老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
38話 冒険者救出クエスト
馬車にたどり着くとすぐに中へ入る。
何度も実験はしたけど転送は緊張する。
奥の仕掛けを起動すると転移門が開く。
「よし、いくぞ」
気合を入れて飛び込む。
ぐわんと目眩のような感覚を覚えるが、気がつくと村の自室だ。
あっさりと成功である。
すぐに外に出る。
村人は街へ行っているはずのユキムラに少し驚いたが、この程度ではそこまでうろたえない。
「ユキムラさん忘れ物っすか?」
村人が声をかけてくる。
「ちょっとダンジョンまで人助けしてくる」
「そうですか、いってらっしゃい」
もう村人も慣れたものである。
キックボードみたいな移動用の道具を作ってあるのでダンジョン入り口までもあっという間だ。
すでにダンジョン入り口までの整備も終わっており、整備された道を飛ばしていく。
ほんの20分ほどで遺跡地帯へと到着だ。
すでにマッピングも終了しており、さすがに採取は自重して最深部へと走る。
ダンジョンの中だろうがキックボードで爆走する。
普通の人なら突然のエンカウントから危険もあるが、俯瞰視点を持つユキムラなら最高速で最深部まで到着する。最深部はどこでそのイベントが有るか不明なので、(ユキムラの知るVOのダンジョンと内部構造が異なるために)怪しいところへと向かう。
ギィン! ドゴォ!
金属がぶつかりあう音、鈍い打撃音が洞窟に響いている。
(戦闘音がする、最初からビンゴだ!)
行き止まりで部屋状の構造があって階段から遠目な場所、その候補で3箇所に絞った最初で当たったようだ。
部屋につながるところで魔物どうしで小競り合いが起きている、アホだなこいつら。
「無事か!!」
ユキムラが敵の意識を自分に向かわせるためにも奥で戦っているであろう冒険者へと大声を出す。
当然小競り合いをしていた魔物たちもユキムラに意識を向ける。
取り敢えずあんまり使わないけどさっさと敵を殲滅して救助したいので魔法を使う。
魔法はあまりPSを使う場が少なめと言われているがそんなことはない、詠唱などがあるから位置取りや移動、敵の誘導など出来ることは数限りない。
「まぁ、このレベルの敵は凍結が最強にして最適なんだよなぁ」
水魔法のアイスストーム、設置型で前方に吹雪を起こして敵を攻撃して凍結される。
敵は詰まっているので移動による回避も出来ないし、ダメージよりも凍結狙いだ。
VOではカーソル操作があるがこの世界は頭でターゲッティングするだけ、なるべく多くの敵を巻き込むように魔法を発動させる。
丁度発動と同時に魔法の範囲を抜けて向かってきた敵の攻撃を防ぎ、カウンター。
ここらへんの距離のとり方とかはPSが重要になる。
数十体が氷結、もしくは部分氷結状態になる。
向かってきた魔物はすでに始末してある、行動を封じられた敵に攻撃する前にもう一段奥へ魔法を発動していく。そして氷結状態の敵を始末していく。
一方的な戦闘だ。
実際レベル差はほとんど無いんだが、戦略、戦術、個人の技能がユキムラと魔物では圧倒的な差がある。伊達に人生をVOにはかけていないのである。
冒険者の姿を確認できた、盾役の2名がしっかりと敵を食い止めて魔法使いがバフとデバフに徹している。正しい籠城の仕方だ。
「いいぞ! 少し我慢していろ!」
相手側のパーティもユキムラの姿を確認する。
5人構成、重装剣士、剣士、魔法使い、僧侶、弓。普段はそれにあのシーフのカシン。
バランスはいいパーティだが、流石にこの数はな、部屋の角をうまく使っているからあまり数が多いことが有利になっていない点に助けられている。
そのパーティから離れたところで魔物同士で小競り合いを始めてしまうくらいだ、組織的に動かれたらあっという間に突破されてしまうだろう。
クエスト発生からあまりにも早く到着してきているからまだパーティのメンバーも余裕がある。
あの奥にもう一つ小部屋があるから、ほんとにあそこを抜かれそうになったら通路に魔法障壁でも貼って、最後の部屋で籠城になったんだろう。
