老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
238話 地獄入り
ユキムラ達はいつもの鍛錬の時間に起きて外に出るが、あまりの臭気に室内の清掃から始める。
散乱した酒瓶に食器の数々、とりあえずマジックボックスに回収してソートして一気に洗浄する。
魔法も道具も使い方次第。こんな便利な使用もできるのだ。
「しかし、みんな目を覚ますんですかね?」
レンの言うとおり、鬼王と八鬼衆は死んだように眠っている。
鬼王の地響きのようないびきの中よく寝てられるなと感心してしまうほどぐっすりと眠っている。
「たぶんあの奥が言っていたダンジョンなんだとは思うけど、勝手に行くわけにいかないからね……」
ユキムラは正直さっさと入ってしまいたかったが、連れて行かなかった鬼王が面倒くさいことになるのは間違いないことも分かっている。
「とりあえずポーションと回復魔法でもかけますか」
鬼王と八鬼衆を一箇所にまとめてジャバジャバとポーションをぶっかける。
さらに設置型回復魔法陣を展開して全員の回復を促す。
「生命の樹」
光り輝く生命の樹が周囲の不浄を浄化していやしの力を強化する魔法。
防衛系クエストでは非常にお世話になる魔法だ。
妖怪も鬼も特に不浄なものという扱いではないのでちゃんと回復する。
髑髏のようなどう見てもアンデッドも、妖怪なら回復する。
不浄判定は魔物としてのアンデッドや悪魔族系が当てはまるようだ。
「う、ぐぅ、温かい……川の向こうのかぁちゃんが……」
「おお? 親父!?」
「み、みんな不穏な言葉を発してますね。回復してますよね……?」
「たぶん……?」
しばらくすると全員から漂って聞いた死臭と死相が消えていったので一同は安心した。
「すまねぇな。八鬼衆はまだまだ使い物にならねーから俺だけ一緒に行くぜ!
よろしくなユキムラ!!」
がっしりと手を握ってバンバンと背中を叩く鬼王、ほとんど酒の霧みたいな口臭だ……
「いてて、そしたら、行こうか!
たぶん鬼王が以前入ったものとは違うものになるから、敵も多分レベル上がると思う」
「おお、それはすげーな。あとオレはラオでいいぞ。
ほんとはもっと長い名前だったが、忘れちまったからよ!」
「じゃぁ、ラオ。行こうか!」
奥の間のさらに奥に扉があり、地下へと階段が続く、さらにその先に扉があり、そこを開くといつものゆらぎがある。ここからがダンジョンとなっているようだ。
「それじゃぁ、みんな今回もよろしくね!」
ユキムラの号令で皆ゆらぎを越えてダンジョンへと侵入する。
突然広がる地下空間、遠くではマグマが禍々しくうごめいていたり、地下河川や河原がある。
巨大な地下空間に繰り広がる水と炎のダンジョン。
言葉で表せばそういう雰囲気だ。
「なんだなんだ、これが地下なのか? ……地獄か……」
「ああ、なるほど。地獄を表してるのか!」
「師匠、じごくとは?」
「俺らの言い伝えで死後罪を重ねたものが送られる場所で、等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、炎熱地獄、大炎熱地獄、無間地獄の8大地獄があって、そこで永遠に苦しみ続けると言われている」
代わりにラオが解説してくれる。
おどろおどろしい全体の雰囲気は確かに地獄と呼ぶにふさわしいかもしれなかった。
「針の山とかはないのか、まぁ、イメージが異なるんだろうなぁ……」
「そ、そんな怖いところなんですね……」
「油断しないほうがいいわねぇ……」
「あああ! しまった。ラオ! ラオは武器とか装備ってある?」
「あん? 俺か? 俺は……あ、忘れてきた……」
「やっぱり、何も持ってないからそうじゃないかと思ったら……とりあえず何が得意なの?」
「まぁ、ステゴロでもいけるが、鉄環と棍棒が基本だな」
「鎧はこれでいいか……道着デザインのこれと、棍棒ならこれか、鉄環はないから、棍棒4本でいいか……」
ユキムラは適当な武器防具を取り出してラオ用に作り変える。
10分ほどですぐに出来上がる。
「おおお……すげぇな、これ! いや、すげーぞこれ!
