老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
126話 世界に生きる人
「足回りは相変わらず最高ですね。しかし速さが段違いですね!」
「魔力回路の素材が段違いだから、利用率も高いし、魔石自体もグレードアップしてるからね。
他の馬車がいるときはスピード落としてね、馬がびっくりしちゃうからね」
現在120キロくらいで爆走している状態だ。
そこまで整備されていない場所を通ってもまるで振動も感じていない。
外を見なければ移動しているなんて信じられないほどの静けさ。
ヴァリィも裁縫工房に篭って作業に集中している。
精密な縫製や作成も問題なく行える移動拠点になっていた。
王都を出てわずか1日でジュナーの街へと到着する。
久々にレックスやサイレンと再会する。
「おお! ユキムラ殿!! 元気そうで何より! 今日は我が家に泊まってくれ! さぁさぁ!」
「また、強くなってるな……しかも、全員只者じゃない……世界は広いな……」
熱烈な大歓迎を受けてしまう。サイレンは白狼隊の成長に舌を巻いていた。
取り敢えず晩餐には参加する。
公的な立場できちんとした衣装での参加となった。
街の上役的な人物が多数参加していて、なんとかしてユキムラとのパイプを繋ぎたいという政略が見え隠れしていた。
ユキムラはのほほんとしていたがその両サイドをレンとソーカがきちんと守っていた。
「ぜひ、ユキムラ様の街の製品をうちに扱わせて欲しい!」
「あー、誰でもOKですよー。どんどん皆の暮らしを良くしていきましょう!
一緒に頑張りましょう!」
「い、いやそういうことではなくど、独占……」
「あ、僕独占とかそういうの絶対にしませんから。
この世界全体にいい暮らしを広めます。
王国にもとらわれません、この世界です。
これはハワード王にも承認済みですから」
ユキムラは天然でこうやってその政略をぶち壊していく。
レンやソーカも気持ちが良いほどだ。
そういう人柄だからレンは心から尊敬するし。
ソーカもユキムラを愛するのだ。
レックスもこういった私利私欲をもつ商人をこの場には呼びたくなかったが、立場というものがある。
事前に謝罪までされてしまっている。
一部の商人たちの思惑はギッタンギッタンにされたが、もちろんいいこともある。
「ユキムラ様が教会を通して寄付をしていただいたおかげでこの街にもケラリス教国から教師やシスターが多く来てもらえることになって、外街も含めて福利厚生面で充実してきました。
その後相談した外街での犯罪も激減しました。なんとお礼を言えばいいか……」
レックスが深々と頭を下げる。
以前相談されていた外街部分の治安向上はかなり成功したようだ。
今では日が暮れる前から煌々と道が照らされ、すっかり洗練された町並みになっているようだ。
軽く見ただけでも外部の町並みは綺麗になって、そして活気に溢れていた。
ユキムラは何よりもそういうニュースが嬉しかった。
パイプづくりに躍起になっていた商人たちにとっては完全に肩透かしになった晩餐も終えて、ユキムラはレックスやサイレンとグラスを交わしていた。
「本部でだいぶ派手にやったみたいじゃないか、こっちにまで聞こえてきたぞ。
しかし、ガレオンさんを倒すとはねぇ。俺じゃ相手にならないわけだ」
「サイレンさんはガレオンさんと知り合いなんですか?」
「近衛隊にいた時の先輩だよ。昔からとんでもない人でね。
俺が冒険者になった後も頭が上がらないのさ。
今では直属の上司になっちまったしな……」
「国の英雄ガレオンに可愛がられていたってのも凄いことなんだがな」
レックスさんは土産のウイスキーが大層気に入ったようだった。
サイレンはキンキンに冷えたビールのほうがお気に入り。
しばらく昔話に花を咲かせていると、すっかりと出来上がってしまった3人。
ユキムラもお目付け役のレンやソーカがいないことでうっかり飲みすぎてしまう。
「ユキムラー! なんなんだよあのネーチャンも少年もあのでっかいのも、とんでもないオーラだしてるじゃねーか、こないだまでほんの小僧だったのによー……」
「みんな筋が良くて……ははは」
「くっそー、俺ももうギルドなんか辞めてついていきてー!
