比翼の鳥
第8話【翼の章:母と子 ~ 常識と非常識】
リリーさんは、料理っていうものをするために、奥の部屋にいるみたい。
料理って何だろう?
あ……なんだか良い匂いがする。
こんな感覚初めて。不思議だなぁ……。
リリーさんも少し楽しそうなの。ルナも出来るのかな?
ツバサも何だか、リリーさんを優しい目で見つめているし……ルナも料理出来たらそうやって見て貰えるのかな?
リリーさんやレイリさんの住んでいる家には、ルナの知らない事や物が沢山あるんだ。
家の中には色々な物が沢山あって、ルナも次々と目移りしちゃうの。
屋根っていう物も下から見ると不思議だし、壁にかかっているよく分からない物がいっぱいあって、楽しいの。
そんな風に、ルナがきょろきょろしていたら、レイリさんが声をかけて来たの。
聞きたい事は無いかって。嬉しいな! ルナ一杯聞きたい事あるよ!!
ツバサも良いって思ってくれているみたいだから、ルナ、レイリさんにいろいろ聞いてみたの。
料理についても聞いてみたの! 食べられるものが増えたり、美味しくなったりするんだって!
凄いなぁ……リリーさんもルナには出来ない魔法を使うんだね。リリーさんって凄い!!
リリーさんが、料理を持って来てくれて、皆で食べる事になったの。
おおおー! 何だか凄いよ! グツグツ言ってるよ!? これ、どうやって食べるんだろう?
不思議に思ってたら、木で出来た器と変な形の木の棒を渡されたの。お椀とスプーンって言うんだって。
そっか、手で食べると熱そうだもんね! 凄い凄い!!
ツバサとリリーさんに教えて貰いながら、スプーンで料理をお椀から掬って……あむ。
!?!?!……あむ……?!?……あむ……!?!? 
何これ!? 凄い!! リンゴ(仮)も美味しかったけど、これ今までに感じた事が無い位に複雑な味!!
美味しいんだけど、色々な美味しさがあって……!?
凄い凄い!! 料理って凄いの!!
リリーさんがそんなルナの事を心配して声をかけてくれたの。
リリーさん! これ凄いの! 美味しい! ルナ初めて!!
そんなルナの言葉に、リリーさんは耳と尻尾がフニャフニャしてたの。
なんか可愛いね! あ、ツバサもそう思ってるみたい。
リリーさんって凄いなぁ。ルナもリリーさんみたいに料理できるようになりたいな。
食事が終わって、リリーさんが後片付けって言うのをするって言ったの。
ルナも手伝いたいなぁ。リリーさんにお願いしてみたんだけど、
「大丈夫ですよ。ゆっくりお休みください。」
って、断られちゃったの……。うー……ルナも、お手伝いしたいよ!
そうしたら、ツバサが頭を下げて、お願いしてくれたの。
「リリーさん。お邪魔になっちゃうかもしれないけど、ルナに手伝わせて貰えないかな? 彼女は料理も、片づけもした事が無くてね……。是非、やらせてやって欲しいんだ。」
「そ、そんな! お顔をお上げ下さい!? わ、分かりましたから!」
「そうか……リリーさん、ありがとう。」
「リリーさん! ありがとうね! ルナ頑張る!」
そう言ってツバサと一緒にお礼を言ったの。
リリーさん、そんなルナ達のお礼を聞いたら、耳と尻尾が凄い動いてるの。
ほえー……獣人さんって忙しいんだねー。
それを見て、ルナもツバサもレイリさんも、皆、笑顔になったの。リリーさんって凄いな!!
そうして、ルナとリリーさんは、さっきリリーさんが料理していた炊事場って言う所に来たの。
石でできた台に、水が張ってあって、その中にさっき使ったお椀とか、スプーンとか、色んな物が沈んでいるの。
「じゃあ、ルナ様。食器を洗っていきますから、一緒に洗っちゃいましょう! 宜しくお願いしますね。」
「うん! ルナも初めてだから上手く出来ないかもしれないけど……リリーさん、色々教えてね!」
「はい! 頑張って教えちゃいます!」
そう言って、2人で笑いあったの。何だか凄く新鮮で楽しいの。
ルナ、リリーさんに教えて貰いながら、食器を洗ってたの。
そうしたら、リリーさんが話しかけてきたんだ。
「そうだ、ルナ様。ツバサ様もルナ様も、何処を旅してきたんですか?」
「んとねー。それはツバサから言うなって言われてるの……ごめんね、リリーさん。」
「あ、いえいえ! 別にちょっと村の外に興味があっただけですから!」
そんな風に、ルナに質問してくれたけど、ルナはそれに答えられなかったの。
ツバサから前もって、そういう風に答えようって決めてたから。ごめんね……リリーさん。
ルナがそう思ってると、リリーさんは明るい声で更に、声をかけて来てくれたの。
「じゃ、じゃぁ、ツバサ様とルナ様ってどんな関係ですか? その……こ、恋人……とか?」
リリーさんは、「ああああ……こ、答えられないならべ、べべ別に!?」って言いながら、顔を真っ赤にして、聞いて来たんだけど……こいびと?ってなんだろ?