いい作戦だ。
しかし、すでにユキムラが助けに来た。
部屋に溢れている魔物が次々へと凍らされ、切り落とされ、また凍らされ。
足元に大量の魔石やらアイテムが転がっていく。
(いいねー鬼湧き。効率がいい)
どこまでもゲーム脳で踊るように敵陣を走り回り魔物を魔石へと変えていく。
「す、凄い……」
パーティの声もよく聞こえるようになるほど魔物の数が減ってきている。
「カシンの依頼により助けに来た。皆無事か?」
ようやくパーティのもとへと到着し、皆の前に立つ。
「ああ! 感謝する! カシンの奴間に合ったか!」
「カシンは無事だ、帰ってきたらレイってやつはぶん殴られるから覚悟するように、な!」
襲いかかる魔物をまた切り捨てる。
盾役に徹していた奴らも魔法使いもユキムラの登場で攻勢に出られる。
「回復剤とかはまだ持ってるか? 必要なら渡すぞ」
「まだ平気です。最後のために温存していましたから」
ローブを羽織った優しそうな女性が答える。クレリック系の職業だろう。
「それでは、攻勢に出ようか、手伝い頼むぞ」
「ああ!」「ええ!」
そこからは一方的だ、すでに敵の優位はほとんどなくなっており、普通なら撤退をするような場面だが所詮は魔物、無謀に突撃してきてユキムラやその他のメンバーに斬り伏せられる。
「これで終わりか!?」
重装剣士が最後の魔物に剣を突き立てフラグを立てる。
それが合図かのようにドーンと振動が起きる。
「ばかな、また大発生が起きるのか!?」
もう一人の剣士がうろたえる。
「どうやら大発生ではないみたいだが、大物のお出ましなようだ」
ユキムラが突入してきた通路からドスンドスンと足音が近づいてくる。
ガーンと壁を打ち鳴らし現れたのはオーガだ。
巨大な棍棒を苛つかせるように振り回すジャイアントオーガ。
3mはありそうな筋肉の塊、濁って暗い瞳に大きな口、口からは大きな牙が出ている。
角は額から一本薄汚れた全身から比べると美しさすら感じる白い角が伸びている。
ボロを着たような粗末な鎧だが得物は巨大な石斧だ、八つ当たりされたダンジョンの壁が、発泡スチロールかのように削られている、直撃を受けたら即死は間違いない。
ボスのお出ましだ。
「さて、こいつは俺に任せてもらおう」
言ってみたいセリフ上位に来そうなことを言い、ユキムラはオーガへと向き合う。
他のメンバーは恐怖から部屋の隅で固まってしまっている。
他のメンバーに気を回しながら動くのは大変なので逆に好都合。
「こいよ、デカブツ」
剣の切っ先を向けて挑発する。
ノリノリだ。レンがいたら大騒ぎだろう。
【ゴアァァァァァァ!!!】
チンケな人間の舐めた態度に苛ついたようにオーガが叫ぶ。
第二ラウンドの開始だ!
何度も実験はしたけど転送は緊張する。
奥の仕掛けを起動すると転移門が開く。
「よし、いくぞ」
気合を入れて飛び込む。
ぐわんと目眩のような感覚を覚えるが、気がつくと村の自室だ。
あっさりと成功である。
すぐに外に出る。
村人は街へ行っているはずのユキムラに少し驚いたが、この程度ではそこまでうろたえない。
「ユキムラさん忘れ物っすか?」
村人が声をかけてくる。
「ちょっとダンジョンまで人助けしてくる」
「そうですか、いってらっしゃい」
もう村人も慣れたものである。
キックボードみたいな移動用の道具を作ってあるのでダンジョン入り口までもあっという間だ。
すでにダンジョン入り口までの整備も終わっており、整備された道を飛ばしていく。
ほんの20分ほどで遺跡地帯へと到着だ。
すでにマッピングも終了しており、さすがに採取は自重して最深部へと走る。
ダンジョンの中だろうがキックボードで爆走する。
普通の人なら突然のエンカウントから危険もあるが、俯瞰視点を持つユキムラなら最高速で最深部まで到着する。最深部はどこでそのイベントが有るか不明なので、(ユキムラの知るVOのダンジョンと内部構造が異なるために)怪しいところへと向かう。
ギィン! ドゴォ!
金属がぶつかりあう音、鈍い打撃音が洞窟に響いている。
(戦闘音がする、最初からビンゴだ!)