本部が大騒ぎで人員は連れてかれてどんどん事務が増えて……
あーあ、またダンジョンとか潜りてぇなぁ……アノ頃に……また……」
サイレンはついに突っ伏して眠ってしまう。
「俺もサイレンも昔は一緒に色んなとこ駆けずり回ってなぁ……。
何の因果か街の領主みたいなもんに落ち着いたけど、今でも冒険に出たいって気持ちは消えなくてなぁ……
ユキムラ殿の活躍を耳にすると自分の事のように喜んでいたよコイツは……」
「お二人とも冒険者だったんですね」
「ああ、俺はもと聖職者でな。修行のためにコイツと他の仲間と旅をして……、実力つけた頃にこの街へと正式に配属され、まぁ色々あって先代に気に入られてな。
まぁその、先代の娘さんと結婚してこうなってるわけだ」
その後もレックスと二人で昔の冒険の話を交わした。
朝、目が覚めるといつの間にか部屋の布団の上だった。
いつまで、どんな話をしたか、さっぱり覚えていなかった。
屋敷の使用人に呼ばれて食堂へ行くと、真っ青な顔をしたレックスとサイレンがいた。
レンに3人共薬をもらって少し楽になったが、この世界に生きる人一人一人にいろいろなドラマがあることを知れた夜の語らいは、ユキムラの大事な思い出になるのであった。
「魔力回路の素材が段違いだから、利用率も高いし、魔石自体もグレードアップしてるからね。
他の馬車がいるときはスピード落としてね、馬がびっくりしちゃうからね」
現在120キロくらいで爆走している状態だ。
そこまで整備されていない場所を通ってもまるで振動も感じていない。
外を見なければ移動しているなんて信じられないほどの静けさ。
ヴァリィも裁縫工房に篭って作業に集中している。
精密な縫製や作成も問題なく行える移動拠点になっていた。
王都を出てわずか1日でジュナーの街へと到着する。
久々にレックスやサイレンと再会する。
「おお! ユキムラ殿!! 元気そうで何より! 今日は我が家に泊まってくれ! さぁさぁ!」
「また、強くなってるな……しかも、全員只者じゃない……世界は広いな……」
熱烈な大歓迎を受けてしまう。サイレンは白狼隊の成長に舌を巻いていた。
取り敢えず晩餐には参加する。
公的な立場できちんとした衣装での参加となった。
街の上役的な人物が多数参加していて、なんとかしてユキムラとのパイプを繋ぎたいという政略が見え隠れしていた。
ユキムラはのほほんとしていたがその両サイドをレンとソーカがきちんと守っていた。
「ぜひ、ユキムラ様の街の製品をうちに扱わせて欲しい!」
「あー、誰でもOKですよー。どんどん皆の暮らしを良くしていきましょう!
一緒に頑張りましょう!」
「い、いやそういうことではなくど、独占……」
「あ、僕独占とかそういうの絶対にしませんから。
この世界全体にいい暮らしを広めます。
王国にもとらわれません、この世界です。
これはハワード王にも承認済みですから」
ユキムラは天然でこうやってその政略をぶち壊していく。
レンやソーカも気持ちが良いほどだ。
そういう人柄だからレンは心から尊敬するし。
ソーカもユキムラを愛するのだ。
レックスもこういった私利私欲をもつ商人をこの場には呼びたくなかったが、立場というものがある。
事前に謝罪までされてしまっている。
一部の商人たちの思惑はギッタンギッタンにされたが、もちろんいいこともある。
「ユキムラ様が教会を通して寄付をしていただいたおかげでこの街にもケラリス教国から教師やシスターが多く来てもらえることになって、外街も含めて福利厚生面で充実してきました。
その後相談した外街での犯罪も激減しました。なんとお礼を言えばいいか……」
レックスが深々と頭を下げる。
以前相談されていた外街部分の治安向上はかなり成功したようだ。
今では日が暮れる前から煌々と道が照らされ、すっかり洗練された町並みになっているようだ。
軽く見ただけでも外部の町並みは綺麗になって、そして活気に溢れていた。
ユキムラは何よりもそういうニュースが嬉しかった。
パイプづくりに躍起になっていた商人たちにとっては完全に肩透かしになった晩餐も終えて、ユキムラはレックスやサイレンとグラスを交わしていた。
「本部でだいぶ派手にやったみたいじゃないか、こっちにまで聞こえてきたぞ。
しかし、ガレオンさんを倒すとはねぇ。俺じゃ相手にならないわけだ」
「サイレンさんはガレオンさんと知り合いなんですか?」
「近衛隊にいた時の先輩だよ。昔からとんでもない人でね。
俺が冒険者になった後も頭が上がらないのさ。
今では直属の上司になっちまったしな……」
「国の英雄ガレオンに可愛がられていたってのも凄いことなんだがな」
レックスさんは土産のウイスキーが大層気に入ったようだった。
サイレンはキンキンに冷えたビールのほうがお気に入り。
しばらく昔話に花を咲かせていると、すっかりと出来上がってしまった3人。
ユキムラもお目付け役のレンやソーカがいないことでうっかり飲みすぎてしまう。
「ユキムラー! なんなんだよあのネーチャンも少年もあのでっかいのも、とんでもないオーラだしてるじゃねーか、こないだまでほんの小僧だったのによー……」
「みんな筋が良くて……ははは」
「くっそー、俺ももうギルドなんか辞めてついていきてー!
本部が大騒ぎで人員は連れてかれてどんどん事務が増えて……
あーあ、またダンジョンとか潜りてぇなぁ……アノ頃に……また……」
サイレンはついに突っ伏して眠ってしまう。
「俺もサイレンも昔は一緒に色んなとこ駆けずり回ってなぁ……。
何の因果か街の領主みたいなもんに落ち着いたけど、今でも冒険に出たいって気持ちは消えなくてなぁ……
ユキムラ殿の活躍を耳にすると自分の事のように喜んでいたよコイツは……」
「お二人とも冒険者だったんですね」
「ああ、俺はもと聖職者でな。修行のためにコイツと他の仲間と旅をして……、実力つけた頃にこの街へと正式に配属され、まぁ色々あって先代に気に入られてな。
まぁその、先代の娘さんと結婚してこうなってるわけだ」
その後もレックスと二人で昔の冒険の話を交わした。
朝、目が覚めるといつの間にか部屋の布団の上だった。
いつまで、どんな話をしたか、さっぱり覚えていなかった。
屋敷の使用人に呼ばれて食堂へ行くと、真っ青な顔をしたレックスとサイレンがいた。
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