『……解答いたします。互いの事を思い合っている、恋愛状態の男女の番の事を指した言葉です。特別な例として、男女で無い場合にも適用されることもありますが、今回の場合は男女関係であると推察されます。』
コティ、ありがとう! けど、れんあい? って言うのもわからないし、難しいね。
「んとんと……リリーさん。恋人って言うのが何か分からないけど……ルナはツバサといつも一緒に居るよ?」
そんなルナの言葉に、リリーさんは少し驚いた顔でルナを見た後、少し考え込んで、
「そうですねぇ……。恋人って言うのは……お互いが好きな者同士で……えっと、手をつないだりとか……抱き合ったりとか、き、きききき……きす、したりとか……キャー!」
って言って、耳と尻尾をパタパタしながら、ポーッとした顔で壊れちゃったの。リリーさん……大丈夫なのかな?
んー? ルナとツバサは……お互い好き? ルナは大好き! ツバサは?
……あれ?魔力が綺麗で好きって言ってくれたけど……ルナの事は好きなのかな?
手は繋ぐし、抱き合う……? あれ? 最近はルナが抱きつく事はあってもツバサが抱きしめてくれないよね……?
ううう……ルナ、だんだん自信無くなって来たよ。ツバサはルナの事好きでいてくれているのかな?
そんな風に、ルナが不安そうにしていたら、リリーさんが、「ハッ!?」って気付いたように戻って来たの。
それで、ルナの顔を見て、「ルナ様? どうしたんですか?」って、声をかけてくれたんだ。
「んとね……ルナ、ツバサの事好きだし、側に居たいって思ってるけど……ツバサはどうなのかなぁ? って、思ったの。」
そんなルナの言葉を聞いて、リリーさんは少し考えるように小首を傾けると……すぐに笑顔になってルナに言ったの。
「ルナ様。ツバサ様はルナ様の事をとても大事にされているようですよ? 私から見ても羨ましい位、ルナ様の事を気にかけておいでです。」
「……そうなのかな? けど、ルナの事抱き締めてくれなくなったし……。なんだか嫌われる事しちゃったのかな?」
「……それは、違うと思います……けど。……うーん……。」
リリーさんも考え込んじゃって、2人でしょんぼりとしちゃったの。
けど、リリーさんが急に、パッと顔を上げて、ルナに笑顔で語りかけて来たの。
「じゃあ、今からでもツバサ様の心を掴みに行けばいいんですよ! そうです! うんうん!!」
今から? 掴む? 好きになって貰うって事?
そっか……今までがダメでも、今から頑張れば良いんだもんね。
リリーさん凄い! ルナ頑張る!! ……けど、あれ? どうやったらツバサは喜んでくれるんだろう?
そんなルナの困った顔を見て、リリーさんは、「ふふふ~♪」と、少し得意げな笑顔でルナを見て言ったの。
「男の人を落とすには、胃袋を掴めってお母さんが言ってました! だから、ルナ様も料理を覚えて、ツバサ様の胃袋も心も掴みに行きましょう!」
おおおー! リリーさん凄い! そっかぁ。確かに料理美味しかった! あれが毎日食べられるなら、嬉しいもんね。
ツバサもきっとルナの事少しは必要としてくれるかも……。
「うん! ルナ、料理頑張るよ!! リリーさん、料理教えて欲しいの! お願いしても良い?」
そんなルナのお願いに、リリーさんは「ふふ♪」と、微笑んだ後に、
「勿論です! お母さん程じゃないけど、一緒に料理して、ツバサ様の気持ちを引き寄せましょう!」
って言ってくれたの。
あれ? 今の言い方だと……もしかして、リリーさんもツバサの心を掴みたいのかなぁ?