お前らこんなの装備してたのか、ずりーぞ!」
「いや、ラオは俺たち全員をあしらってたじゃないか……」
「いや、まぁ、あの場所だとかなり俺の力は強くなるからな、今やったら多分お前らには勝てんぞ」
「そうなんだ、ってそんな大事なこと話していいの?」
「ああ、気にすんな! 別にどこだろうが思いっきり戦ってダメなら死ぬだけだ!
そういうもんだ鬼なんてもんは!」
ユキムラに渡された武具を非常に気に入ったのか何度も素振りをして確かめている。
「わりぃユキムラ、やっぱこっち2本は返す。
これなら2本のほうが楽だ」
そういうと4本の腕のうち脇から出ていた2本が身体に沈んでいく。
残りの日本の腕がミキミキと音を立てて隆起する。
その腕で棍棒を振るうと ぶおうん という音ともに風が起こった。
「ああ、やはりこの方がいいな。よっしゃ、ありがとよユキムラ!」
「そんなことも出来るのか……鬼はすごいな……」
「こんなこと出来るのは俺だけだけどな! おっと、なんかお客さんが来たみたいだ。
ちょっと腕試ししてくるから皆は楽にしててくれ!」
通路の向こうから魔物の集団が近づいてきていた、何故か地獄なんて和風な造りのダンジョンにも関わらず、敵はガーゴイルやサキュバス、インキュバス、リッチにベリアル、妙に西洋な面々だ。
アンデッドにタロがいきり立つが、ラオの顔を立ててきちんと我慢している。
突然特攻してきたラオに驚きながらも敵の攻撃がラオに集中する。
棍棒を棒っ切れのように軽々と振るい、攻撃を弾き飛ばし、返す一撃で前列は肉片と化した。
さらに蹴りや棍棒で大暴れすると、あっという間に、文字通り蹂躙していた。
「かーーーー、気持ちいいな! こいつらもつえーし!
早く! 早く行こうぜユキムラ!!」
こりゃ、チームプレイは無理だな……
ユキムラは頼もしくも困った仲間との共闘に悩むことになる。
散乱した酒瓶に食器の数々、とりあえずマジックボックスに回収してソートして一気に洗浄する。
魔法も道具も使い方次第。こんな便利な使用もできるのだ。
「しかし、みんな目を覚ますんですかね?」
レンの言うとおり、鬼王と八鬼衆は死んだように眠っている。
鬼王の地響きのようないびきの中よく寝てられるなと感心してしまうほどぐっすりと眠っている。
「たぶんあの奥が言っていたダンジョンなんだとは思うけど、勝手に行くわけにいかないからね……」
ユキムラは正直さっさと入ってしまいたかったが、連れて行かなかった鬼王が面倒くさいことになるのは間違いないことも分かっている。
「とりあえずポーションと回復魔法でもかけますか」
鬼王と八鬼衆を一箇所にまとめてジャバジャバとポーションをぶっかける。
さらに設置型回復魔法陣を展開して全員の回復を促す。
「生命の樹」
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防衛系クエストでは非常にお世話になる魔法だ。
妖怪も鬼も特に不浄なものという扱いではないのでちゃんと回復する。
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不浄判定は魔物としてのアンデッドや悪魔族系が当てはまるようだ。
「う、ぐぅ、温かい……川の向こうのかぁちゃんが……」
「おお? 親父!?」
「み、みんな不穏な言葉を発してますね。回復してますよね……?」
「たぶん……?」
しばらくすると全員から漂って聞いた死臭と死相が消えていったので一同は安心した。
「すまねぇな。八鬼衆はまだまだ使い物にならねーから俺だけ一緒に行くぜ!
