宇宙大殺人事件
現場での瞑想
ウキョウの部屋の前。
既に内部を満たした気体は排除させた。
人間は入っても問題ない状態だ。
僕は部屋の前に1人で待機している。
護身用の武器を確認。
形状は銃。しかし、発射するのは鉄の塊ではない。
宇宙船内へのダメージを抑えるため、人体のみ衝撃を叩き込む武器だ。
……ひょっとしたら、宇宙空間から紛れ込んだ未知の生物Xが室内に潜んでいる可能性も0ではない。
 (セキュリティとプライベートの問題から、操縦室から確認できる映像は人体冷凍保存装置の付近のみ。室内の詳細なデータも完璧ではない)
だとしたら、この武器がどこまで役に立つのか疑問だ。
ジェファソンは情報分析とオペレーターのために操縦室から離れられない。
だったらトーマスがついてくるのが妥当だが、容疑者であるA12とジェファソンが2人きりになる状況は避けなければならない。
……あれ?じゃ、僕が操縦室で待機して、トーマスが部屋に入ればいいんじゃ?
いやいや、部屋を調べようと言い出したのは僕だし、そもそも能力が低いながらもそれなりの金銭を保障されているのは、僕が責任者という立場であり、こういう時に先頭に立たされるために金額が上乗せされているのだ。
あー やだやだ。後ろ向きになっている。
「よし、突入する」とインカムを通じて操縦室へ合図を送る。
僕の言葉と同時にドアが開く。
生暖かい空気が外へ流れてくる。室内は暗闇に閉ざされている。
さらに異臭……
ん?異臭? なんの異臭だ?
死体の異臭ではない……はずだ。A12は1日6時間の活動を行っていて、その最中にウキョウの遺体を発見した。A12が嘘をついていないのなら、A12が人体冷凍保存の装置で眠る18時間の間に殺人が起こった事になる。
つまり、ウキョウが死亡して24時間以内。人体が腐敗する時間ではない。
どうやら、室内の電気は生きているみたいだ。「ライトオン」と音声認識で室内の明かりをつける。
「……なんだこりゃ?」
僕は唖然とした。
異臭の正体は、腐った食糧品。
それらが一ヶ所に集められ、几帳面に並べられている。
そして、その後ろには大型映像装置があり、スペクター機関総帥である杭打騎士氏の画像が映し出されている。
それは、まるで……信仰? なるほど、宗教的だ。
神としてナイト氏の画像を崇める偶像崇拝に見える。
ならば、前に置かれている食糧は、お供え物というわけか……
……と、冷静さを装ってみたが、やっぱり駄目だ。帰りたい。
どう考えても常軌を逸している感じがプンプンと匂ってきている。
人体冷凍保存装置がある部屋は、奥だ。ここはプライベートルームのはず……
ウキョウの遺体は、この先に……
僕は覚悟を決めて、その部屋を開く。
死臭……そんな物が実在しているかどうかは知らないが……感覚的に忌諱が伝わってくる。
「……ライトオン」
部屋に明かりをつける。
実際の死がそこにあった。
無防備に四肢を投げ出し、装置にもたれ掛かったように倒れている彼女。
もう動き出す事はないのだろう。
衣服は身につけておらず、全裸の状態。
胸には血。まるで赤い花が咲いているかのように見える。
装置から出た瞬間を刺殺されている?それにしては無防備過ぎる?
裸を見られても大丈夫な関係性?
わからない。
僕はその場に座り込む。
狭い部屋。目の前には遺体。かなり近い距離。
目を閉じる。そして想像する。
犯人は何か? 人間か? それとも宇宙生物。
いや、それ以外の未知の可能性はいくらでもある。
だが、僕は犯人=人間説を推していく。
根拠があるわけではない。けれども、犯人が人間でないのであれば……
僕に対処できる案件ではなくなる。
さて、犯人が人間なら誰なのか?
既に内部を満たした気体は排除させた。
人間は入っても問題ない状態だ。
僕は部屋の前に1人で待機している。
護身用の武器を確認。
形状は銃。しかし、発射するのは鉄の塊ではない。
宇宙船内へのダメージを抑えるため、人体のみ衝撃を叩き込む武器だ。
……ひょっとしたら、宇宙空間から紛れ込んだ未知の生物Xが室内に潜んでいる可能性も0ではない。
 (セキュリティとプライベートの問題から、操縦室から確認できる映像は人体冷凍保存装置の付近のみ。室内の詳細なデータも完璧ではない)
だとしたら、この武器がどこまで役に立つのか疑問だ。
ジェファソンは情報分析とオペレーターのために操縦室から離れられない。
だったらトーマスがついてくるのが妥当だが、容疑者であるA12とジェファソンが2人きりになる状況は避けなければならない。
……あれ?じゃ、僕が操縦室で待機して、トーマスが部屋に入ればいいんじゃ?
いやいや、部屋を調べようと言い出したのは僕だし、そもそも能力が低いながらもそれなりの金銭を保障されているのは、僕が責任者という立場であり、こういう時に先頭に立たされるために金額が上乗せされているのだ。
あー やだやだ。後ろ向きになっている。
「よし、突入する」とインカムを通じて操縦室へ合図を送る。
僕の言葉と同時にドアが開く。
生暖かい空気が外へ流れてくる。室内は暗闇に閉ざされている。
さらに異臭……
ん?異臭? なんの異臭だ?
死体の異臭ではない……はずだ。A12は1日6時間の活動を行っていて、その最中にウキョウの遺体を発見した。A12が嘘をついていないのなら、A12が人体冷凍保存の装置で眠る18時間の間に殺人が起こった事になる。
つまり、ウキョウが死亡して24時間以内。人体が腐敗する時間ではない。
どうやら、室内の電気は生きているみたいだ。「ライトオン」と音声認識で室内の明かりをつける。
「……なんだこりゃ?」
僕は唖然とした。
異臭の正体は、腐った食糧品。
それらが一ヶ所に集められ、几帳面に並べられている。
そして、その後ろには大型映像装置があり、スペクター機関総帥である杭打騎士氏の画像が映し出されている。
それは、まるで……信仰? なるほど、宗教的だ。
神としてナイト氏の画像を崇める偶像崇拝に見える。
ならば、前に置かれている食糧は、お供え物というわけか……
……と、冷静さを装ってみたが、やっぱり駄目だ。帰りたい。
どう考えても常軌を逸している感じがプンプンと匂ってきている。
人体冷凍保存装置がある部屋は、奥だ。ここはプライベートルームのはず……
ウキョウの遺体は、この先に……
僕は覚悟を決めて、その部屋を開く。
死臭……そんな物が実在しているかどうかは知らないが……感覚的に忌諱が伝わってくる。
「……ライトオン」
部屋に明かりをつける。
実際の死がそこにあった。
無防備に四肢を投げ出し、装置にもたれ掛かったように倒れている彼女。
もう動き出す事はないのだろう。
衣服は身につけておらず、全裸の状態。
胸には血。まるで赤い花が咲いているかのように見える。
装置から出た瞬間を刺殺されている?それにしては無防備過ぎる?
裸を見られても大丈夫な関係性?
わからない。
僕はその場に座り込む。
狭い部屋。目の前には遺体。かなり近い距離。
目を閉じる。そして想像する。
犯人は何か? 人間か? それとも宇宙生物。
いや、それ以外の未知の可能性はいくらでもある。
だが、僕は犯人=人間説を推していく。
根拠があるわけではない。けれども、犯人が人間でないのであれば……
僕に対処できる案件ではなくなる。
さて、犯人が人間なら誰なのか?
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