だから、ルナ、リリーさんに聞いてみたの。
「もしかして……リリーさんもツバサの心を掴みたいの?」
そんなルナの言葉を聞いて、リリーさんは「ふぇ!?」ってビックリした様子でルナを見つめてきた後……。
真っ赤になって、「そそそそぉ、そぉんなぁ!? お、おそ、恐れ多い事!」って言いながら必死に話してきたの。
んー? なんでそんな風に言うんだろう? さっき撫でられてた時に、凄く嬉しそうだったのに。
ルナも、撫でられたら嬉しいし、リリーさんも凄く嬉しそうだったんだけどなぁ。
「リリーさんは、ツバサの事好きじゃないの? 撫でられて気持ちよさそうだったから、ツバサの事好きなのかなぁって。」
「うぉぇ!? そ、そんな事は!」
そう、勢い良くリリーさんは声を上げたんだけど……その後で、いきなり顔を俯かせて……。
「……ちょっと……ちょっとだけ……気になってます…………。」
って、小声で答えてくれたの。
「あ、けど! ルナ様から取っちゃうとか、そんなつもりは無くて!!」
リリーさんは、耳と尻尾が凄い勢いで動きながら、手を振って一生懸命に声を上げてるの。
なんだろ……ツバサが取られちゃうとかそう言うのは嫌だけど……ツバサをもっとリリーさんに好きになって欲しいって……ルナ、良く分からない気持ちで胸がモヤモヤする。
コティ……この気持ちはなぁに? なんでこんな良く分からない気持ちになるの?
『……その問いには解答いたし……かねます。感情に関する問いには、私は積極的に解答する権利を有しません。ツバサ様に質問するのが宜しいかと思われます。』
そうなの? そっかぁ……。
ん! わかったの。ありがとうね、コティ。もう少し考えて分からなかったら、ツバサに聞いてみる。
『……了解いたしました。……お答えできず……申し訳ございません。』
いいよ! コティ! またお願いね? ルナ、コティがいつもいてくれてとっても助かっているし、嬉しいから!
『勿体無いお言葉です。微力ながら、このコティ、ルナ様のため、粉骨砕身いたします。』
ふんこ……? コティ、相変わらず難しい言葉を使うのね……。
けど、これからもよろしくね!!
『……了解いたしました。』
そんなコティのとのやり取りの裏で、リリーさんは、一生懸命ルナにツバサに対する想いを教えてくれていたの。
「で、ですから……その! ツバサ様は……いえ、ルナ様もですけど、私達獣人の事、優しい目で見てくださいますし! えっと……後は、あの……耳……撫でてくれて……そんなの初めてで……。」
そう言って、リリーさんは耳と尻尾をヘニャンってしながら、ウットリしているの。
ああ、やっぱり……リリーさんもツバサのこと、良く思ってくれてるんだなぁ。
「リリーさん。ツバサの好きなところって他にある?」
「は、はひ!? え、ルナ様、ですから……わ、私はべ、べちゅに……あう。」
「んとんと、ルナ、まだまだ知らない事ばかりだから、リリーさんが困ってるのが何でなのか分からないけど……ルナは、皆にツバサを好きになってもらいたいなぁって思うの。」
これは本当の気持ち……けど、それ以外にも、ツバサを誰にも渡したくないって言う想いも、胸の奥から湧き上がってくるの。
不思議……ルナの胸の中にこんな複雑な気持ちがあったなんて……。
「そ、それは……ツバサ様は……その、お優しいです。あんなに柔らかい眼差しと……雰囲気と言うのでしょうか? 近くにいるだけで安らぎを覚えられるような方は……今まで会った事がありません。」
「そうだよね! ツバサ、凄く優しいの! ちょっと怒るときもあるけど……ちゃんと理由があってね! ルナ、いつも色々教えてもらってるの!」
「……そうですね。ちょっと話しただけですけど、言葉の端々に私達とは違う何か……そうですね……知性と言いますか、そう言ったものが感じられます。……ふふ♪ 不思議な方ですね。」
「うん! ツバサって色々出来るし、本当に凄いんだ!!」
「ルナ様……。…………私でも……好きになって……宜しいのでしょうか?」
そんな風にリリーさんは、苦しそうな顔でそう答えたの。
「私……何にもお役に立てない駄目な子なんです。お母さんもお爺ちゃんも苦しんでいる時に、何も出来ません。先ほど、ツバサ様が助けてくださった時も、何も出来ませんでした。できる事が何もない私では……ツバサ様のお役には立てません。」
「そんな事ないよ! ルナ、リリーさんのこと凄いって思うよ!! だって、リリーさん料理って言うのも出来るし、ツバサだってリリーさんを見て、とても嬉しそうだよ?」
ルナ、その言葉は違うって思ったの。リリーさん、全然役立たずじゃないよ!!
