老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
270話 シリュウ
「ユキムラ!! シリュウが目を覚ましたぞ!」
ちょうどオトハのところにオニギリとお味噌汁を持っていこうとしていたユキムラのところにオトハが飛び込んできた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅるーーーーー
そしてその美味しそうなお味噌汁の香りにオトハの腹が盛大な音を上げた。
「そ、それはシリュウのところで食べるのじゃ……今は我慢するのじゃ……」
ユキムラは素早くもう一つそのセットを作りオトハと一緒にシリュウのところへと向かう。
「おお、ユキムラ殿お持ち致します」
途中でケイジと合流する。ユキムラの持つ盆を受け取って運んでくれる。
「いやー、それにしてもいい香りですな。先程食事を取りましたが握り飯というやつはどんなときでも食べたくなるもので……」
「ケイジ、それ食べたら貴様とは二度と口を聞かんからな」
「オトハ様、そんなことしませんよ子供じゃあるまいし……」
「ワシから見ればお主らは皆、子供みたいなものじゃ!」
「はっはっはーオトハ様には敵いませんな!」
談笑しながらシリュウが治療を受けていた部屋へと入ると、ベッドの上で上半身を持ち上げて座る龍人の姿がある。ただそこに座っているだけで周囲の空気が凛とした緊張感を漂わせる。
「世話になったようですね。はじめましてシリュウと申します。
このような体勢で失礼致します。少し足の感覚が鈍く上手く動かせないもので……」
不思議と通る声に、いつの間にか談笑していた全員が聞き惚れていた。
「あ……えっと、その、すみませんでした。淵って奴を倒すために貴方の身体を痛めつけてしまって……」
「いや! ユキムラたちは悪くないのじゃよシリュウ!
仲間を守りながら必死に戦ったのじゃ!」
「ええ、先程も言いましたが、この件に関しては感謝はすれど恨むなんてことはありません。
まさかまたこのように話せる日が来るとは思っても見なかったのですから。
本当に皆様、ありがとうございました」
輝く白髪に真っ白な肌のせいか、酷く儚げに映ってしまうシリュウ。
しかし、一切のムダのない龍人としての鍛え抜かれた肉体が一本筋を通して凛とした魅力に変えている。竜人とわかるのは腕のあたりに少し鱗があるぐらいなのと、金色の美しい目が不思議な形態をしているぐらいで、スラリとしたモデルのような体型の女性と言ってもわからないくらいだ。
「シリュウさん、起きたばかりですみませんが、何があったのか教えていただけませんか?」
「ええ……ただ、その前に我が友に食事を食べさせてもらってもいいかな?
もし……その、よろしければ私も……その、いい匂いでお腹がなりそうで……」
恥ずかしそうに顔を真赤にして照れるシリュウ、なんというか、艶っぽい……
「……惚れた……」
「……ん? 何か言ったか? ケイジ……?
それよりもシリュウの言うとおりじゃ! ユキムラ! はよ、はよ!」
それからユキムラはやることがあるからゆっくり食事して欲しいと中座して3人で食事を楽しむ。
ケイジの分もユキムラがストックしていた食事から用意した。
皆の食事も終えてお腹の暴れん坊が収まった頃にユキムラが戻ってくる。
「こんなの作ってみたから、シリュウさん使ってください。
あと、何が起きたかは皆で聞いたほうがいいと思うから会議室で話しましょう」
ユキムラは魔導式車椅子を作ってきていた。
電動式の車椅子の動力を魔道具で代用している。
手元のレバーで簡単に操作ができる。安全対策も抜群だ!
「おお、ユキムラ殿は今の時間にこのような物を作ったのですか!?」
動きを試しながらシリュウは驚きを隠せない。
オトハはその楽しそうなおもちゃに乗りたくてウズウズしているがぐっと我慢している。
「多分時間をかけて治療すれば足も動くようになると思いますよ」
レンが扉を開けてくれているのでそのままゆっくりと廊下へと出る。
先程レンにも相談してシリュウの診断をしてもらっている。
ユキムラが診ても良かったけど、女性の診察なのでまだレンの方が子供的にセーフと判断した。
医療的な知識はこの世界でレンが勉強しているので、ユキムラの回復魔法でポンという治療よりも繊細な治療が可能になっている。
VOとは違ってどんな怪我でも魔法をかければHPを回復で解決! とはいかないのがこの世界の理のようだった。と、いっても上位の回復魔法はほとんど万能と言っていい。
今回のケースみたいに神経系の問題が絡むと治癒反応がゆっくりになったりすることもある。
それでも適切な治癒を続けていけば時間経過で回復してくれることがわかっている。
「それでは皆さん、改めて私を救ってくださりありがとうございます」
「ワシからも礼をゆうのじゃ、皆の協力のおかげなのじゃ……」
「それなら我らも命を救ってもらった。本当に感謝する」
シリュウ、オトハ、ケイジが頭を下げてくる。
「ちょ、ちょっともう、それはいいですから。助けられて本当にほっとしてますよ」
ユキムラは基本的にこういうのに弱い。
「そ、それよりもシリュウさん。ここで何が起きたのかを教えていただきたいのです」
「そうなのじゃ! シリュウはアイツに乗っ取られておったのか?」
「そうですね、皆様との戦いもきちんと認識してはいたのですが、身体の主導権を完全に握られている状態、本当に地獄でした……
