初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

決闘の行方


 特に決まりのないPvPであれば、クリスはチート扱いである。
 プログラムやゲーム、VRに費やした時間は他のメンバーをはるかに超えるのだ。
「縛りくらい入れてあげるか」
 とりあえず、、、、、タブレットにとあるプログラムを組み込んで、武器はしまう。武器は一切使わないと決めた。
「魔法は……どうしようかねぇ」
 そんなことを呟いているうちに、シュウがタブレットを破壊した。

 詰んだ。

 誰しもがそう思っただろう。

 シュウは剣技を余すことなく使ってくる。勿論、時々回復しながら。
 それを紙一重でかわすクリス。

 紙一重で躱していたとしても、それなりにダメージは行くし、クリスの回復薬は鞄に入っている数本のみ。
 それを使わせない、それくらいの勢いでシュウは攻撃を仕掛けていく。

 誰しもがシュウの勝ちを予想していた。


 PvPが始まると、シュウがいた近くには「深窓の宴」のメンバーが、カナリアのそばには「カエルム」メンバーが集まってきた。
 どさくさに紛れて、ジャッジがカナリアを抱きしめるのはいつものこと。今回マナー違反だが、カナリアの不安を取り除くためという大義名分で見逃されている。
「ジャ……ジャッジさん」
 自分以外の男を心配しているのが気に入らないが、おくびにも出さない。
クリスあいつなら大丈夫だろ。えげつない方法で勝つ」
 今までやられてことを思い返せば、「えげつない」という言葉の方が可愛い。

 最初にタブレットに触った時に、何かを仕込んだのは確実。ただでは起きないのも確実。心配するだけ損だ。
 付け加えるなら、クリスの心配は一万歩譲って認めるが、シュウの心配をしていたとなったら、間違いなくシュウを消せる自信がある。


 そして、それ、、は起きた。

 ジャッジからしてみれば「やりやがった、あの野郎」で済む程度の、他のプレイヤーからしてみれば「ドン引きするレベル」の、名だたるプログラマーが頭を抱え、イノセンツたちが「尊敬」するレベルの出来事が。

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