ルナのそんな言葉を聞いて、リリーさんは耳と尻尾がぶわって……なんか凄いの。
「ルナもリリーさん見てると、なんだか嬉しいよ! 何だか、えっと……可愛い?」
「ル、ルナ様……。」
そんなルナの言葉を聞いて、急に耳と尻尾を動かし始めるリリーさんはやっぱり可愛いと思うの。
ツバサも凄く優しい目で……時々良く分からない変な目で……リリーさんの事見てるもんね。
「んとね、ツバサも言ってたの。可愛いって正義? なんだって。だから、リリーさんもツバサに気に入られていると思うんだ。」
「せ、正義……ですか? ツバサ様は難しい事をおっしゃるのですね。」
「うん! ツバサは凄いよ! リリーさんにも、そんなツバサの良い所、一杯知ってもらえたら嬉しいな!」
「ふふふ……そうですね。……わかりました。とりあえず、ツバサ様の良い所、沢山見つけるところから始めて見る事にしますね?」
「うん! それで、ツバサが好きなったら……ルナと一緒だね!」
「ふふふ♪ ツバサ様も不思議な方ですけど……ルナ様もとっても不思議で素敵な方ですね。」
「んー? ルナ、自分の事は良く分からないけど……リリーさんがそう言ってくれるなら嬉しいかも。」
そう言って、2人で笑いあったの。
リリーさんと一緒。ツバサも一緒。それは素敵な事のように思えたの。
けど、やっぱり少しだけ……何か心にチクチクと痛みが残るの。
そんな痛みをルナは無視して、リリーさんと一緒にツバサの素敵なところを話し合ったんだ!
ちょっと話しすぎて、食器を洗えてなかったから、リリーさんと一緒に洗っていたの。
そうしたらしばらくして、ツバサから魔力が感じられたの。
ふと見ると、レイリさんに魔力を渡しているみたい。
そっか! レイリさんを治すんだね! 良かった!
ふと、ツバサの視線が感じられたから、ルナも微笑んだの。
リリーさんは食器を洗っていたようで、ルナたちの様子には気がつかなかったみたい。
ツバサも気付いてくれたようで、柔らかく微笑んでレイリさんに視線を戻したみたい。
そうして、ルナも手元の食器を一生懸命洗ったの。
なんだかワシャワシャの草……? なのかなぁ? そんな物で食器をゴシゴシこすっていったの。
暫くしたら、ツバサのいる方からレイリさんの大きな声が聞こえたんだ。
リリーさんも気がついたみたいで、ルナを不思議そうな顔で見た後にツバサ達の方を見たの。
そうしたらレイリさんが、ツバサを凄い勢いで揺さぶってたの。
ツバサは何だか、困ったような満足したような、変な笑顔をしてた。
なんだろ? 何でレイリさん、ツバサを揺さぶってるんだろ?
「お母さん!?」って、叫びながらリリーさんがレイリさんの元に向かったの。
ルナも、ツバサの元に向かって、その後は凄かったんだ……。
レイリさんがお茶って言うもの入れてくれて、その後リリーさんが突然泣き出して。
嬉しい事なのに、何でリリーさんは泣いちゃうんだろう? 笑えば良いのに……。
リリーさんはそのまま、レイリさんの腕の中で寝ちゃったの。
あ、良いなぁ。ルナもツバサの所で寝たいな!
こういう時はどうすれば良いかって、此花ちゃんと咲耶ちゃんに聞いているの。
えっと、ツバサの服の袖を引いて、上目遣いで……お願い♪
『これで落ちない男などいる、訳がありませんわ!』
『ええ! ルナ姉上! 完璧でござります!』
とか、興奮したように2人で騒いでいたっけ?
ツバサはそんなルナを見て、一瞬、動きを止めると、ルナの頭を撫でてくれたの。
んふー! 嬉しいな! けど、もっと!
ルナがツバサの太ももに頭を乗せて、ツバサを下から覗き込んだら流石に怒られちゃった……。
ううー! ツバサの太もも! お願い! 撫でてよぉ!!
そうしたらレイリさんが助けてくれたの。
嬉しいな! レイリさんありがとう!!
んふふふー♪ ツバサの太ももぉー暖かいなぁ。
頭撫でられて……ルナ……幸せ……。
さっきまで、感じていた胸のモヤモヤも痛みも全部無くなったの。
やっぱりツバサって凄いよ!
ツバサとレイリさんの話す声を聞きながら、ルナは徐々に眠くなってきて……。
レイリさんもリリーさんも良い人……ツバサも楽しそうだし……ここに来れて良かったな……。
そんな事を感じながら、ルナは意識は闇へと落ちて行ったの。
料理って何だろう?
