日常日記

ノベルバユーザー173744

雷土の詩

漆黒なのは人の心の闇……。

夜は濃紺を限りなく深くした色。

雨が降る。

カーテンの向こうの夜の色が変わった‼
夜が光に染まる。

そしてゴロゴロと音が大地を這うようにとどろいた。
地震ではないが、体が揺れるようで少し不安である。

しかし、雷土いかづちとはよく言ったものである。

北欧神話のトールは春を呼ぶ神である。
冬が終わり、春が始まる頃、雷が鳴り響くのだ。

『目覚めよ‼大地よ‼もう、眠っているいとまはないぞ、目を覚ましそれぞれが動くのだ‼』

そういっているようである。



稲光いなびかりは日本の言葉で、稲妻いなづまとも言う。
北欧では春を呼ぶが、稲光は旧暦の夏から秋にかけて落ちる雷の光を指す。
現在の科学的に分析すると、この時期に雷が落ちると大気中の窒素が固着する。
それが、落雷した稲穂が、稲光に感光することによって実ると言う言い伝えから、『稲の妻』と呼ばれるらしい。
俳句の季語が秋になっていたので、どういうことだろうと思っていたが、このような現代のように雷について詳しく研究されていないのに、とても面白い解釈だと思った。

ちなみに、京都の上賀茂神社の正式名称は賀茂別雷神社かもわけいかづちじんじゃと言い、祀られているのは下鴨神社こと賀茂御祖神社かもみおやじんじゃに祀られている玉依姫命たまよりひめのみことと、雷土の神とのあいだに生まれたのが賀茂別雷命かもわけいかづちのみことだとされている。

この上賀茂神社、下鴨神社は元々賀茂氏が大和に勢力を持ち、平安京を作る際に土地を譲り、その代わり、格式を整えられたと言われている。

しかし、雷とは、神鳴りとも書き、恐れ敬うものである。
そして、稲が実るように祈るものでもある……。



難しいことを考えていたら、雷は遠ざかった。
今年は天候不順である。
少しでも美味しいお米が食べられたらと思ってやまない。

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