行き止まりで部屋状の構造があって階段から遠目な場所、その候補で3箇所に絞った最初で当たったようだ。
部屋につながるところで魔物どうしで小競り合いが起きている、アホだなこいつら。
「無事か!!」
ユキムラが敵の意識を自分に向かわせるためにも奥で戦っているであろう冒険者へと大声を出す。
当然小競り合いをしていた魔物たちもユキムラに意識を向ける。
取り敢えずあんまり使わないけどさっさと敵を殲滅して救助したいので魔法を使う。
魔法はあまりPSを使う場が少なめと言われているがそんなことはない、詠唱などがあるから位置取りや移動、敵の誘導など出来ることは数限りない。
「まぁ、このレベルの敵は凍結が最強にして最適なんだよなぁ」
水魔法のアイスストーム、設置型で前方に吹雪を起こして敵を攻撃して凍結される。
敵は詰まっているので移動による回避も出来ないし、ダメージよりも凍結狙いだ。
VOではカーソル操作があるがこの世界は頭でターゲッティングするだけ、なるべく多くの敵を巻き込むように魔法を発動させる。
丁度発動と同時に魔法の範囲を抜けて向かってきた敵の攻撃を防ぎ、カウンター。
ここらへんの距離のとり方とかはPSが重要になる。
数十体が氷結、もしくは部分氷結状態になる。
向かってきた魔物はすでに始末してある、行動を封じられた敵に攻撃する前にもう一段奥へ魔法を発動していく。そして氷結状態の敵を始末していく。
一方的な戦闘だ。
実際レベル差はほとんど無いんだが、戦略、戦術、個人の技能がユキムラと魔物では圧倒的な差がある。伊達に人生をVOにはかけていないのである。
冒険者の姿を確認できた、盾役の2名がしっかりと敵を食い止めて魔法使いがバフとデバフに徹している。正しい籠城の仕方だ。
「いいぞ! 少し我慢していろ!」
相手側のパーティもユキムラの姿を確認する。
5人構成、重装剣士、剣士、魔法使い、僧侶、弓。普段はそれにあのシーフのカシン。
バランスはいいパーティだが、流石にこの数はな、部屋の角をうまく使っているからあまり数が多いことが有利になっていない点に助けられている。
そのパーティから離れたところで魔物同士で小競り合いを始めてしまうくらいだ、組織的に動かれたらあっという間に突破されてしまうだろう。
クエスト発生からあまりにも早く到着してきているからまだパーティのメンバーも余裕がある。
あの奥にもう一つ小部屋があるから、ほんとにあそこを抜かれそうになったら通路に魔法障壁でも貼って、最後の部屋で籠城になったんだろう。
いい作戦だ。
しかし、すでにユキムラが助けに来た。
部屋に溢れている魔物が次々へと凍らされ、切り落とされ、また凍らされ。
足元に大量の魔石やらアイテムが転がっていく。
(いいねー鬼湧き。効率がいい)
どこまでもゲーム脳で踊るように敵陣を走り回り魔物を魔石へと変えていく。
「す、凄い……」
パーティの声もよく聞こえるようになるほど魔物の数が減ってきている。
「カシンの依頼により助けに来た。皆無事か?」
ようやくパーティのもとへと到着し、皆の前に立つ。
「ああ! 感謝する! カシンの奴間に合ったか!」
「カシンは無事だ、帰ってきたらレイってやつはぶん殴られるから覚悟するように、な!」
襲いかかる魔物をまた切り捨てる。
盾役に徹していた奴らも魔法使いもユキムラの登場で攻勢に出られる。
「回復剤とかはまだ持ってるか? 必要なら渡すぞ」
「まだ平気です。最後のために温存していましたから」
ローブを羽織った優しそうな女性が答える。クレリック系の職業だろう。
「それでは、攻勢に出ようか、手伝い頼むぞ」
「ああ!」「ええ!」
そこからは一方的だ、すでに敵の優位はほとんどなくなっており、普通なら撤退をするような場面だが所詮は魔物、無謀に突撃してきてユキムラやその他のメンバーに斬り伏せられる。
「これで終わりか!?」
重装剣士が最後の魔物に剣を突き立てフラグを立てる。
それが合図かのようにドーンと振動が起きる。
「ばかな、また大発生が起きるのか!?」
もう一人の剣士がうろたえる。
「どうやら大発生ではないみたいだが、大物のお出ましなようだ」
ユキムラが突入してきた通路からドスンドスンと足音が近づいてくる。
ガーンと壁を打ち鳴らし現れたのはオーガだ。
巨大な棍棒を苛つかせるように振り回すジャイアントオーガ。
3mはありそうな筋肉の塊、濁って暗い瞳に大きな口、口からは大きな牙が出ている。
角は額から一本薄汚れた全身から比べると美しさすら感じる白い角が伸びている。
ボロを着たような粗末な鎧だが得物は巨大な石斧だ、八つ当たりされたダンジョンの壁が、発泡スチロールかのように削られている、直撃を受けたら即死は間違いない。
ボスのお出ましだ。
「さて、こいつは俺に任せてもらおう」
言ってみたいセリフ上位に来そうなことを言い、ユキムラはオーガへと向き合う。
他のメンバーは恐怖から部屋の隅で固まってしまっている。
他のメンバーに気を回しながら動くのは大変なので逆に好都合。
「こいよ、デカブツ」
剣の切っ先を向けて挑発する。
ノリノリだ。レンがいたら大騒ぎだろう。
【ゴアァァァァァァ!!!】
チンケな人間の舐めた態度に苛ついたようにオーガが叫ぶ。
第二ラウンドの開始だ!
コメント
にせまんじゅう
今更だけどレンくん推し挙手