俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第4章 #24「傷ついた心を癒してくれたもの」

 ---お疲れ様会の翌日、傷は梓の魔法で完全になくなったものの心の傷と有紗の機嫌は癒えていなかった。

 「ハア」

 もう何度ため息をついただろうか?彼女の機嫌が悪くなる度についている気がする。

 「--う君、佐藤君!?」

 「!?は、ハイッー!!」

 そんな中、突然呼ばれた気がして思わず席を立ち上がり裏声で返事を返してしまった。周りをよく見るとここは自分達の教室で教壇には白石先生が教科書片手に立っている。そして四方から浴びせられる生徒達の視線。

 「授業が終わったら今日のプリント集めて私の所に持って来て欲しいんだけど、大丈夫?」

 「あ、ハイ大丈夫です…」

 俺は恥ずかしさのあまり、消え入りそうな声で返事を返しゆっくりと椅子に腰掛けた。クスクスと聞こえる笑い声がより一層俺をはずかしめてくる。昨日今日とついないな俺。

 ---「んっしょっと!」

 「お疲れ様。ありがとね」

 6時限目が終わり俺は先生い言われた通り今日やったプリントを回収し職員室にある先生の机まで運ぶと白石先生からねぎらいの言葉を頂いた。

 「今日調子悪そうだったけど、大丈夫?」

 「あ、いえそんなことは…」

 先生は心配そうにこちらを見ている。それほどまで顔色が悪かったのだろうか?心配してくれるのは嬉しい限りだが昨日のことを話せる訳がなく適当にごまかした。

 「体調悪かったら無理せず休んでね。毎日学校に行くことは立派だけど先生的には健康第一で考えて欲しいかなぁ」

 畳み掛けるように優しい言葉に涙が出てきそうだ。おかげさまで傷ついた心が多少は癒えてきた。まさかこんなところに癒やしの女神が出現するなんて思わなかったよ。

 「ありがとうございます。でも大丈夫なんで…」

 「そっか。ならいいけど、何か困ったことがあったら遠慮なく先生に言ってね」

 そう言って先生は温かい目をしながら微笑んだ。その微笑みはスター効果を持った宝石のような輝きを見せ直視出来ない。

 「はい。じゃあ俺はこれで…」

 「さようなら。帰りも気をつけてね」

 優しさ溢れる笑顔で手を振る先生を背に俺は職員室を後にした。

 「……アラ?」

 ---気分良く帰宅する俺にはまだ知る由もなかった。既に大事なものを落としてしまったこと。そして白石先生の知られざる一面を知るのは別れてすぐ後のことである。

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