あ……なんだか良い匂いがする。
こんな感覚初めて。不思議だなぁ……。
リリーさんも少し楽しそうなの。ルナも出来るのかな?
ツバサも何だか、リリーさんを優しい目で見つめているし……ルナも料理出来たらそうやって見て貰えるのかな?
リリーさんやレイリさんの住んでいる家には、ルナの知らない事や物が沢山あるんだ。
家の中には色々な物が沢山あって、ルナも次々と目移りしちゃうの。
屋根っていう物も下から見ると不思議だし、壁にかかっているよく分からない物がいっぱいあって、楽しいの。
そんな風に、ルナがきょろきょろしていたら、レイリさんが声をかけて来たの。
聞きたい事は無いかって。嬉しいな! ルナ一杯聞きたい事あるよ!!
ツバサも良いって思ってくれているみたいだから、ルナ、レイリさんにいろいろ聞いてみたの。
料理についても聞いてみたの! 食べられるものが増えたり、美味しくなったりするんだって!
凄いなぁ……リリーさんもルナには出来ない魔法を使うんだね。リリーさんって凄い!!
リリーさんが、料理を持って来てくれて、皆で食べる事になったの。
おおおー! 何だか凄いよ! グツグツ言ってるよ!? これ、どうやって食べるんだろう?
不思議に思ってたら、木で出来た器と変な形の木の棒を渡されたの。お椀とスプーンって言うんだって。
そっか、手で食べると熱そうだもんね! 凄い凄い!!
ツバサとリリーさんに教えて貰いながら、スプーンで料理をお椀から掬って……あむ。
!?!?!……あむ……?!?……あむ……!?!? 
何これ!? 凄い!! リンゴ(仮)も美味しかったけど、これ今までに感じた事が無い位に複雑な味!!
美味しいんだけど、色々な美味しさがあって……!?
凄い凄い!! 料理って凄いの!!
リリーさんがそんなルナの事を心配して声をかけてくれたの。
リリーさん! これ凄いの! 美味しい! ルナ初めて!!
そんなルナの言葉に、リリーさんは耳と尻尾がフニャフニャしてたの。
なんか可愛いね! あ、ツバサもそう思ってるみたい。
リリーさんって凄いなぁ。ルナもリリーさんみたいに料理できるようになりたいな。
食事が終わって、リリーさんが後片付けって言うのをするって言ったの。
ルナも手伝いたいなぁ。リリーさんにお願いしてみたんだけど、
「大丈夫ですよ。ゆっくりお休みください。」
って、断られちゃったの……。うー……ルナも、お手伝いしたいよ!
そうしたら、ツバサが頭を下げて、お願いしてくれたの。
「リリーさん。お邪魔になっちゃうかもしれないけど、ルナに手伝わせて貰えないかな? 彼女は料理も、片づけもした事が無くてね……。是非、やらせてやって欲しいんだ。」
「そ、そんな! お顔をお上げ下さい!? わ、分かりましたから!」
「そうか……リリーさん、ありがとう。」
「リリーさん! ありがとうね! ルナ頑張る!」
そう言ってツバサと一緒にお礼を言ったの。
リリーさん、そんなルナ達のお礼を聞いたら、耳と尻尾が凄い動いてるの。
ほえー……獣人さんって忙しいんだねー。
それを見て、ルナもツバサもレイリさんも、皆、笑顔になったの。リリーさんって凄いな!!
そうして、ルナとリリーさんは、さっきリリーさんが料理していた炊事場って言う所に来たの。
石でできた台に、水が張ってあって、その中にさっき使ったお椀とか、スプーンとか、色んな物が沈んでいるの。
「じゃあ、ルナ様。食器を洗っていきますから、一緒に洗っちゃいましょう! 宜しくお願いしますね。」
「うん! ルナも初めてだから上手く出来ないかもしれないけど……リリーさん、色々教えてね!」
「はい! 頑張って教えちゃいます!」
そう言って、2人で笑いあったの。何だか凄く新鮮で楽しいの。
ルナ、リリーさんに教えて貰いながら、食器を洗ってたの。
そうしたら、リリーさんが話しかけてきたんだ。
「そうだ、ルナ様。ツバサ様もルナ様も、何処を旅してきたんですか?」
「んとねー。それはツバサから言うなって言われてるの……ごめんね、リリーさん。」
「あ、いえいえ! 別にちょっと村の外に興味があっただけですから!」
そんな風に、ルナに質問してくれたけど、ルナはそれに答えられなかったの。
ツバサから前もって、そういう風に答えようって決めてたから。ごめんね……リリーさん。
ルナがそう思ってると、リリーさんは明るい声で更に、声をかけて来てくれたの。
「じゃ、じゃぁ、ツバサ様とルナ様ってどんな関係ですか? その……こ、恋人……とか?」
リリーさんは、「ああああ……こ、答えられないならべ、べべ別に!?」って言いながら、顔を真っ赤にして、聞いて来たんだけど……こいびと?ってなんだろ?
