老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
302話 優等生アリシアと悩めるソーカ
「まずいわ……」
ダンジョンに入って5日。
ソーカは自分が考えていたプランと全く異なる方向へと進んでいることに焦っていた。
今、アリシアはソーカの目の前で一生懸命、今日の戦闘の反省と各モンスターの特徴と対処を真面目に学んでいる。
大変素直で優秀な生徒だ。
「それが、問題なんだよー……」
「ソーカ先生どうかされましたか?」
今、アリシアはソーカや白狼隊にメンバーを先生と呼んでいる。
こんな綺麗な女性に、先生先生と慕われるのは悪い気はしない。むしろ何とも言えないむず痒い気持ちよさを感じていた。
レンやヴァリィはなんとも思っていないようだが……
ソーカは自分が行った手前、もっとも長い時間アリシアに指導している。
アリシアは1教えれば10響くような才能あふれる生徒だ。
一人でもどんどん成長していくだろうが、自分が教えることでその成長を飛躍的に伸ばしてやれている。教師にとって麻薬とも言える生徒なのだ。
「ソーカ先生、例えば相対する属性の敵が同時に現れた場合、どのような順序で倒していくのかというルールみたいなものはあるんですか?」
「基本的には相手のパーティの構成で最も重要な部分を攻めるっていうのが大前提。
それでも、事故を起こすような強力な攻撃を放つような敵はなるべく早く排除したほうがいいわ」
「つまり、属性を意識するのではなく、あくまでパーティ全体を見て判断するべきってことですね」
「そう。ただ、属性による特徴もあるから、例えば火は単体に強力な攻撃が多いとか、風は全体攻撃が多いとか、相手の使う攻撃を予想して、自分のパーティに取って不利になるような攻撃をしてくる敵から落としていくのが大事。敵も大事だけど、自分たちもよく理解しないと駄目ね」
「わかりました。ありがとうございます」
こんな具合である。
ユキムラに色狂いしていたアリシアは、霧となって消えてしまっている。
はじめはソーカも油断させる演技と身構えていたが、この変化はアリシアの心からの成長への喜びからくるものだと、今は理解している。
「今日も頑張ってるね。アリシアさん、そろそろきつくなってくるんじゃない?
はい、お茶とお茶菓子持ってきたよ」
ユキムラはこうしてアリシアの様子を見に来る。
そんな時でも過去の当ててんのよ。や、わざと強調して谷間を作ってるのよ。なんてことはしない。
「ありがとうございます。ソーカ先生の教え方が大変素晴らしくて、新しいことを知る喜びで辛さなんて吹っ飛んでしまいますわ」
「この調子なんだよねー……」
「ん? ソーカなんか言った?」
「え? いえいえいえ、アリシアさんはとても優秀で、そろそろ教えることが無くなりそうです」
「どれどれ、おお、ホントだこんな高度なことまでやってるんだ……
これ以上だと実践で……アリシアさん明日、司令塔やろうか」
「え? 司令塔?」
「全員がアリシアさんの指示で動くようにするんだよ。
すごい勉強になると思う。大変だと思うけど、みんながきちっと支えてくれるから」
「……わかりました! 不肖の身なれど、精一杯頑張ります!」
「いいね!」
こうしてまたユキムラの中でのアリシアの好感度は上がっていく。
それは男女の評価ではないが、人としてユキムラと繋がっていく。
ある意味、最も恐ろしい状態だ……
「そうしたら、今日はこのぐらいにしておこう。
たぶん、実際に指示出すと、凄い消耗するから」
「わかりました。ユキムラ先生お茶とお菓子とても美味しかったです。
ありがとうございます。おやすみなさいませ」
こういう女性らしい仕草は、同性であるソーカからみても、キュンとしてしまうほど素敵な女性だ。
「それではソーカ先生も、おやすみなさいませ」
「あ、アリシアさん」
「はい」
「明日、上手く行ったら夜は少しお祝いしましょう。
女性だけ集めて、美味しいものでも囲みましょう」
「お心遣いありがとうございます。その会を楽しめるように明日は頑張りますね!」
本当にただのいい子だ。
ソーカはアリシアの出ていった部屋で一人自己嫌悪に陥る。
「はぁ……勝手に対抗意識向けて、あっちは大人で目標見つけて輝いていて……
落ち込むわね……ユキムラさんは……アリシアさんみたいに一生懸命な人好きだろうからなぁ……」
考えれば考えるほど、悲しい妄想が広がっていってしまう。
なんとなく声をかけて、会を作ってしまったり。自分が何をしたいのかわからなくなっている。
「とりあえず、ナオに手伝ってもらうかぁ、まだ寝てないかな……ちょっとシャワー浴びよっと……」
ナオの部屋に顔を出して、明日のことを伝えておく。
女性はソーカ、アリシア、ナオ、メリア。
メリアは30代の冒険者として非常に油の乗った女性司教だ。
すこしふっくらとして、とても優しそうな笑いジワのある微笑みは誰もが心を許してしまう。
お子さんも7人居て旦那さんともラブラブだ。
ユキムラはアイドル的な位置づけだ。
ソーカとナオは見た目は随分とナオが幼く見えるが同い年、ソーカは長いことこの冒険を続けているせいで中身は大人になっている。
アリシアは20代前半、そしてメリア。結構楽しそうな会になりそうだ。
「ごちゃごちゃ考えないで、私もみんなと仲良くなろっと。美味しいもの作るぞー!」
シャワーを浴びてスッキリすると、少し前向きな考えになったソーカであった。
