初心者がVRMMOをやります(仮)
変更後クエスト 11
周回してきたカナリアから、また爆弾発言がくりだされた。今回は「敵飛行モンスターとお友達になりました」だった。
もう、どうにでもなれ。報告を聞いた面子は全員そう思った。
「とりあえず上空からの攻撃はなくなった。地上部隊を丸一日かけて阻止する。それでクエストクリアだから」
ディッチの言葉に、全員が了承の意を伝えてきた。
地上に湧き出るモンスターを阻止するというだけでも、かなり大変である。
そして、長期戦のため全員がログアウトしつつ戦うのだ。
「そろそろ有給がヤバイ」
ぼそりとディスカスが呟く。
「土日休みになったんだろ? あと二十時間。頑張ろうか」
「流石に歳取ったと思ったよ。今回のクエスト。起きてんのがきっつい」
「それは俺も。悠里がログアウトすると飯作ってくれてるのが、申し訳ない」
「リア充め」
「お前も嫁さんもらえばいいのに」
「親父の伝手はお断り。それに不定期休みOKな上、ゲーマーに理解のある奥方はそういない」
遠距離攻撃を仕掛けつつ、ディッチとディスカスはのほほんと話している。
「くそ兄貴! のほほんと会話してないで、もっと回復しやがれ!!」
「……こいつならお前の条件は満たしているが」
「……女として見ろと?」
その言葉にスカーレットがぶちっと切れた。
「んな阿呆な会話してんなーーー!!」
スカーレットの拳により、二人はダメージを負いつつも最前線へと送り出された。
「酷い妹だ」
「全くだ」
どこまでも反省していない二人であった。
万事休す、そう思ったところからの逆転劇。カーティスはそう取った。
兎レイドのときと同じ。鍵になるのはカナリアである。
ディッチに言わせると「馬鹿高いLUK値のおかげ」らしい。今回ステータスを見て唖然としたものだ。
だが、これでクリアできたとしても、また来るであろう砦イベントの参考にはならない。次までに目玉になる「何か」を見つけたおかないと、クリアは難しいのだ。
「壁に埋まっていたアイテムはこのクエストでしか使えない仕様でしたしねぇ」
そんなことを呟きながらも、次々と指示を出していく。
先ほど普段は最前線に立たないディッチが「無理矢理」送られたのを見たばかりである。おそらくしばらく戻ってこれないだろう。戻ってくるとしたら、一度ログアウトする時だ。それまではスマホで話をするしかない。
『カーティスさん! 前線に魔法使える人を配備して! 物理攻撃効かない!!』
「分かりました! では、一度物理攻撃のみの人はログアウトしてください! あと八時間近くになるカナリアさんもログアウト! 他は再度前線へ!!」
『じゃあ、俺は一度ログアウトする! 俺が戻るのと交替でカーティスがログアウト!』
ウドムが物理攻撃メインのメンバーを引き連れて下がってきた。
「頼んだ」
「任されました」
タッチして、カーティスは前線へと向かう。
カナリアがログアウトしたにもかかわらず、翼竜や飛行モンスターは上空から敵陣を攻撃してくれる。
大変ありがたい。……ガーコイルがあまりにもグロテスクだが。
ひたすら魔法攻撃を繰り出していく。
圧して、圧されてを何度も繰り返しながら、砦だけ死守する。
そんなことをしているうちにウドムが戻り、カーティスがログアウトした。
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