初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

とある日常?

 久しぶりにやろー四人でクエストに向かう。
「今日のクエスト内容は?」
 大抵、クエストを受注してくるのはディッチである。他の面子はどうしても欲しいものがあった場合のみ、受注しているようなものである。
「オークゴブリン」
「またですか」
「最近停滞気味らしい。『安楽椅子』で小人たちがぼやいていた」
 あのクエストもかなり美味しい「定期クエスト」だが、最近受注するプレイヤーが減ったらしい。肉の納品が難しくなったと嘆いていたのだ。
「とりあえず今回は俺たちに『指名クエスト』という形を神崎さんが取ったみたいだな。で、最低百体のオークゴブリンを解体すること」
「……中級プレイヤーにまわせよ」
 ディスカスが呆れたように呟く。
「そのあたりのプレイヤーのほとんどが翼竜とか強めのモンスターばかり狙ってどうしようもないんだと。素材欲しさに頑張るプレイヤーも少なくなってきたそうだ」
「気持ちは分かるけどな」
 そのLV帯のプレイヤーは上のクエストを受注したがる傾向にあるのだ。
「カナリア君も連れてこようかと思ったが、クィーン様に何か相談してたから諦めた。レットは仕事。内臓系だけは持ってくるよういわれた」
 兄相手にパシリ扱いのスカーレットである。

 現在、イッセンとリリアーヌはログインしていない。タカとユウも二人でクエストに行ったあと。他の年長組は「足手まといになると悪いから、別のクエスト行く」と言い、別行動がほとんどである。

 つまり、初期のギルド創立以前からよくつるんでいた四人で行くことのなった。

 既に役割が決まりきっているため、ディッチが指示を出すということはない。代わりにモンスターを数え、クエスト状況を把握するのが仕事だ。
 これも楽ではない。何せ、ジャッジとジャスティスが思いのままに討伐していくのだ。
「数えるの止めとけ。とりあえず百体以上解体すりゃいいんだ。俺一人であの二人の討伐作業についていくのは無理」
「……おう」
 ディスカスに言われ、ディッチも数えるのを止めた。

「で、あと何体ですか?」
「途中で数えるの止めた」
 その一言だけで、二人は手加減というものをしなくなった。
「おいぃぃぃ!?」
「え? 数えてないんですよね。だったら好き勝手に動いていいってことですね!」
 嬉しそうにジャッジが言う。

 どうやらカナリアのお守は少しばかりフラストレーションが溜まっていたらしい。
 一緒にいて楽しめるのと、心おきなく動くというのはまた違うというのがジャッジの弁である。
 一方のジャスティスは、あの「攻防クエスト」以来、何故か、、、雌翼竜に居場所が割れるということが多々ありすぎた。そして、勝手に戦闘に混ざってくる。少しばかり嫌気が差していたようである。

「……平和だなぁ」
 この状況をもってそんなことを呟いたディスカスを思わず叩いた。

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