ソーカにとって明日の女子会が幸多からんことを……
ダンジョンに入って5日。
ソーカは自分が考えていたプランと全く異なる方向へと進んでいることに焦っていた。
今、アリシアはソーカの目の前で一生懸命、今日の戦闘の反省と各モンスターの特徴と対処を真面目に学んでいる。
大変素直で優秀な生徒だ。
「それが、問題なんだよー……」
「ソーカ先生どうかされましたか?」
今、アリシアはソーカや白狼隊にメンバーを先生と呼んでいる。
こんな綺麗な女性に、先生先生と慕われるのは悪い気はしない。むしろ何とも言えないむず痒い気持ちよさを感じていた。
レンやヴァリィはなんとも思っていないようだが……
ソーカは自分が行った手前、もっとも長い時間アリシアに指導している。
アリシアは1教えれば10響くような才能あふれる生徒だ。
一人でもどんどん成長していくだろうが、自分が教えることでその成長を飛躍的に伸ばしてやれている。教師にとって麻薬とも言える生徒なのだ。
「ソーカ先生、例えば相対する属性の敵が同時に現れた場合、どのような順序で倒していくのかというルールみたいなものはあるんですか?」
「基本的には相手のパーティの構成で最も重要な部分を攻めるっていうのが大前提。
それでも、事故を起こすような強力な攻撃を放つような敵はなるべく早く排除したほうがいいわ」
「つまり、属性を意識するのではなく、あくまでパーティ全体を見て判断するべきってことですね」
「そう。ただ、属性による特徴もあるから、例えば火は単体に強力な攻撃が多いとか、風は全体攻撃が多いとか、相手の使う攻撃を予想して、自分のパーティに取って不利になるような攻撃をしてくる敵から落としていくのが大事。敵も大事だけど、自分たちもよく理解しないと駄目ね」
「わかりました。ありがとうございます」
こんな具合である。
ユキムラに色狂いしていたアリシアは、霧となって消えてしまっている。
はじめはソーカも油断させる演技と身構えていたが、この変化はアリシアの心からの成長への喜びからくるものだと、今は理解している。
「今日も頑張ってるね。アリシアさん、そろそろきつくなってくるんじゃない?
はい、お茶とお茶菓子持ってきたよ」
ユキムラはこうしてアリシアの様子を見に来る。
そんな時でも過去の当ててんのよ。や、わざと強調して谷間を作ってるのよ。なんてことはしない。
「ありがとうございます。ソーカ先生の教え方が大変素晴らしくて、新しいことを知る喜びで辛さなんて吹っ飛んでしまいますわ」
「この調子なんだよねー……」
「ん? ソーカなんか言った?」
「え? いえいえいえ、アリシアさんはとても優秀で、そろそろ教えることが無くなりそうです」
「どれどれ、おお、ホントだこんな高度なことまでやってるんだ……
これ以上だと実践で……アリシアさん明日、司令塔やろうか」
「え? 司令塔?」
「全員がアリシアさんの指示で動くようにするんだよ。
すごい勉強になると思う。大変だと思うけど、みんながきちっと支えてくれるから」
「……わかりました! 不肖の身なれど、精一杯頑張ります!」
「いいね!」
こうしてまたユキムラの中でのアリシアの好感度は上がっていく。
それは男女の評価ではないが、人としてユキムラと繋がっていく。
ある意味、最も恐ろしい状態だ……
「そうしたら、今日はこのぐらいにしておこう。
たぶん、実際に指示出すと、凄い消耗するから」
「わかりました。ユキムラ先生お茶とお菓子とても美味しかったです。
ありがとうございます。おやすみなさいませ」
こういう女性らしい仕草は、同性であるソーカからみても、キュンとしてしまうほど素敵な女性だ。
「それではソーカ先生も、おやすみなさいませ」
「あ、アリシアさん」
「はい」
「明日、上手く行ったら夜は少しお祝いしましょう。
女性だけ集めて、美味しいものでも囲みましょう」
「お心遣いありがとうございます。その会を楽しめるように明日は頑張りますね!」
本当にただのいい子だ。
ソーカはアリシアの出ていった部屋で一人自己嫌悪に陥る。
「はぁ……勝手に対抗意識向けて、あっちは大人で目標見つけて輝いていて……
落ち込むわね……ユキムラさんは……アリシアさんみたいに一生懸命な人好きだろうからなぁ……」
考えれば考えるほど、悲しい妄想が広がっていってしまう。
なんとなく声をかけて、会を作ってしまったり。自分が何をしたいのかわからなくなっている。
「とりあえず、ナオに手伝ってもらうかぁ、まだ寝てないかな……ちょっとシャワー浴びよっと……」
ナオの部屋に顔を出して、明日のことを伝えておく。
女性はソーカ、アリシア、ナオ、メリア。
メリアは30代の冒険者として非常に油の乗った女性司教だ。
すこしふっくらとして、とても優しそうな笑いジワのある微笑みは誰もが心を許してしまう。
お子さんも7人居て旦那さんともラブラブだ。
ユキムラはアイドル的な位置づけだ。
ソーカとナオは見た目は随分とナオが幼く見えるが同い年、ソーカは長いことこの冒険を続けているせいで中身は大人になっている。
アリシアは20代前半、そしてメリア。結構楽しそうな会になりそうだ。
「ごちゃごちゃ考えないで、私もみんなと仲良くなろっと。美味しいもの作るぞー!」
シャワーを浴びてスッキリすると、少し前向きな考えになったソーカであった。
ソーカにとって明日の女子会が幸多からんことを……
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