老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
84話 ほんとの病気
その後王都プラネテルまでの道のりは順調そのもの、魔物に遭うこともなく無事に到着した。
途中王都の兵たちが周囲の巡回をしているのを何度か見かけた、王都周囲の安全はそういった地道な作業で守られているようだ。
「次の者前へ!」
城門を守る衛兵の声がよく通る。
王都に入る城門は行列ができていた。
よほど身分が高いものでなければ馬車に乗ったまま通過などは出来ないので、少し離れた場所で馬だけを引いて馬車は収納してその列へと加わる。
途中で一泊して昼前ぐらいに到着したのでかなりの行列となっている。
「次の方、事前の確認に来たので身分の証明となるものを見せていただきたい」
行列で並んでいると兵士の人が話しかけてくる。
こうすることで簡単に身分が証明される人は先に王都への入場を許される仕組みのようだ。
「私たちは……西のサナダ街から来ました。領主ユキムラとその従者です」
レンがサナダ街の領主の証とユキムラが冒険者の証も同時に見せる。
兵士は少し驚きながらそれらを魔道具で確かめていく。
「レン? 大丈夫?」
ユキムラはレンの様子がおかしいことに気がつく、妙に呂律が回っていない。
「ウオフ!」
タロの一鳴きと同時にレンがぐらりと体勢を崩してしまう。
「レン!」
ユキムラは素早くレンを受け止める。
「熱っ! レン熱があったのか!?」
「すみません、ちょっと朝方から……大丈夫かなと思ったんですが、鎧から平服に変えたら……」
「回復補助がなくなったからか……」
「確認が取れました。付き人の方のことも心配でしょうから正面暫く行くと右手に診療所があります。どうぞ早く行ってください」
兵士の人も心配してくれる。入場の手続きは問題がなかったようだ。
「すみません、それでは失礼します。ソーカ、タロと一緒に馬と宿を頼む」
レンを背負いながらユキムラは駆け出す。
「分かりました」
ソーカはユキムラを安心させるためにも毅然な対応をしてくれる。
一時周囲がざわつくもすぐに落ち着いていく、こういったところにも王都の兵の練度が伺える。
「話は聞いております! お大事に!」
城門を抜ける時もきちんと連絡は通っているようで兵士から優しく送り出される。
正面に伸びる中央通りをしばらく走るとすぐに診療所は見つかる。
ユキムラは焦る気持ちを抑えて扉を静かに開く。
走りながらも回復魔法などをかけてみたがあまり効果はない。
ソーカの時みたいにただの疲労であってほしいとユキムラは祈っていた。
背負われた状態のレンをみて看護師風の女性が先にレンを連れて診療室の方へ運んでいく。
ユキムラは待合室で待つように言われる。
「えーっとユキムラさんはいるかい?」
顔を出したのは30代後半くらいの顎髭がきれいに整えられた男の先生だった。
「先に聞きたいけど、この子まだ未成年(15歳以下)だよな?」
少し攻めるような言い方をされてユキムラは萎縮してしまう。
「ああ、別に詰問するつもりはないんだ。ただこの子に起きた症状が未成年に起きたとなると、ちゃんと話を聞かないといけないからさ」
「原因はわかったんですか?」
「ああ、この子の症状は、急激なレベルアップに伴う肉体の成長が過剰すぎて、身体や心の成長が追いつかない時に起きる症状だ」
「あ……」
「どうやら思い当たる節があるようだな、ってことは俺はギルドに報告しなければいけなくなる。
理由はわかるな?」
「はい……」
「まぁ、まずは詳しく教えてくれ。話はそれからだ」
それから今までの事をかいつまんで話した。スノーアントとの戦闘や翼竜との戦闘の話だ。
「うーん、微妙だな。確かに移動時に巻き込まれた戦闘に対応している程度に聞える。
しかし、直接戦ったのがスノーアントとの戦いだったとすると発症が遅すぎるな……」
ユキムラはその医師のつぶやきを聞きながら一つの可能性を考えパーティの確認をする。
そしてそれが間違いでないことを確かめる。
「あのー、同一のパーティを組んでいる時に他の人が倒した経験値が入るってことはありますか?」
MMORPGなどではよくある公平パーティと呼ばれる、パーティの誰が敵を倒してもパーティメンバーに均一に経験値が分散されるシステム。
今まで確認していなかったが、パーティを確認するとそこにはレン、ソーカ、タロの名前があり。
そして経験値配分は公平となっていた。
「ああ、ものすごく熟練で長年旅しているパーティだとそういうこともあると聞いているが、それこそ何十年も寝食をともにするようなパーティの話だぞ?」
「あのー、自分来訪者なんです……」
「な……!? ま、まてよ、聞いたことがあるぞ。来訪者は誰とでも経験を分かち合うって話……」
それからそのお医者さんはいろんな資料やらなにやらを引っ張り出して調べ物に没頭していた。
看護師さんにああなると周りが見えなくなるから一旦宿に戻っていいと言われ、ソーカと連絡を取って宿を教えて一旦診療所を後にすることにする。
VOの常識的にPT申請をして承諾してPTという過程があるものだと思っていたが、そう考えるとかなり初期からレンとユキムラはPTを公平で組んでいる可能性がある。
嫌な予感がする。
ユキムラは宿へ行くとソーカを連れてギルド本部へと向かう。
「ゆ、ユキムラさんどうしたんですか? どこへ?」
「すまないがついてきてくれ。タロ、少し留守を頼む」
そのまま街のほぼ中央にある立派な建物へと向かう。
冒険者ギルド本部。VOと同じところにあった。
「すまない、私はこういうものだが、彼女も冒険者登録をしたい」
A級冒険者の証は効果絶大ですぐに例の魔道具でソーカの測定が始まる。
