日常日記

ノベルバユーザー173744

日曜日の朝市にて

あぁ……体調悪し。
最近はちょっとした刺激物がお腹を直撃!
生の玉ねぎすら、お腹を下すもとになる。

大好きな生玉ねぎのサラダもダメじゃないか~!

と、朝の6時前から悶々とする。

最近体が悲鳴をあげている。

疲れた、疲れた……。

最近、連絡もない、情報もない。
例の件が、もう進まないのか、終わったのか……。
連絡すればいいのか、でも、そうすると急かしているのか、新人へっぽこ人間がと思われないかと悶々とする。

ハムスターに癒しを求めるのはそのせいもある。
多肉植物とめだかだけでは癒されない。

「かぁちゃーん、遊んで~!」

とゲージの中でピョンピョン跳び跳ねる、黒とまだらの超でかハムスターに、

「こりゃこりゃ、エルシオンとフェリシア。女王陛下がおねんね中だよ?暴れない」

金曜日に連れて帰ったジャンガリアンのアンジェ様は巨大な二人の下でビクビクおやすみ中でした。

エルシオンは目が悪いのか突進したり、餌を自分のそばに集めるのが趣味である。
つまり、ゆりかごがわりの回転車の上に餌を……特にひまわりの種を置いて、ついでに全力疾走する。
うるさいことこの上ない。

そして、フェリシアはダイエットか、ゲージの上の金網をウンテイがわりに運動中。
見ているのはいいが、途中100gの体が落ちると、ドーン!と音がし、ついでにブランブランしていた反動でゲージが隣のエルシオンのゲージに激突し、ビビりのエルシオンが驚き、逃げ出した先が狭い回転車と金網の間。
挟まれて、

キュゥゥ~!

にため息をつく。

「あんたたち元気だねぇ。母ちゃんは今日は心配だよ。売れなかったら、大赤字だよ」

今日は朝市である。
朝の6時から必死に荷物のチェックをする。
今までは装飾に凝って、荷物が多かったが、袋二つぶん減らした。
その代わり見てもらえるように広げる部分を考えた。

「よし、早めに行くか」

8時からの市だが、早いところはすでに店は始まっている。
いつものところには、やっぱり誰もいなくて、市の運営さんに声をかけ、準備を済ませている間にオーナーが到着。

「おはよう。早かったのね」
「おはようございます」

元気なふり攻撃……ニッコリと笑う。
ついでに最近かすれた声をばれないように、昔とった杵柄、喉を使わない発声方法で、

「今日は売れると良いですね。暑いし、日焼けしそう……」
「貴方は白いから大丈夫よ」

いや、あえて25になる頃から焼いていないのである。
家の家系は、日に焼けると一発で皮がむける。
それで痛い思いをした家族を見ているので、夏でも長袖である。

「今日はチョコですか?」
「そう。早く売らないと溶けちゃうからね」
「私の売るものも、込めた気持ちが溶けちゃうので売りたいと思います」
「アハハ!」

頼まれたハンドメイド品と、ぬいぐるみの山、そして家族はゴミと断言する、懸賞などの残念賞のキャラクターのシールとかのグッズを並べ、売っていく。

警備員のおじさんにも、市の運営さんにも挨拶はきちんとしているのだが、どうしたのだろう?
ブースにやって来た運営さんの一人が真顔で話しかけてきた。

「なぁなぁ、あんたどこからの留学生?」
「へっ?」

ここには母と変わらぬ世代のオーナーと、途中合流した三味線の師匠と私のみ。

「皆がビックリしとんよ。発音がきれいやって、中国からかなぁ?」

……私かぁぁ!

昔はインドやネパール、インドネシア出身?など言われてきたが、中国とは珍しい!
国際化の波は確実に私に迫っている!
いや、そういうことではなく、どう答えるべきか?
真面目に答えるか、冗談で返すか……。

真剣に悩む私に、オーナーが笑いながら、

「日本の人ですよ。この人は。中国や韓国のお友だちがいるそうですが」
「えぇぇ?そうなんかね。ごめんなぁ。失礼やったかなぁ?留学生の子やっておもたんよ」

私が言葉を失っているのを、怒っていると思ったのか謝ってくる。

「あ、いえ、大丈夫です。昔はインドの人とかネパールとかの人と間違われていたので、中国にビックリしたんです。それよりも、留学生……あぁ、年配のですね」
「は?姉ちゃん大学生やろ?」
「いやいや、おばちゃんですよ。大学生さんに失礼です」
「そうなんかい?いやぁ……ビックリやわ。ジュース。姉ちゃんもいるかね?」

