どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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鬼騎の隠し部屋の食堂で食事をする事になった俺達、料理を振る舞うのはロア……期待を胸に丸いすに座る俺と鬼騎とメェ、だが出された料理はある意味想像を絶する物だった。

「では、御披露目するのじゃ……これがわらわの作った料理じゃ!」

白いエプロンを着たロアは元気良く厨房に立ち次々と料理が乗った皿を出してくれる。

「ほれっ」

それは卵焼きだった、ちょっぴり焦げてるのや丁度良く焼かれてるのが沢山あった……大変美味しそうなのだが俺はこんか言葉を漏らしてしまう。

「たっ大量に焼いたんだな……」

そう、見た目ではなくも量が問題だ、それはピラミッドを彷彿とさせる盛り方で、それはもう高く盛られていた。
これは予想外だ、カウンターテーブルに置かれた卵焼きに驚きの一言しかない俺と鬼騎……メェは先程の事が堪えているのかピラミッド盛りの卵焼きを見ても無反応だった。
まっまぁ……美味しそうなんだが正直言って朝からこの量はヤバイ、と言うか卵焼きばかり食べられない!

「ロア譲……他に何かないのか?」
「ん……あぁ、わらわとした事が忘れる所じゃった」

そう言って出した料理が……。

「ほれっプリンじゃ」

卵を使ったデザートだった、おっ可笑しいな? プリンは大好きなのに、今出されても嬉しく無いのは何故だろう。

ぷるんっーーと揺れるプリンをまじまじ見つめて苦笑する俺……鬼騎も同じ様な顔をしている。

「くふふっ、実は秘密裏に昨日作っておいたのじゃ! まぁこれは食後のデザートじゃならお預けじゃ」
「あっあぁ……」

本人は悪気があった訳じゃ無いんだよな? 作れる料理が卵焼きだけ、きっとそうに違いない……そんな事を思うなかロアはプリンを冷蔵庫に仕舞う。

「ではシルク……最初に食べて欲しいのじゃ」

そう言って卵焼きを箸でつまんで俺の口に持ってくる。

「くふふ……何か女同士で変な気分になるの」
「うっ……女って言うなよ」

冗談でもその言葉はキツい……そんな言葉を呟きながら箸に摘ままれた卵焼きを見る、少し焦げている……。

「じっ自分で食べれるぞ?」
「わらわが食べさせたいのじゃ!」

ずいっと更に前に卵焼きを持ってくる。

「わっ分かった……」

断っても無理矢理食べさせに来るだろう、俺はそう思って口を開ける、今の身体の状態に比べたら食べさせられる位我慢できるさ。

「くふっ、何時になく素直じゃのぅ」

うるさい……食べさせるのならさっさと食べさせてくれ口をずっと開けてるのは辛いんだ!

「では、早速……」

くすくすと微笑みながら、ゆっくりと卵焼きを口に入れてくるロア、その瞬間卵の甘さが広がった。

「どっどうじゃ?」

不安な顔をして俺の感想を待つロア、ゆっくり噛んで味わう……少ししょっぱいがこれ位なら許容範囲だ、と思って噛んでいたらジャリッーーと何かを噛んだ、多分卵の殻だろう、俺も良くやるなぁ……そう思いつつ飲み込む。

「少ししょっぱいが旨いよ」
「ほっ本当か!良かったのじゃ」

俺の感想を聞いて安堵するロア、表情を緩ませ喜ぶ……素直に可愛いと思ってしまった、そんなロアの表情を見て顔が赤くなる俺、それ見られないよう横を向く。

「朝っぱらから見せ付けるもんだな、見てて恥ずかしくなるぞ」

そこには、にやにやしながら卵焼きを食べる鬼騎がいた、取り皿に卵焼きを5、6個乗せている……当然だがピラミッド盛りの卵焼きは減っている様には見えない。

「煩い……」

鬼騎の言葉を聞いて更に顔が赤くなる、するとロアは俺の取り皿にどんどん玉子焼きを乗せてくる、もう20個位乗ってる……そんなに食べられないんぞ?

