初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

緊急クエストの始まり

 クエストが終わり、カナリアとジャッジの拠点に戻ると、また報酬を振り分ける。あれが欲しい、これが欲しい。互いに言っていく。カナリアとジャスティスが被るのが繊維系、ディスカスやスカーレット、ディッチと被るのは金属系だった。それでも、カナリアは糸をジャスティスに、ワイヤー系をディスカスに、テグスもどきをスカーレットにお願いするため、そこまで取り分は少ない。鉱石系はほとんどカナリアが貰う形だ。
 鉱石系は、それぞれで欲しいものがあれば持っていく。その余ったものをカナリアは貰うのだが、今まで以上に多く、そして質がいい。やはり課金クエストは違うと思った。
「あの……」
 倉庫からビーズを持って来て、おずおずとディスカスたちに話しかけた。
「どうした?」
「これで編みこみが出来るくらいの太さにして欲しいんです」
 そう言って、ディスカス、ジャスティス、スカーレットに渡す。
「これ、どうやって作ったの?」
「えっと、何回か失敗しながら成功率を上げて、成功率が七十%になったら一度タブレットに登録して、作るだけ作って成功率を上げて再度登録してます」
 おかげである程度のビーズは成功率は百%近くなっている。
「カナリアちゃんを甘く見てたわ」
「レット。それは俺もだ」
 スカーレットとジャスティスが呟く。
「よくこんなに細かいもの作る気になったね。しかも全部鉱石とボーンじゃん」
「じ……時間だけはあったので」
 ほとんどLVもあげずにこちらばかりやっていたのだ。ジャッジがクエストに誘わない限り、一時期は全くクエストに行かなかった。それ以外の時間はアクセサリー作成にまわしていたのだから、当然ともいえる。
「これ、少し買い取りしていい? 服に使えるな」
 ジャッジが鉱石のビーズを見て言う。
「構いません。倉庫を圧迫するだけですから」
 それくらいビーズはあるのだ。スカーレットもビーズを買い取っていく。グラスビーズの見本にすると張り切っていた。
「そりゃエンチャント率があがるわけだよな。こんなに小さいものを集中してやるんだ」
「しかも拡大鏡、市販のやつだ」
 ディッチの言葉に追従するように言ったディスカスの言葉に、全員が絶句していた。
「?」
 よく分からないカナリアは、こてんと首を傾げた。

――ギルドより連絡があります。拠点のギルドへ向かってください――
 カナリアが所持しているタブレットがいきなり、知らせてきた。

 タブレットが緊急クエストを知らせてきたのだ。

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