初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

上方修正

「うわぁぁ。解体して出てくるアイテムに『兎の目玉』って……しかも錬金素材。これだけシュールだわぁ。あとは毎度の血清と肉。錬金に使えるね。一度戻って錬金してくる。半分はこっちで特殊錬金してみて。多分違ったものが出てくると思うから」
「神社仏閣を愛する会」の中で錬金を使えるのは、タクだけらしく、スカーレットが指示していた。

 ジャッジがぽっきりと折った角も、下のほうさえきちんと切れば使い物になった。その切れ端を有効利用しようとするのが、カナリアである。
「目標個体数は?」
「四十本だったのですが、五十本に修正変更したいと思います」
 ディッチとカーティスで色々話していく。それをサイレンが黙ってみているのだ。
「どうした?」
 カナリアが作るのを見守りつつ、ジャッジはサイレンに声をかけた。
「自分たちが馬鹿みたいだと」
 悔しそうに顔をゆがめてサイレンが言う。
「『TabTapS!』内でも大手の戦闘ギルドなどと名乗っておきながら、俺たちはあなた方の指示がなければ、効率よくレイドボスを倒すことすらできない」
 その言葉がジャッジには懐かしく思えた。
「お前、大学生か高校生だろ?」
「何故?」
「昔、俺やジャスも同じジレンマに陥ったことがある。俺なんざ年齢一桁台からVRMMOやらされてたんだ。慣れもあるからな。ディッチさんはそんな俺よりも年上だし、カーティスさんはこのレイド戦を毎年やってるんだ。お前らに遅れを取るほうが恥だろ」
「そんなもの、ですか」
「そんなもんだ」
 そんな話をしていたら、カナリアがこちらに向かってきた。
「ジャッジさん! 出来ましたっ」
「今度は何を作った?」
 カナリアが何を作ろうが、ジャッジたちは驚かなくなっている。
「チョーカーですっ。持ってたほかのビーズと合わせてみました」
「うん。似合う」
 さり気なく受け取ったチョーカーを、カナリアの首につけてみる。少しばかり淡い光を放つ角は、綺麗なアクセサリーへと変貌していた。
「カナリアちゃんはー、器用だねー」
「皆さんのおかげで、器用になりました」
 必要以上に卑下しなくなったが、それでも己の力ではないというスタンスは変わらない。
「これでおばばさんに数珠とお茶用の扇子を作ろうかと思ってます」
「……数珠はともかく、あの陰険策士様が武器として使う可能性があるから、もったいない。やめておいたほうがいいと思うぞ」
「そうですか?」
 ややしょんぼりしたカナリアの頭を撫で、少しだけ癒されておく。
「ラブラブはー、見せ付けないでくださーい」
 しれっとエリが割り込んできて、女性陣のところに連れて行った。

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