老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
313話 最深部
白狼隊一同は色々あったが、ゆったりとした休日を楽しみ、探索再開の日を向かえる。
流石に休日最終日は各々ゆったりと過ごし、イベントも特に起こらなかった。
ダンジョンの中とはいえ、やはり街に似た構造の場所は精神的な疲労回復に有効と言うデータも取れた。
「全員準備はいいね、ダンジョン探索を再開します」
数時間で街があっという間に各素材へと分解されてアイテムボックスに収納されていくデタラメを目の前で見ても、もう驚く人間も突っ込む人間もいなかった。
白狼隊と一緒に生活していると、そういった耐性がついていく。
気が付かないうちに社会常識から乖離させられてしまうのだった……
三日間の休息を得た白狼隊達は、再び戦いの中に身を投じると、敵を食い破る一つの巨大な生命体のように快進撃を続ける。
ダンジョンも深層に入って、敵も強大になってきているはずだが、進む速度は休息前よりも目に見えて早くなっている。
その原動力になっているのがコウとナオだ。
お互いがお互いに負けぬように、それでいてお互いを守り合う。
個と個だった戦い方が、二人組の熟練の戦士のようにお互いをフォローして高め合うというソレになっていた。
「もともと素質はあったのが、告白がスイッチになったんだろうね」
ユキムラはその戦い方を嬉しそうに分析していた。
超えたいライバルであり、頼れる相棒であり、守りたい恋人。
それらが上手く融合して完成した関係と言えた。
ユキムラはあまりそういうことはないが、白狼隊のメンバー同士はそういう関係と言える。
一人の戦闘よりも誰かと一緒のほうがより強力なパーティとなる。
ユキムラはある意味完成しているので一人でもパーティでも強い。
しかもそのパーティの足りない部分を完全に埋められるタイプなので、どんなパーティに組み込んでも無類の強さを誇る。
レン、ソーカ、ヴァリィでも得意不得意がある。
タロはユキムラと同等の役目を担うことが可能だ。
レンは魔法に偏っているし、そのかわり符術、陰陽術を絡めた魔法戦闘はユキムラをも超える。
ソーカは近接戦闘に特化している。
大分おかしなレベルに達してきており、システムによって補助されたカウンターにカウンターを合わせる日も近い……
ヴァリィは攻勢よりも守勢を得意とする。
完全に守りに入ればユキムラを持ってしても突破は難しい。
それらの個性が混じり合って白狼隊というパーティを作っている。
「お、雰囲気変わったし、この階層がラストかな?」
さらに一ヶ月ほどダンジョン攻略を続けていると、山頂に開けた神殿のようなエリアに到達する。
物理的に実世界ではあるはずのない広大な神殿前の空間が、いかにもな雰囲気を醸し出している。
「実際の山頂とはまるで違うんですね……」
アリシア達も自分が知る頂上との違いに驚いている。
「師匠、ここですかね?」
「たぶんね。えーっとたぶんここで最後の仕上げとなります。
予想としてはかなり強力な敵が出ます。今までの経験を活かせば、皆さんなら大丈夫です。
冷静さを忘れずに、頑張りましょう!」
ユキムラの演説に全員が静かに、力強く頷く。
巨大な真っ白い神殿の前は、円形の石畳の広間になっている。
床にも見事な神話が描かれており、長い年月を経れば歴史的な素晴らしい価値が生まれそうだ。
全員がそのエリアに侵入すると、上空に暗雲が立ち込めてあっという間に真っ暗になる。
「落ち着いてねー、たぶん急に襲われたりはしない、周囲には警戒を怠らないこと」
冷静なユキムラの言葉で全員冷静さを失わずに済む。
激しい雷鳴が円盤状の舞台の中央に降り注ぎ、その雷が一つの形を作り上げていく。
巨大な馬のような姿、黄金の鬣に立派な角、その足は8本、筋肉がはちきれんばかりだ。
「スレイプニルか……」
ユキムラがつぶやくと、上空からその巨馬のサイズに合わせた漆黒の鎧姿の騎士、明らかにおかしいのは頭部がない。
血の色のような真っ赤なマントをはためかせながら巨大な馬にまたがり、騎兵の姿を取る。
「デュラハーンにスレイプニル……こりゃ難敵だなぁ……レン、全員に情報を共有するように」
「はい。皆さん、あの騎兵は馬がスレイプニル、上の騎士がデュラハーンと呼ばれる魔物です。
騎乗状態での突進は脅威で、その通り道には落雷の雨が降り注ぎます。
騎士の持つ槍も呪いが付与されており、完全に躱すか完全防御をしないとその呪いが付与されます。
ボスであることを考えると状態異常防御を抜いてくるかもしれないので出来る限り完全回避を目指してください。
基本的な戦術は……」
レンが簡単な戦術を説明していく。
その間にもデュラハンは完全な姿を顕現し、大きく前足を上げて嘶き、戦闘準備の完了を告げる。
「さーて、タロと俺の立ち回りが重要だからよろしくね」
「ワウン!」
タロがユキムラの持つ巨大な盾にコツンと鼻を当てる。
ユキムラは大盾に長槍。防御主体の装備に換装している。
タロとユキムラで敵のタゲを完全に管理して、タロは回避、ユキムラは完全防御で敵の攻撃を受け持ち、他の仲間を守る。
一度でも後方へとタゲが行くと、混戦になってしまう。