よろしくなユキムラ!!」
がっしりと手を握ってバンバンと背中を叩く鬼王、ほとんど酒の霧みたいな口臭だ……
「いてて、そしたら、行こうか!
たぶん鬼王が以前入ったものとは違うものになるから、敵も多分レベル上がると思う」
「おお、それはすげーな。あとオレはラオでいいぞ。
ほんとはもっと長い名前だったが、忘れちまったからよ!」
「じゃぁ、ラオ。行こうか!」
奥の間のさらに奥に扉があり、地下へと階段が続く、さらにその先に扉があり、そこを開くといつものゆらぎがある。ここからがダンジョンとなっているようだ。
「それじゃぁ、みんな今回もよろしくね!」
ユキムラの号令で皆ゆらぎを越えてダンジョンへと侵入する。
突然広がる地下空間、遠くではマグマが禍々しくうごめいていたり、地下河川や河原がある。
巨大な地下空間に繰り広がる水と炎のダンジョン。
言葉で表せばそういう雰囲気だ。
「なんだなんだ、これが地下なのか? ……地獄か……」
「ああ、なるほど。地獄を表してるのか!」
「師匠、じごくとは?」
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代わりにラオが解説してくれる。
おどろおどろしい全体の雰囲気は確かに地獄と呼ぶにふさわしいかもしれなかった。
「針の山とかはないのか、まぁ、イメージが異なるんだろうなぁ……」
「そ、そんな怖いところなんですね……」
「油断しないほうがいいわねぇ……」
「あああ! しまった。ラオ! ラオは武器とか装備ってある?」
「あん? 俺か? 俺は……あ、忘れてきた……」
「やっぱり、何も持ってないからそうじゃないかと思ったら……とりあえず何が得意なの?」
「まぁ、ステゴロでもいけるが、鉄環と棍棒が基本だな」
「鎧はこれでいいか……道着デザインのこれと、棍棒ならこれか、鉄環はないから、棍棒4本でいいか……」
ユキムラは適当な武器防具を取り出してラオ用に作り変える。
10分ほどですぐに出来上がる。
「おおお……すげぇな、これ! いや、すげーぞこれ!
お前らこんなの装備してたのか、ずりーぞ!」
「いや、ラオは俺たち全員をあしらってたじゃないか……」
「いや、まぁ、あの場所だとかなり俺の力は強くなるからな、今やったら多分お前らには勝てんぞ」
「そうなんだ、ってそんな大事なこと話していいの?」
「ああ、気にすんな! 別にどこだろうが思いっきり戦ってダメなら死ぬだけだ!
そういうもんだ鬼なんてもんは!」
ユキムラに渡された武具を非常に気に入ったのか何度も素振りをして確かめている。
「わりぃユキムラ、やっぱこっち2本は返す。
これなら2本のほうが楽だ」
そういうと4本の腕のうち脇から出ていた2本が身体に沈んでいく。
残りの日本の腕がミキミキと音を立てて隆起する。
その腕で棍棒を振るうと ぶおうん という音ともに風が起こった。
「ああ、やはりこの方がいいな。よっしゃ、ありがとよユキムラ!」
「そんなことも出来るのか……鬼はすごいな……」
「こんなこと出来るのは俺だけだけどな! おっと、なんかお客さんが来たみたいだ。
ちょっと腕試ししてくるから皆は楽にしててくれ!」
通路の向こうから魔物の集団が近づいてきていた、何故か地獄なんて和風な造りのダンジョンにも関わらず、敵はガーゴイルやサキュバス、インキュバス、リッチにベリアル、妙に西洋な面々だ。
アンデッドにタロがいきり立つが、ラオの顔を立ててきちんと我慢している。
突然特攻してきたラオに驚きながらも敵の攻撃がラオに集中する。
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さらに蹴りや棍棒で大暴れすると、あっという間に、文字通り蹂躙していた。
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