故されてしまい、中々会うことができなかったのです」
エライブは残念そうな顔をして、ワインを飲み干していく。
「明日は、早めに王都に戻ることにします。色々と、回らないといけないとこがありますので」
カインは早々に食事を済ませ、風呂に入り寝室で寝間着に着替えた。
部屋の窓から外を見ると、賑やかに夜の明かりが街並みを彩っていた。
この街は、冒険者が多いこともあり、飲む場所も数多く、娼館もあると聞いている。
窓の外を覗いていると、遠くからの視線が急に気になった。
『世界地図敵対表示』
カインが魔法を唱えると、視界の片隅にこの周囲地図が浮かび上がってくる。
そして敵対を表す赤印が、いくつか屋敷を囲うように地図に表示された。
この魔法は、以前、カインが創造魔法で作った世界地図と、探査を組み合わせたものだ。
「教会に行った途端にさっそくか……」
カインは溜息をつきながら窓を閉め、寝間着から冒険者の装いに着替えた。部屋を明るくしていたランプを消し暗闇の中で椅子に座りながら、ただじっと待つ。
「この街では驚かすから、今まで呼べなかったけど、今日はいいよな」
『召喚「ハク」「ギン」』
部屋に魔法陣が浮かび、中から神狼のハクと、神龍のギンが現れた。
「ワフゥ」「キュイィ」
ハクとギンは、カインに呼ばれたことを喜び、カインに纏わりついてくる。
「ほらほら、ハク、くすぐったいって、そんなに顔を舐めないでよ」
ハクは実際の大きさよりも少し小さいサイズで召喚したが、それでも二メートル位ある。
ギンも翼と首を伸ばせば、二メートルほどの大きさまで育っているが、ハクより小さく一メートル位になっている。何かあれば自分で大きさを変えられるから、特に心配はしていない。
「ハク、ギン、聞いて。たぶんこの屋敷は夜中に襲われる。一人で始末してもいいけど、ここに住んでいるメイドさんたちもいるから、助けてくれるかな」
「ワフゥ」「キュイ!」
両者とも頷いた。眠気防止と、最近、かまってあげられなかったこともあり、ハクとギンを撫で回し、堪能しながら、視界の隅に表示された赤いマークを眺めていた。深夜となり、赤いマーキングが次第に増えていく。数えていくと五十は超えてそうだ。
「まさか、こんなに集めてくるとは……」
カインはそんな人数に負けるつもりはないが、一人のためにそこまで準備するとは、思っていなかった。そして日を跨いだ時間になり、赤いマーキングが急に動き始めた。
赤いマーキングは正面の数名を除いて、全て裏口に回って行くようだった。そして何ごともなく敷地内に入っていく。
「誰かが手引きしているのか……」
カインは溜息をつき、片手に鞘に入ったままの剣を持ちながら、部屋から出て行く。
カインの後ろからは、ハクとギンがついてくる。ギンは屋敷の中では飛べないのでハクの背中に乗っている。
寝室のある三階から、物音を立てずにカインはゆっくりと階段を下りていく。赤いマークで表示された人たちは、裏口から屋敷に入り、正面玄関を入ったすぐのホールに集まっている。
屋敷内を探されても、メイドたちが襲われる可能性があると思い、カインは自らその敵地に乗り込むつもりだった。
そして、二階からホールに降りる階段にカインは立った。
「やぁ。こんな時間に来客かい? ずいぶん物騒な恰好しているね。僕は呼んだつもりはないけど」
ホールに集まって準備をしている襲撃者たちに、カインは黒い笑みを浮かべて挨拶をした。
その瞬間に、ホールにいた五十人いる武装集団の視線は、一気にカインに集まった。
カインは席を立ち、ギルドマスターのリキセツと握手をした。
「こちらこそ、いつでも声を掛けてください」
応接室から出てきたカインは、受付嬢たちからの熱い眼差しを受けたことにより、不思議に思いながらギルドから外に出た。
まだ領主邸に戻るには早い時間なので、街の武器屋や防具屋などを覗きながら、領主邸まで戻ってきた。
文官からエライブは出かけていると教えられ、一人で執務室に籠り、書類の決済をすすめていた。
◇◇◇
カインが執務室に籠っている頃、薄暗い部屋には四人の男女が椅子に座っている。全員の顔が機嫌が悪いようで額にシワを寄せている。
「今日はいったいなんなのよ。あんまりギルドを抜けるわけにもいかないのよ」
最初の言葉を発したのは、冒険者ギルドのサブギルドマスターでもあるベティだ。
「今日集まってもらったのは、他でもない。あの領主のことだ。今日、教会に来たのだが、あいつが王都の教会に告発すると、断言して出て行きやがった。このままではまずいだろ。査察が入った場合、お前らの企みも全て明るみにでるぞ」
両手に指には色とりどりの宝石を散りばめた指輪をつけて、重たそうな体を揺すりながらスタッグが、酒臭い息を撒き散らしながら息巻く。いかにも成金の装いをしていれば、誰でもそう思うだろうと、他の三人が溜息をつく。
「こちらも少し問題が起きた。新しく内政官が来ることになった。街全体の税収の査察が入ることになると思う。今のままでは問題になりそうだ。私たち全員が捕らえられることになるかもしれん。早々に始末する必要がある。リック、人の手配を頼む。必要ならベティからも人手を出せ」
中央に座っていた男が話し始めた。
「わかったよ。こっちはスラムの闇ギルドのメンツを集めておく。決行は今日の夜でいいよね。明日、王都に帰られたらスタッグは問題だろ? それに王都に向かう時に襲ってもいいが、冒険者ランクAでしょ? こちらの被害も大変なことになる」
黒いフードを被り、あまり顔を見せないようにしていたリックが答える。
