初心者がVRMMOをやります(仮)
イッセンVSディッチ
「じゃ、とりあえず数個スキルを使って俺、もしくはミントに攻撃よろしく」
ディッチの言葉を皮切りに、イッセンは己の開発したスキルを使っていく。
「『アタッカー・スラッシュ』!」
武器系のスキルはタブレットを介さない。ただ、使ったスキルはそのままタブレットに残っている。
「リキャは?」
「九十秒! キャストタイムは五秒!」
「……ん。次のスキルよろ」
「『なぎ払い』!」
「おお~。スタン系の技、よく作れたな」
「根性で作った。リキャストタイムは十五秒、キャストタイムは三秒!」
「よく頑張ってそこまで時間減らせたな~」
「これはよく使うスキルだし。クールダウンタイムは六十秒」
スキル発動をさせたあと、時間を淡々と言っていく。
数個のスキルをイッセンが発動させた後、次はディッチの番になる。
「まずは『ライトヒール』。リキャが四十秒、キャストが十秒ってところか。次に各種STRアップ系の補助魔法。単発がリキャ二十秒、キャスト五秒。味方へのエリア補助がリキャ四十秒のキャスト十秒。……ま、四十秒で切れることはないからあまり意味はないが。
次に相手方にかけるSTRダウン系魔法。こちらもリキャとキャスト双方ともに時間は一緒。こっちの方が厄介だな」
「ディッチさん、こんな強力な補助魔法使えるの!?」
ダウン系をかけられたイッセンが驚く。
「俺クレリックだし」
「聖職者じゃないでしょ!? どっちかっていうと、魔導師名乗ってくださいよ!」
「攻撃系魔法ほとんど育ててないし」
「補助魔法が鬼です!」
敵に回って初めてわかる、ディッチの恐ろしさ。クレリックを名乗っているのも、おそらく肉弾戦もある程度出来るからだと推測している。
「じゃ、次~~。こっからがメインだね。俺にリキャストタイム短縮魔法をかけてすぐに、イッセン君にリキャストタイム延長魔法をかける。俺が魔法発動する前に、一度スキル使って。そのうえでリキャがどう変わるかカナリア君たちもしっかり見ること。一応、分かりやすく五十パーセントのを使うからね。ちなみに効果時間はそれぞれ一スキルにつき三十分!」
それだけ言うと、すぐさまタブレットをタップしていく。
急いでイッセンが「アタッカー・スラッシュ」を再度使う。
「カナリア君、よく見ていて! 俺のライトヒールの時間とイッセン君のスキルの時間の増減」
その効果は、イッセンも手に取るように分かった。
いつもと同じように使おうとしても、スキルが発動しない。
タブレットで確認すれば、「使用不可」となっている。
発動時間が九十秒から通常で百三十五秒へと変わっている。
「ディッチさんの鬼~~!!」
「分かりやすいだろ?」
そして様々なスキルへ使用され、ズタボロのままPvPを終えた。
それをカナリアはあっけにとられて見ていたが、その魔法の凄さに気づくことはなかったという。
「俺、ボコられ損じゃんか!!」
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