「ひゃ、ひゃく、187!?」
嫌な予感は的中することになる。
途中王都の兵たちが周囲の巡回をしているのを何度か見かけた、王都周囲の安全はそういった地道な作業で守られているようだ。
「次の者前へ!」
城門を守る衛兵の声がよく通る。
王都に入る城門は行列ができていた。
よほど身分が高いものでなければ馬車に乗ったまま通過などは出来ないので、少し離れた場所で馬だけを引いて馬車は収納してその列へと加わる。
途中で一泊して昼前ぐらいに到着したのでかなりの行列となっている。
「次の方、事前の確認に来たので身分の証明となるものを見せていただきたい」
行列で並んでいると兵士の人が話しかけてくる。
こうすることで簡単に身分が証明される人は先に王都への入場を許される仕組みのようだ。
「私たちは……西のサナダ街から来ました。領主ユキムラとその従者です」
レンがサナダ街の領主の証とユキムラが冒険者の証も同時に見せる。
兵士は少し驚きながらそれらを魔道具で確かめていく。
「レン? 大丈夫?」
ユキムラはレンの様子がおかしいことに気がつく、妙に呂律が回っていない。
「ウオフ!」
タロの一鳴きと同時にレンがぐらりと体勢を崩してしまう。
「レン!」
ユキムラは素早くレンを受け止める。
「熱っ! レン熱があったのか!?」
「すみません、ちょっと朝方から……大丈夫かなと思ったんですが、鎧から平服に変えたら……」
「回復補助がなくなったからか……」
「確認が取れました。付き人の方のことも心配でしょうから正面暫く行くと右手に診療所があります。どうぞ早く行ってください」
兵士の人も心配してくれる。入場の手続きは問題がなかったようだ。
「すみません、それでは失礼します。ソーカ、タロと一緒に馬と宿を頼む」
レンを背負いながらユキムラは駆け出す。
「分かりました」
ソーカはユキムラを安心させるためにも毅然な対応をしてくれる。
一時周囲がざわつくもすぐに落ち着いていく、こういったところにも王都の兵の練度が伺える。
「話は聞いております! お大事に!」
城門を抜ける時もきちんと連絡は通っているようで兵士から優しく送り出される。
正面に伸びる中央通りをしばらく走るとすぐに診療所は見つかる。
ユキムラは焦る気持ちを抑えて扉を静かに開く。
走りながらも回復魔法などをかけてみたがあまり効果はない。
ソーカの時みたいにただの疲労であってほしいとユキムラは祈っていた。
背負われた状態のレンをみて看護師風の女性が先にレンを連れて診療室の方へ運んでいく。
ユキムラは待合室で待つように言われる。
「えーっとユキムラさんはいるかい?」
顔を出したのは30代後半くらいの顎髭がきれいに整えられた男の先生だった。
「先に聞きたいけど、この子まだ未成年(15歳以下)だよな?」
少し攻めるような言い方をされてユキムラは萎縮してしまう。
「ああ、別に詰問するつもりはないんだ。ただこの子に起きた症状が未成年に起きたとなると、ちゃんと話を聞かないといけないからさ」
「原因はわかったんですか?」
「ああ、この子の症状は、急激なレベルアップに伴う肉体の成長が過剰すぎて、身体や心の成長が追いつかない時に起きる症状だ」
「あ……」
「どうやら思い当たる節があるようだな、ってことは俺はギルドに報告しなければいけなくなる。
理由はわかるな?」
「はい……」
「まぁ、まずは詳しく教えてくれ。話はそれからだ」
それから今までの事をかいつまんで話した。スノーアントとの戦闘や翼竜との戦闘の話だ。
「うーん、微妙だな。確かに移動時に巻き込まれた戦闘に対応している程度に聞える。
しかし、直接戦ったのがスノーアントとの戦いだったとすると発症が遅すぎるな……」
ユキムラはその医師のつぶやきを聞きながら一つの可能性を考えパーティの確認をする。
そしてそれが間違いでないことを確かめる。
「あのー、同一のパーティを組んでいる時に他の人が倒した経験値が入るってことはありますか?」
MMORPGなどではよくある公平パーティと呼ばれる、パーティの誰が敵を倒してもパーティメンバーに均一に経験値が分散されるシステム。
今まで確認していなかったが、パーティを確認するとそこにはレン、ソーカ、タロの名前があり。
そして経験値配分は公平となっていた。
「ああ、ものすごく熟練で長年旅しているパーティだとそういうこともあると聞いているが、それこそ何十年も寝食をともにするようなパーティの話だぞ?」
「あのー、自分来訪者なんです……」
「な……!? ま、まてよ、聞いたことがあるぞ。来訪者は誰とでも経験を分かち合うって話……」
それからそのお医者さんはいろんな資料やらなにやらを引っ張り出して調べ物に没頭していた。
看護師さんにああなると周りが見えなくなるから一旦宿に戻っていいと言われ、ソーカと連絡を取って宿を教えて一旦診療所を後にすることにする。
VOの常識的にPT申請をして承諾してPTという過程があるものだと思っていたが、そう考えるとかなり初期からレンとユキムラはPTを公平で組んでいる可能性がある。
嫌な予感がする。
ユキムラは宿へ行くとソーカを連れてギルド本部へと向かう。
「ゆ、ユキムラさんどうしたんですか? どこへ?」
「すまないがついてきてくれ。タロ、少し留守を頼む」
そのまま街のほぼ中央にある立派な建物へと向かう。
冒険者ギルド本部。VOと同じところにあった。
「すまない、私はこういうものだが、彼女も冒険者登録をしたい」
A級冒険者の証は効果絶大ですぐに例の魔道具でソーカの測定が始まる。
「ひゃ、ひゃく、187!?」
嫌な予感は的中することになる。
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