笑いながら去っていく運営さんに、

「師匠、オーナー。あの時、『いえ、インド人です』ってボケとけば良かったですかね?」
「そんなボケはいらんけん」
「面白いこと言うなぁ……」

オーナーにはビシッと突っ込まれ、師匠は笑っている。
師匠は一応三味線の弾き語りと、持ってきていた無農薬の甘夏と、この柑橘類生産日本一の地域でも珍しいものを、手作りのパンと一緒に持ってきていた。
真ん丸に近い楕円形で、マンゴーの小さいような……。

「これは?」
「完熟レモン。無農薬」
「デカっ!普通のレモンの倍はありますね。完熟……甘いですかね……?」
「いや、少しは酸味があるやろ。でも、皮は厚いし、絞ってレモネードとか、レモンのマーマレードもエェと思うけどなぁ」
「マーマレードはあまり食べんのです。やっぱり薄く切ってはちみつに浸けておくといいですかね。いつでも飲めるし……」

ニヤニヤする。
飲めるお酢やレモンなどの酸味は大好きである。

そして、お昼の休憩に行くと、暑さのせいかかき氷に、三津浜焼きと言う地元のB級グルメを買い、戻っていると、古い着物の端切れの詰め放題100円があり、

「よーし!詰めて見せる!」

と言いつつ、

「うわぁ、この、絞り染に有職紋様!それに、これは、これは~!」

と目を輝かせていると、

「詳しいねぇ。その端切れも、いいものなんよ」
「えぇぇ?こんなに大きな端切れなのに!」
「古い着物からこの服とかつくるんよ。で、余ったとしても使わないからいつもなら捨てよったんよ。でも、前に持ってきたらパッチワークとかする人が集まってきてね。今日も朝一杯人が集まってて、余り物なんだよ。ごめんなぁ」
「いえ、十分です。好きな柄がたくさんありました」

ビニールにぎゅうぎゅうに詰めた端切れを見せると、一回り大きい袋に入れてくれる。

「ありがとうございました」

お礼をいい帰っていく途中で、次はハーブの苗やハーブウォーターなどを売っているお店があり、西洋桑の苗が240円だった。
黒い『マルベリー』は、『西洋桑』の実だったらしい。
いくつか実が成っている苗のひとつの実がもう、黒く、美味しそうに見える。
そして、『ボルト・ジンユ』と言う糖尿病予防、血糖値を下げると言うハーブと、『クラシック・ローズ・バレリーナ』があった。
単弁の小さいピンクの花の咲く野薔薇らしい。

「はぁ……可愛い。でも、最近睡眠が良くないなぁ……どうすればいいだろう。ラベンダーのポプリが、今咲いてるラベンダーで作ろうかなぁ……」

じっと見ていると、店主さんが、

「今咲いてるラベンダーは、『イングリッシュ・ラベンダー』じゃないから、安眠効果薄いですよ」

と言ってくれる。

「えっ?『イングリッシュ・ラベンダー』ですか?」
「えぇ。ラベンダーもミント系と同じで亜種があるんですよ。で、一番安眠効果の高いのが『イングリッシュ・ラベンダー』で、花の時期がもう少しあとなんですよ、ほら、そこに蕾の……」
「あれ?昔よく見ていたシンプルな……うちにあるのはちょっと花が大きいような……」
「『イングリッシュ・ラベンダー』じゃない種類やと思うわ。それと、ラベンダーのポプリはどれくらい持つか知っとる?」

首をかしげ、

「半年か一年ですか?」
「いや、6年もつんよ。皆、すぐに臭いがなくなって取り替える言うけど、そうやなくてなぁ。人間の脳は、しばらく匂っていたラベンダーの香りをいい臭いと認識してしまって、臭いが消えたと思っちゃうんだよ。でも、ずっと匂いは残るから。捨てたらいかんよ?」

「へぇ~。そうなんですか。教えてくださってありがとうございます。……うーん。ちょうど鉢が空いているので、『マルベリー』と『ボルト・ジンユ』と『クラシック・ローズ・バレリーナ』と『イングリッシュ・ラベンダー』を下さい」
「ハーブウォーターはどう?」
「いえ、苗だけ下さい」

包んでもらい、両手に大荷物で帰った。

市は朝市だけに、売れたら順番に帰っていく。
師匠のも、レモンと甘夏が数個以外は完売。
オーナーは仕事があると先に帰宅。

私は持ってきたものは、前回よりも売れた。
額は購入した額とほぼ同じ……交通費を考えたら赤字である。
しかし、いつもよりも体調はよくないが、有意義な時間を過ごせた気がする。

帰ったら1時半。
早速ハーブの苗を植えて水を与える。
そしてマルベリーの実をひと粒ご褒美として口にした。

「あ、美味しい」

頬が緩むのを感じつつ、

「あ、レモンを輪切りにして、はちみつレモン作ろうかなぁ」

と、言いながら、ベランダから部屋に入っていったのだった。

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