「私も、上級冒険者で裏稼業ができる数人を集めておくわ。目の前で魔法を見たけど、あれは日中、正面から襲っても、返り討ちに合うだけだと思うし、寝込みを襲うのなら問題はないはずよ」
ベティはあのギルドの訓練場での出来事を思い出して、震えあがった。
「準備が出来たら、鍵は私が開けよう。正門は夜間も衛兵が立っているからな。裏口から入れるようにしておく。あとは、いざという時のために……」
中央の男は不気味な笑い方をした。
そして男の続けた言葉に、皆が頷いた。
◇◇◇
夕飯時には、エライブも戻ってきており、一緒に食事をした。
領主邸での食事は、来客がない場合、基本的に代官と二人で食事となっている。そこで情報交換をしながら食事をしている。
「カイン様、教会のほうはどうでしょうか」
エライブはワインを口にしながらカインに尋ねた。
「あの教会については、王都に戻り次第、教会本部に話すつもりです。グラシア領にいた時もそうでしたが、司祭は謙虚でないといけません。両手の指に指輪をいっぱいつけて、昼間から酒を飲んでいるなんて考えられない。新しい司祭を派遣してもらうことになると思います」
カインは王都やグラシア領での教会を知っている。教会に絵画や装飾品などあるはずもなく、質素な生活を送っていた。それが当たり前だと思っている。
「そうですか……。そこまでひどいとは。今まで約束を取ろうとしても、いつも反故されてしまい、中々会うことができなかったのです」
エライブは残念そうな顔をして、ワインを飲み干していく。
「明日は、早めに王都に戻ることにします。色々と、回らないといけないとこがありますので」
カインは早々に食事を済ませ、風呂に入り寝室で寝間着に着替えた。
部屋の窓から外を見ると、賑やかに夜の明かりが街並みを彩っていた。
この街は、冒険者が多いこともあり、飲む場所も数多く、娼館もあると聞いている。
窓の外を覗いていると、遠くからの視線が急に気になった。
『世界地図敵対表示』
カインが魔法を唱えると、視界の片隅にこの周囲地図が浮かび上がってくる。
そして敵対を表す赤印が、いくつか屋敷を囲うように地図に表示された。
この魔法は、以前、カインが創造魔法で作った世界地図と、探査を組み合わせたものだ。
「教会に行った途端にさっそくか……」
カインは溜息をつきながら窓を閉め、寝間着から冒険者の装いに着替えた。部屋を明るくしていたランプを消し暗闇の中で椅子に座りながら、ただじっと待つ。
「この街では驚かすから、今まで呼べなかったけど、今日はいいよな」
『召喚「ハク」「ギン」』
部屋に魔法陣が浮かび、中から神狼のハクと、神龍のギンが現れた。
「ワフゥ」「キュイィ」
ハクとギンは、カインに呼ばれたことを喜び、カインに纏わりついてくる。
「ほらほら、ハク、くすぐったいって、そんなに顔を舐めないでよ」
ハクは実際の大きさよりも少し小さいサイズで召喚したが、それでも二メートル位ある。
ギンも翼と首を伸ばせば、二メートルほどの大きさまで育っているが、ハクより小さく一メートル位になっている。何かあれば自分で大きさを変えられるから、特に心配はしていない。
「ハク、ギン、聞いて。たぶんこの屋敷は夜中に襲われる。一人で始末してもいいけど、ここに住んでいるメイドさんたちもいるから、助けてくれるかな」
「ワフゥ」「キュイ!」
両者とも頷いた。眠気防止と、最近、かまってあげられなかったこともあり、ハクとギンを撫で回し、堪能しながら、視界の隅に表示された赤いマークを眺めていた。深夜となり、赤いマーキングが次第に増えていく。数えていくと五十は超えてそうだ。
「まさか、こんなに集めてくるとは……」
カインはそんな人数に負けるつもりはないが、一人のためにそこまで準備するとは、思っていなかった。そして日を跨いだ時間になり、赤いマーキングが急に動き始めた。
赤いマーキングは正面の数名を除いて、全て裏口に回って行くようだった。そして何ごともなく敷地内に入っていく。
「誰かが手引きしているのか……」
カインは溜息をつき、片手に鞘に入ったままの剣を持ちながら、部屋から出て行く。
カインの後ろからは、ハクとギンがついてくる。ギンは屋敷の中では飛べないのでハクの背中に乗っている。
寝室のある三階から、物音を立てずにカインはゆっくりと階段を下りていく。赤いマークで表示された人たちは、裏口から屋敷に入り、正面玄関を入ったすぐのホールに集まっている。
屋敷内を探されても、メイドたちが襲われる可能性があると思い、カインは自らその敵地に乗り込むつもりだった。
そして、二階からホールに降りる階段にカインは立った。
「やぁ。こんな時間に来客かい? ずいぶん物騒な恰好しているね。僕は呼んだつもりはないけど」
ホールに集まって準備をしている襲撃者たちに、カインは黒い笑みを浮かべて挨拶をした。
その瞬間に、ホールにいた五十人いる武装集団の視線は、一気にカインに集まった。
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コメント
にせまんじゅう
懐かしー
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
リ○ル様「お前らのボスは死んだ。とうする?服従か?死か?」
スザク
黒い笑み発動。闇のゲームの始まりだ!
otogi
(( ゚∀゚)ウハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
カインやってしまえーー!!!
I♡ジョゼ(*^^*)
受付嬢wwww
うほっ(^o^)