初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

非常識なプログラマー親子に対する苦言


「こえぇぇぇ。つか、さすがジャッジお前の育て親」
 そう言ったのはジャスティスだった。親友というか悪友というか、腐れ縁というか……。ともかく一番近くにいるジャスティスの言葉に、ユウがすぐさま頷いた。
「お前の病み具合が可愛いと思える日が来るとは思わんかった」
「それは言えるねぇ。まぁ、引いたけどカナリア君のことを考えれば『ざまぁ』と言いたいね」
「でも、あのHポーション要らなかったよね?」
 上からユウ、ディッチ、イッセンの呟きだ。

 気が付くと「カエルム」メンバーで舞踏会参加者は全員カナリアのそばに来ていた。
「……怖い」
「大丈夫、俺がそばにいるから」
 カナリアの怯える声にすぐさまジャッジが答える。

 さりげなく腰から尻に移そうとした手を、クィーンによって止められたジャッジは苦虫をかみつぶしたような顔で、睨み始めた。
「お主は自重じちょうというものを覚えよ」
自嘲じちょうはしちゃいかんだろ」
「わざと意味を取り違えるでない」
 そんな心温まる会話がカナリアの後ろでなされていた。


「一つ質問なんだが」
 クリスたちが出てきて、先ほどまでとは別の意味で騒がしくなっている会場でディスカスが訊ねてきた。あのプログラムはそこまで簡単に組めるものなのか、と。
「まず自分のタブレットに爆破プログラムを仕込んで……」
「んなもん、仕込む必要ない。破壊をキーにしてそこから敵方のタブレットに時限爆弾を仕込むプログラム一つ作れば問題ない。そこに付加価値として己のHP回復と敵のステータスダウンをつければいい」
「……かなり面倒なプログラムだよな」
「PvP用に最初から作っておけば簡単だろ。あとは開始早々に実行すれば終わり」
 どういうプログラムが必要なのかを考えながら答えるジャスティスに、あっさりとジャッジが答えを言う。
「えげつねぇ」
「そうか? タブレット壊さなきゃ発動しないプログラムだ。おそらく敵が破壊しないと作動しないんじゃないか」
 つまり壊さなければいい、あっさりと言い切るジャッジに、ディスカスたちが頭を抱えた。
 どちらが早く壊すかで勝敗が決まる時すらあるというのに、それをさせないプログラム。これが「TabTapS!」内で売られた日には、PvPがなおさらきつい仕様になる。
「もう一つ方法あるがな」
「あるなぁ。確かに」
「つか、やったら短時間解決だろ」
 ジャッジの言葉にそれ、、について思いついたユウとジャスティスに、他のメンバーが不思議そうな顔になっていた。
「簡単だろ。自分のタブレット壊した後、相手のタブレット壊せばいい」
 さらりと答えを出されたものの、それが出来るプレイヤーがどれくらいいると思っている!? というディッチの突っ込みに、それもそうかと頷いた。

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