「ほれほれっ照れてないで食べるのじゃ」
「おっおぅ……」

箸を渡される俺、取り皿に乗せられた玉子焼きを睨む……ははっこの食事が終わった時、暫く卵は見たく無いだろうな。

「美味しいです……」

心の中で嘆いていると、小さな声をあげてゆっくりと卵焼きを食べるメェ、元気が無かったが食事をして表情が少し明るくなった気がする。

「そうかっ、ならばメェももっと食べると良いのじゃ」
「はいですっ」

食事は人を笑顔にさせると言うのは本当らしい、メェに卵焼きを取った後何かを思い出したのかカウンターテーブルの下に屈んだ。

何だ? そう思った時だ、ロアは次々に調味料を置いてくる。

「同じ味ばかりだと飽きるじゃろと思ってな……好きな物を選ぶと良いのじゃ」

ほぉ……なるほどな、その気遣いはうれしい、この量を何も付けないで食べるのはキツいと内心思っていたんだ。
並んでいる調味料は定番の塩と砂糖と醤油等が置かれた、ふむ……何を掛けようか? やはり俺は。

「醤油にしよう」

ド定番だと思う調味料を選んだ、少しだけつけて食べると旨いんだよな、醤油を卵焼きに掛け一口食べる……うん、やっぱり旨い。

「わしは山葵わさびにする、あのツーンとした感じが堪らんからなぁ」

そう言って皿の端に山葵をつけ卵焼きを箸でつまみ山葵をつけ食べる、一瞬表情を険しくするが直ぐに美味しそうに口角を緩ませた。

「メェは味噌にするですよ」

メェは味噌を選んだ……え、味噌!? あっ味の想像がつかないんだが……驚く俺を他所に味噌を卵焼きに乗せ食べるメェ。

「うん……さいっこうです」

そっそりゃ良かった、そんな驚きの光景を横目に食べ続ける俺、うっ! そろそろ胃がもたれて来た。

「ロア、水貰えるか?」
「あぁ了解じゃ」

食器棚の方へ行きコップを取った後、水を汲みに行き俺の方へ持ってくる。

「ほれっ持ってきたぞ」

俺はありがとう……そう言って受け取ろうとした、その時だ! ロアがその水を飲んでしまった。

「おっおい!」

なっなんでお前が飲むんだよっ嫌がらせか! そう思った時だ、俺の胸ぐらを掴んでロアは俺を自分の方に引き寄せた。

「なっ!?」

そのままの流れで俺は……ロアとキスをしてしまった。

「んなっ!? ロア嬢何をっ!」
「めぇ……ロア様大胆ですぅ」

顔を真っ赤にしてその様子を見る鬼騎とメェ……みっ見てないでロアを引き剥がしてくれ!

「んっ……くふっ……くちゅ」

っ!? ロアが俺の唇を抉じ開けて水を流し込んで来た、くっ口移しだとぉぉ!?

「やっ……やめ……うぐっ」

俺の顎を持ち上を向かされて水を無理矢理飲ませて来る、ぐ……またこんな事しやがってぇ……。

「んっ……ちゅっ」

ろっロアの奴め……恍惚な顔をして舌いれてきた、とっ鳥肌がたってきた、頭がチリチリ焼けるよう感覚が俺を襲う。

「ぐっ……みっ見てはいかん光景が広がっておる!」
「女の子同士のキス……何か見てると変な感じがするです」

はっ恥ずかしい……無理に水を飲まされるわ、それを鬼騎とメェに見られるわ……恥ずかしいから見んなよ! ロアはさっさと離れてくれよ! と俺が思った時、ロアはやっと離れてくれた。

「……ぷはっ! どうじゃ?喉は潤ったかえ?」

にっこりと清々しく笑って来る、こっこの……調子にのりやがってぇぇ。

「けほっ……おっお陰さまでな!」

むせた後、軽く皮肉を言ってロアを睨み付ける、すると悪戯に笑って髪の毛を弄りながら言ってくる。

「そうか……一応聞くが御代わりはいるかえ?」
「いっ要らない!と言うか自分で飲めるからキスしなくても良いからな!」

俺は精一杯叫んだ、その様子を見てケラケラ笑うロア……こんな事をされ続けてる性か腹はあまりたたなかった、慣れって本当に怖いな……。


そんな騒がしい食事はまだまだ続く、はぁ……朝から騒がしい過ぎだろ、今日は無事で済みそうにないな……と言うかこの卵焼き絶対に食べ切れないぞ? ロアはどうするつもりなんだ? そう思う俺は水を一杯飲み卵焼きを見つめる、まぁ……何とかするだろう、そう思って俺は気にしなかった。

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