初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

改築依頼

 クィーンたちが戻ってくると、これまでの話を報告する。
「レイド戦とやらは我は分からぬ。お主たちの好きにせよ」
 というわけで、レイド戦に関してはあっという間に決まった。


 問題は建物の話である。
「ギルドとやらの建物に四畳半の和室を一つ。これは茶室に使う。それから我用の八畳間を床の間付で一つ。……それから我が来たとき用の集合場所を。……これは十二畳の部屋じゃな。それを一つ」
「ちょっと待ってください!」
 ディッチが口を挟もうとするも、いつの間にかもっていた扇子で肩をはたかれてた。
「それは扇子では!? どこで手に……」
「ディスカスに作らせた。一応武器にもなるようであるな」
 カーティスの疑問にあっさりとクィーンが答えてくる。
「茶の用意が出来るまでしばし時間がかかりそうじゃからの。我は和室でないと休んだ気がせぬのじゃ」
 あっさりとクィーンが言い、ディッチの意見をねじ伏せてた。
「あとはユーリの住まいに四畳半を一つ。それからカナリアの住まいにも同じものを一つ」
 そんなにたくさん一気に依頼が来ると思わなかった。
「わたくしのところにも茶室をお願いします」
 ママンも追加依頼をしてきた。
 そして、「神社仏閣を愛する会」としては、プレイヤーから初の大型依頼が舞い込んできたのだ。
「あと、この島付近の小さな島に空き家がないか調べてくれないかな? 私が気に入ったらそこに拠点を構えようかと思う。その修繕改築もあなた方に頼みたい」
 アントニーも続けざまに言う。
 感激ものである。同じような趣味の人がもっといてくれたということと、依頼の量に全員が泣きそうになっていた。
「……すまんがこちらとしても少し割引を頼みたい」
 ディッチが諦めたように、カーティスに話しかけた。
「私の拠点配置の分は私が出すよ」
「私も、自分の拠点の分は私が出します」
「私もです」
 アントニーの言葉にユーリたちも続いてくる。
 それを聞いたカーティスたちは数個そろばんを出して、計算を始めた。
「この金額でいかがでしょうか!?」
 正直、これ以上まけてくれと言われたら、どうしようかと思う金額を初回で出してしまった。
「のったぁ!」
 ディッチがわざとらしく大きな声で言った。

 こうして、以外にもあっさりと建物改築の依頼はあっさりと通ったのである。

 アントニーが住まう建物はシンとタクが捜すことになり、「カエルム」の本拠地改築は十一月のレイド戦が終わってから、新年までに完成させるということで契約書も作った。
 ユーリとカナリアの拠点改築はそれが終わった後からすることになる。

 そして、「深窓の宴」へカーティスは今年から「巨大一角兎討伐」依頼を行わないとギルドカウンターを通して通達した。

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