順を追って説明するべきですね……」
シリュウの口から過去の出来事が語られていく……
ちょうどオトハのところにオニギリとお味噌汁を持っていこうとしていたユキムラのところにオトハが飛び込んできた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅるーーーーー
そしてその美味しそうなお味噌汁の香りにオトハの腹が盛大な音を上げた。
「そ、それはシリュウのところで食べるのじゃ……今は我慢するのじゃ……」
ユキムラは素早くもう一つそのセットを作りオトハと一緒にシリュウのところへと向かう。
「おお、ユキムラ殿お持ち致します」
途中でケイジと合流する。ユキムラの持つ盆を受け取って運んでくれる。
「いやー、それにしてもいい香りですな。先程食事を取りましたが握り飯というやつはどんなときでも食べたくなるもので……」
「ケイジ、それ食べたら貴様とは二度と口を聞かんからな」
「オトハ様、そんなことしませんよ子供じゃあるまいし……」
「ワシから見ればお主らは皆、子供みたいなものじゃ!」
「はっはっはーオトハ様には敵いませんな!」
談笑しながらシリュウが治療を受けていた部屋へと入ると、ベッドの上で上半身を持ち上げて座る龍人の姿がある。ただそこに座っているだけで周囲の空気が凛とした緊張感を漂わせる。
「世話になったようですね。はじめましてシリュウと申します。
このような体勢で失礼致します。少し足の感覚が鈍く上手く動かせないもので……」
不思議と通る声に、いつの間にか談笑していた全員が聞き惚れていた。
「あ……えっと、その、すみませんでした。淵って奴を倒すために貴方の身体を痛めつけてしまって……」
「いや! ユキムラたちは悪くないのじゃよシリュウ!
仲間を守りながら必死に戦ったのじゃ!」
「ええ、先程も言いましたが、この件に関しては感謝はすれど恨むなんてことはありません。
まさかまたこのように話せる日が来るとは思っても見なかったのですから。
本当に皆様、ありがとうございました」
輝く白髪に真っ白な肌のせいか、酷く儚げに映ってしまうシリュウ。
しかし、一切のムダのない龍人としての鍛え抜かれた肉体が一本筋を通して凛とした魅力に変えている。竜人とわかるのは腕のあたりに少し鱗があるぐらいなのと、金色の美しい目が不思議な形態をしているぐらいで、スラリとしたモデルのような体型の女性と言ってもわからないくらいだ。
「シリュウさん、起きたばかりですみませんが、何があったのか教えていただけませんか?」
「ええ……ただ、その前に我が友に食事を食べさせてもらってもいいかな?
もし……その、よろしければ私も……その、いい匂いでお腹がなりそうで……」
恥ずかしそうに顔を真赤にして照れるシリュウ、なんというか、艶っぽい……
「……惚れた……」
「……ん? 何か言ったか? ケイジ……?
それよりもシリュウの言うとおりじゃ! ユキムラ! はよ、はよ!」
それからユキムラはやることがあるからゆっくり食事して欲しいと中座して3人で食事を楽しむ。
ケイジの分もユキムラがストックしていた食事から用意した。
皆の食事も終えてお腹の暴れん坊が収まった頃にユキムラが戻ってくる。
「こんなの作ってみたから、シリュウさん使ってください。
あと、何が起きたかは皆で聞いたほうがいいと思うから会議室で話しましょう」
ユキムラは魔導式車椅子を作ってきていた。
電動式の車椅子の動力を魔道具で代用している。
手元のレバーで簡単に操作ができる。安全対策も抜群だ!
「おお、ユキムラ殿は今の時間にこのような物を作ったのですか!?」
動きを試しながらシリュウは驚きを隠せない。
オトハはその楽しそうなおもちゃに乗りたくてウズウズしているがぐっと我慢している。
「多分時間をかけて治療すれば足も動くようになると思いますよ」
レンが扉を開けてくれているのでそのままゆっくりと廊下へと出る。
先程レンにも相談してシリュウの診断をしてもらっている。
ユキムラが診ても良かったけど、女性の診察なのでまだレンの方が子供的にセーフと判断した。
医療的な知識はこの世界でレンが勉強しているので、ユキムラの回復魔法でポンという治療よりも繊細な治療が可能になっている。
VOとは違ってどんな怪我でも魔法をかければHPを回復で解決! とはいかないのがこの世界の理のようだった。と、いっても上位の回復魔法はほとんど万能と言っていい。
今回のケースみたいに神経系の問題が絡むと治癒反応がゆっくりになったりすることもある。
それでも適切な治癒を続けていけば時間経過で回復してくれることがわかっている。
「それでは皆さん、改めて私を救ってくださりありがとうございます」
「ワシからも礼をゆうのじゃ、皆の協力のおかげなのじゃ……」
「それなら我らも命を救ってもらった。本当に感謝する」
シリュウ、オトハ、ケイジが頭を下げてくる。
「ちょ、ちょっともう、それはいいですから。助けられて本当にほっとしてますよ」
ユキムラは基本的にこういうのに弱い。
「そ、それよりもシリュウさん。ここで何が起きたのかを教えていただきたいのです」
「そうなのじゃ! シリュウはアイツに乗っ取られておったのか?」
「そうですね、皆様との戦いもきちんと認識してはいたのですが、身体の主導権を完全に握られている状態、本当に地獄でした……
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