久しぶりの緊張感溢れる戦闘が今、始まる。
流石に休日最終日は各々ゆったりと過ごし、イベントも特に起こらなかった。
ダンジョンの中とはいえ、やはり街に似た構造の場所は精神的な疲労回復に有効と言うデータも取れた。
「全員準備はいいね、ダンジョン探索を再開します」
数時間で街があっという間に各素材へと分解されてアイテムボックスに収納されていくデタラメを目の前で見ても、もう驚く人間も突っ込む人間もいなかった。
白狼隊と一緒に生活していると、そういった耐性がついていく。
気が付かないうちに社会常識から乖離させられてしまうのだった……
三日間の休息を得た白狼隊達は、再び戦いの中に身を投じると、敵を食い破る一つの巨大な生命体のように快進撃を続ける。
ダンジョンも深層に入って、敵も強大になってきているはずだが、進む速度は休息前よりも目に見えて早くなっている。
その原動力になっているのがコウとナオだ。
お互いがお互いに負けぬように、それでいてお互いを守り合う。
個と個だった戦い方が、二人組の熟練の戦士のようにお互いをフォローして高め合うというソレになっていた。
「もともと素質はあったのが、告白がスイッチになったんだろうね」
ユキムラはその戦い方を嬉しそうに分析していた。
超えたいライバルであり、頼れる相棒であり、守りたい恋人。
それらが上手く融合して完成した関係と言えた。
ユキムラはあまりそういうことはないが、白狼隊のメンバー同士はそういう関係と言える。
一人の戦闘よりも誰かと一緒のほうがより強力なパーティとなる。
ユキムラはある意味完成しているので一人でもパーティでも強い。
しかもそのパーティの足りない部分を完全に埋められるタイプなので、どんなパーティに組み込んでも無類の強さを誇る。
レン、ソーカ、ヴァリィでも得意不得意がある。
タロはユキムラと同等の役目を担うことが可能だ。
レンは魔法に偏っているし、そのかわり符術、陰陽術を絡めた魔法戦闘はユキムラをも超える。
ソーカは近接戦闘に特化している。
大分おかしなレベルに達してきており、システムによって補助されたカウンターにカウンターを合わせる日も近い……
ヴァリィは攻勢よりも守勢を得意とする。
完全に守りに入ればユキムラを持ってしても突破は難しい。
それらの個性が混じり合って白狼隊というパーティを作っている。
「お、雰囲気変わったし、この階層がラストかな?」
さらに一ヶ月ほどダンジョン攻略を続けていると、山頂に開けた神殿のようなエリアに到達する。
物理的に実世界ではあるはずのない広大な神殿前の空間が、いかにもな雰囲気を醸し出している。
「実際の山頂とはまるで違うんですね……」
アリシア達も自分が知る頂上との違いに驚いている。
「師匠、ここですかね?」
「たぶんね。えーっとたぶんここで最後の仕上げとなります。
予想としてはかなり強力な敵が出ます。今までの経験を活かせば、皆さんなら大丈夫です。
冷静さを忘れずに、頑張りましょう!」
ユキムラの演説に全員が静かに、力強く頷く。
巨大な真っ白い神殿の前は、円形の石畳の広間になっている。
床にも見事な神話が描かれており、長い年月を経れば歴史的な素晴らしい価値が生まれそうだ。
全員がそのエリアに侵入すると、上空に暗雲が立ち込めてあっという間に真っ暗になる。
「落ち着いてねー、たぶん急に襲われたりはしない、周囲には警戒を怠らないこと」
冷静なユキムラの言葉で全員冷静さを失わずに済む。
激しい雷鳴が円盤状の舞台の中央に降り注ぎ、その雷が一つの形を作り上げていく。
巨大な馬のような姿、黄金の鬣に立派な角、その足は8本、筋肉がはちきれんばかりだ。
「スレイプニルか……」
ユキムラがつぶやくと、上空からその巨馬のサイズに合わせた漆黒の鎧姿の騎士、明らかにおかしいのは頭部がない。
血の色のような真っ赤なマントをはためかせながら巨大な馬にまたがり、騎兵の姿を取る。
「デュラハーンにスレイプニル……こりゃ難敵だなぁ……レン、全員に情報を共有するように」
「はい。皆さん、あの騎兵は馬がスレイプニル、上の騎士がデュラハーンと呼ばれる魔物です。
騎乗状態での突進は脅威で、その通り道には落雷の雨が降り注ぎます。
騎士の持つ槍も呪いが付与されており、完全に躱すか完全防御をしないとその呪いが付与されます。
ボスであることを考えると状態異常防御を抜いてくるかもしれないので出来る限り完全回避を目指してください。
基本的な戦術は……」
レンが簡単な戦術を説明していく。
その間にもデュラハンは完全な姿を顕現し、大きく前足を上げて嘶き、戦闘準備の完了を告げる。
「さーて、タロと俺の立ち回りが重要だからよろしくね」
「ワウン!」
タロがユキムラの持つ巨大な盾にコツンと鼻を当てる。
ユキムラは大盾に長槍。防御主体の装備に換装している。
タロとユキムラで敵のタゲを完全に管理して、タロは回避、ユキムラは完全防御で敵の攻撃を受け持ち、他の仲間を守る。
一度でも後方へとタゲが行くと、混戦になってしまう。
久しぶりの緊張感溢れる戦闘が今、始まる。
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