『……解答いたします。互いの事を思い合っている、恋愛状態の男女の番の事を指した言葉です。特別な例として、男女で無い場合にも適用されることもありますが、今回の場合は男女関係であると推察されます。』
コティ、ありがとう! けど、れんあい? って言うのもわからないし、難しいね。
「んとんと……リリーさん。恋人って言うのが何か分からないけど……ルナはツバサといつも一緒に居るよ?」
そんなルナの言葉に、リリーさんは少し驚いた顔でルナを見た後、少し考え込んで、
「そうですねぇ……。恋人って言うのは……お互いが好きな者同士で……えっと、手をつないだりとか……抱き合ったりとか、き、きききき……きす、したりとか……キャー!」
って言って、耳と尻尾をパタパタしながら、ポーッとした顔で壊れちゃったの。リリーさん……大丈夫なのかな?
んー? ルナとツバサは……お互い好き? ルナは大好き! ツバサは?
……あれ?魔力が綺麗で好きって言ってくれたけど……ルナの事は好きなのかな?
手は繋ぐし、抱き合う……? あれ? 最近はルナが抱きつく事はあってもツバサが抱きしめてくれないよね……?
ううう……ルナ、だんだん自信無くなって来たよ。ツバサはルナの事好きでいてくれているのかな?
そんな風に、ルナが不安そうにしていたら、リリーさんが、「ハッ!?」って気付いたように戻って来たの。
それで、ルナの顔を見て、「ルナ様? どうしたんですか?」って、声をかけてくれたんだ。
「んとね……ルナ、ツバサの事好きだし、側に居たいって思ってるけど……ツバサはどうなのかなぁ? って、思ったの。」
そんなルナの言葉を聞いて、リリーさんは少し考えるように小首を傾けると……すぐに笑顔になってルナに言ったの。
「ルナ様。ツバサ様はルナ様の事をとても大事にされているようですよ? 私から見ても羨ましい位、ルナ様の事を気にかけておいでです。」
「……そうなのかな? けど、ルナの事抱き締めてくれなくなったし……。なんだか嫌われる事しちゃったのかな?」
「……それは、違うと思います……けど。……うーん……。」
リリーさんも考え込んじゃって、2人でしょんぼりとしちゃったの。
けど、リリーさんが急に、パッと顔を上げて、ルナに笑顔で語りかけて来たの。
「じゃあ、今からでもツバサ様の心を掴みに行けばいいんですよ! そうです! うんうん!!」
今から? 掴む? 好きになって貰うって事?
そっか……今までがダメでも、今から頑張れば良いんだもんね。
リリーさん凄い! ルナ頑張る!! ……けど、あれ? どうやったらツバサは喜んでくれるんだろう?
そんなルナの困った顔を見て、リリーさんは、「ふふふ~♪」と、少し得意げな笑顔でルナを見て言ったの。
「男の人を落とすには、胃袋を掴めってお母さんが言ってました! だから、ルナ様も料理を覚えて、ツバサ様の胃袋も心も掴みに行きましょう!」
おおおー! リリーさん凄い! そっかぁ。確かに料理美味しかった! あれが毎日食べられるなら、嬉しいもんね。
ツバサもきっとルナの事少しは必要としてくれるかも……。
「うん! ルナ、料理頑張るよ!! リリーさん、料理教えて欲しいの! お願いしても良い?」
そんなルナのお願いに、リリーさんは「ふふ♪」と、微笑んだ後に、
「勿論です! お母さん程じゃないけど、一緒に料理して、ツバサ様の気持ちを引き寄せましょう!」
って言ってくれたの。
あれ? 今の言い方だと……もしかして、リリーさんもツバサの心を掴みたいのかなぁ?
だから、ルナ、リリーさんに聞いてみたの。
「もしかして……リリーさんもツバサの心を掴みたいの?」
そんなルナの言葉を聞いて、リリーさんは「ふぇ!?」ってビックリした様子でルナを見つめてきた後……。
真っ赤になって、「そそそそぉ、そぉんなぁ!? お、おそ、恐れ多い事!」って言いながら必死に話してきたの。
んー? なんでそんな風に言うんだろう? さっき撫でられてた時に、凄く嬉しそうだったのに。
ルナも、撫でられたら嬉しいし、リリーさんも凄く嬉しそうだったんだけどなぁ。
「リリーさんは、ツバサの事好きじゃないの? 撫でられて気持ちよさそうだったから、ツバサの事好きなのかなぁって。」
「うぉぇ!? そ、そんな事は!」
そう、勢い良くリリーさんは声を上げたんだけど……その後で、いきなり顔を俯かせて……。
「……ちょっと……ちょっとだけ……気になってます…………。」
って、小声で答えてくれたの。
「あ、けど! ルナ様から取っちゃうとか、そんなつもりは無くて!!」
リリーさんは、耳と尻尾が凄い勢いで動きながら、手を振って一生懸命に声を上げてるの。
なんだろ……ツバサが取られちゃうとかそう言うのは嫌だけど……ツバサをもっとリリーさんに好きになって欲しいって……ルナ、良く分からない気持ちで胸がモヤモヤする。
コティ……この気持ちはなぁに? なんでこんな良く分からない気持ちになるの?
『……その問いには解答いたし……かねます。感情に関する問いには、私は積極的に解答する権利を有しません。ツバサ様に質問するのが宜しいかと思われます。』
そうなの? そっかぁ……。
ん! わかったの。ありがとうね、コティ。もう少し考えて分からなかったら、ツバサに聞いてみる。
『……了解いたしました。……お答えできず……申し訳ございません。』
いいよ! コティ! またお願いね? ルナ、コティがいつもいてくれてとっても助かっているし、嬉しいから!
『勿体無いお言葉です。微力ながら、このコティ、ルナ様のため、粉骨砕身いたします。』
ふんこ……? コティ、相変わらず難しい言葉を使うのね……。
けど、これからもよろしくね!!
『……了解いたしました。』
そんなコティのとのやり取りの裏で、リリーさんは、一生懸命ルナにツバサに対する想いを教えてくれていたの。
「で、ですから……その! ツバサ様は……いえ、ルナ様もですけど、私達獣人の事、優しい目で見てくださいますし! えっと……後は、あの……耳……撫でてくれて……そんなの初めてで……。」
そう言って、リリーさんは耳と尻尾をヘニャンってしながら、ウットリしているの。
ああ、やっぱり……リリーさんもツバサのこと、良く思ってくれてるんだなぁ。
「リリーさん。ツバサの好きなところって他にある?」
「は、はひ!? え、ルナ様、ですから……わ、私はべ、べちゅに……あう。」
「んとんと、ルナ、まだまだ知らない事ばかりだから、リリーさんが困ってるのが何でなのか分からないけど……ルナは、皆にツバサを好きになってもらいたいなぁって思うの。」
これは本当の気持ち……けど、それ以外にも、ツバサを誰にも渡したくないって言う想いも、胸の奥から湧き上がってくるの。
不思議……ルナの胸の中にこんな複雑な気持ちがあったなんて……。
「そ、それは……ツバサ様は……その、お優しいです。あんなに柔らかい眼差しと……雰囲気と言うのでしょうか? 近くにいるだけで安らぎを覚えられるような方は……今まで会った事がありません。」
「そうだよね! ツバサ、凄く優しいの! ちょっと怒るときもあるけど……ちゃんと理由があってね! ルナ、いつも色々教えてもらってるの!」
「……そうですね。ちょっと話しただけですけど、言葉の端々に私達とは違う何か……そうですね……知性と言いますか、そう言ったものが感じられます。……ふふ♪ 不思議な方ですね。」
「うん! ツバサって色々出来るし、本当に凄いんだ!!」
「ルナ様……。…………私でも……好きになって……宜しいのでしょうか?」
そんな風にリリーさんは、苦しそうな顔でそう答えたの。
「私……何にもお役に立てない駄目な子なんです。お母さんもお爺ちゃんも苦しんでいる時に、何も出来ません。先ほど、ツバサ様が助けてくださった時も、何も出来ませんでした。できる事が何もない私では……ツバサ様のお役には立てません。」
「そんな事ないよ! ルナ、リリーさんのこと凄いって思うよ!! だって、リリーさん料理って言うのも出来るし、ツバサだってリリーさんを見て、とても嬉しそうだよ?」
ルナ、その言葉は違うって思ったの。リリーさん、全然役立たずじゃないよ!!
ルナのそんな言葉を聞いて、リリーさんは耳と尻尾がぶわって……なんか凄いの。
「ルナもリリーさん見てると、なんだか嬉しいよ! 何だか、えっと……可愛い?」
「ル、ルナ様……。」
そんなルナの言葉を聞いて、急に耳と尻尾を動かし始めるリリーさんはやっぱり可愛いと思うの。
ツバサも凄く優しい目で……時々良く分からない変な目で……リリーさんの事見てるもんね。
「んとね、ツバサも言ってたの。可愛いって正義? なんだって。だから、リリーさんもツバサに気に入られていると思うんだ。」
「せ、正義……ですか? ツバサ様は難しい事をおっしゃるのですね。」
「うん! ツバサは凄いよ! リリーさんにも、そんなツバサの良い所、一杯知ってもらえたら嬉しいな!」
「ふふふ……そうですね。……わかりました。とりあえず、ツバサ様の良い所、沢山見つけるところから始めて見る事にしますね?」
「うん! それで、ツバサが好きなったら……ルナと一緒だね!」
「ふふふ♪ ツバサ様も不思議な方ですけど……ルナ様もとっても不思議で素敵な方ですね。」
「んー? ルナ、自分の事は良く分からないけど……リリーさんがそう言ってくれるなら嬉しいかも。」
そう言って、2人で笑いあったの。
リリーさんと一緒。ツバサも一緒。それは素敵な事のように思えたの。
けど、やっぱり少しだけ……何か心にチクチクと痛みが残るの。
そんな痛みをルナは無視して、リリーさんと一緒にツバサの素敵なところを話し合ったんだ!
ちょっと話しすぎて、食器を洗えてなかったから、リリーさんと一緒に洗っていたの。
そうしたらしばらくして、ツバサから魔力が感じられたの。
ふと見ると、レイリさんに魔力を渡しているみたい。
そっか! レイリさんを治すんだね! 良かった!
ふと、ツバサの視線が感じられたから、ルナも微笑んだの。
リリーさんは食器を洗っていたようで、ルナたちの様子には気がつかなかったみたい。
ツバサも気付いてくれたようで、柔らかく微笑んでレイリさんに視線を戻したみたい。
そうして、ルナも手元の食器を一生懸命洗ったの。
なんだかワシャワシャの草……? なのかなぁ? そんな物で食器をゴシゴシこすっていったの。
暫くしたら、ツバサのいる方からレイリさんの大きな声が聞こえたんだ。
リリーさんも気がついたみたいで、ルナを不思議そうな顔で見た後にツバサ達の方を見たの。
そうしたらレイリさんが、ツバサを凄い勢いで揺さぶってたの。
ツバサは何だか、困ったような満足したような、変な笑顔をしてた。
なんだろ? 何でレイリさん、ツバサを揺さぶってるんだろ?
「お母さん!?」って、叫びながらリリーさんがレイリさんの元に向かったの。
ルナも、ツバサの元に向かって、その後は凄かったんだ……。
レイリさんがお茶って言うもの入れてくれて、その後リリーさんが突然泣き出して。
嬉しい事なのに、何でリリーさんは泣いちゃうんだろう? 笑えば良いのに……。
リリーさんはそのまま、レイリさんの腕の中で寝ちゃったの。
あ、良いなぁ。ルナもツバサの所で寝たいな!
こういう時はどうすれば良いかって、此花ちゃんと咲耶ちゃんに聞いているの。
えっと、ツバサの服の袖を引いて、上目遣いで……お願い♪
『これで落ちない男などいる、訳がありませんわ!』
『ええ! ルナ姉上! 完璧でござります!』
とか、興奮したように2人で騒いでいたっけ?
ツバサはそんなルナを見て、一瞬、動きを止めると、ルナの頭を撫でてくれたの。
んふー! 嬉しいな! けど、もっと!
ルナがツバサの太ももに頭を乗せて、ツバサを下から覗き込んだら流石に怒られちゃった……。
ううー! ツバサの太もも! お願い! 撫でてよぉ!!
そうしたらレイリさんが助けてくれたの。
嬉しいな! レイリさんありがとう!!
んふふふー♪ ツバサの太ももぉー暖かいなぁ。
頭撫でられて……ルナ……幸せ……。
さっきまで、感じていた胸のモヤモヤも痛みも全部無くなったの。
やっぱりツバサって凄いよ!
ツバサとレイリさんの話す声を聞きながら、ルナは徐々に眠くなってきて……。
レイリさんもリリーさんも良い人……ツバサも楽しそうだし……ここに来れて良かったな……。
そんな事を感じながら、ルナは意識は闇へと落ちて行ったの。
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