どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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あぁ……やっぱり覚悟なんて決められないなぁ、風呂場にたどり着いたと同時に俺はそんな事を思ってしまう。

「ロア様連れてきましたよ」
「うむ、ありがとうなのじゃ」

ヴァームはようやく俺を降ろしてくれた、なんか2人で微笑みあってるな……何か俺、空気になってないか?なら帰って良いかな? そんな事不可能なんだけどな。

「では私はこれで……」

深々と頭を下げた後、丁寧な動作でこの部屋から出て行く、こいつ……本当に出て行くんだろうな?今までの経験上、俺がロアにハードスキンシップを受けている時、こいつは何処かで隠し撮りしている……この瞬間も出て行くと見せ掛け何処かに隠れるに違いない……用心しておこう。

あと今の状況にも充分に用心しよう、絶対ロアなら何か仕掛けてくるだろう……と、思っていたら近付いて来たな、バスタオルを身体に巻き腕を組んだロアが俺の前に立つ。

「くふふ……来てくれて嬉しいのじゃ」

正確に言えば来たんじゃなくて連れて来られたんだけどな。

「俺としては来たくなかったがな……」

例え此処に来なくてもロアなら強制的に風呂場に連れてくる……だから幾ら嘆いても仕方無い。

「では、早速服を脱いで貰おうかのぅ」

手をわきわきさせて俺の服を掴む、手を払うがそんな事じゃロアは動じない、ここまで来たらもう為されるがままになるしかない。

「むぅ……一々邪魔するでないわ!」
「邪魔するに決まってるだろ!」

嫌だから邪魔してるんだよ、いい加減分かってくれ!

「むぅ……何故そこまで抵抗する!」
「裸見られたく無いからだよ!」

普段の姿も嫌だがこの姿の裸を見られるのはもっと嫌だ!

「何故そこまで嫌がるのじゃ?」

何故嫌がるだと? ふっ……愚問だな、そんなの決まってるだろ!

「この身体を見たら悲しくなるから見たくないんだよ!」
「うっ……そっそうか」

俺の悲痛なる叫びに流石のロアも動じた、だが直ぐに何かを考える仕草を取る、おい……今なに考えてるんだ?

「つまり幼女の身体だから恥ずかしいのじゃな? つまりわらわがそうなればお相子で恥ずかしくないな?」

……訳の分からん事を言い出したな。

「はぁ?何を言って……」

当然疑問を抱いた俺はロアに聞いてみる、聞いた所で理解出来るか分からないけどな……ん? 何かロアが微妙に光ってないか?

「せいっ!」

うぉっ何だ!きゅっ急に叫んだと思ったら光が強くなった、あまりの眩しさに目を瞑る、その光は以外にも直ぐに治まった……恐る恐る目を開けて見る。

「なっ!」

なんか懐かしい光景が目の前にあるんだが、これは夢か?何か知らんがロアが幼女になった!

「ほれ、これでどうじゃ?」

ばっ!と手を広げて自分の姿を見せて来る、するとタオルが外れて床に落ちる……それは当然色々と見えてしまう。

「おっおまっ前隠せぇぇ!」
「ん?……おぉ、見事に取れてしまったのぅ」

呑気に身体を見てないでタオルを取って隠せよっ、目のやり場に困る!


「しかしシルクよ、幼女の裸を見てそんな声をあげんでも良いじゃろう……やはりシルクはロリコ……」
「違うっ断じて違うからな!」

これは声を大にして否定しなきゃいけない……ロアがタオルを取る様子がないので俺が取ってロアの身体を隠す。

「と言うか何で幼女になってんだ、戻れよ!」
「戻れば素直に脱いでくれるのなら戻るのじゃ」

……くっ、此所でそんな事言われたら戻るしかないだろ。

「分かった、素直に脱ぐから戻ってくれ」
「くふふふ……初めからそう言えば良い物を」

にやにや笑いながらロアは元に戻ってくれる、はぁ……色々助かった、だが俺は気付くべきだった。
ロアが幼女化していた時、俺はタオルでロアの身体を隠していた、肌にも触れてるしかなり近くまで接近している、そんな状態で元に戻れば。

むにゅっーー
ロアの大きく柔らかな褐色の胸が俺の手に大きく当たる、それはもう盛大にだ……その後俺は「っすまん!!」と身体を退けどらせたがロアは何を思ったのか俺を押し倒し顔に胸を押し当てて来た、視界がそりゃもう凄い事になってしまった。

「触れるのならこれ位どぉんっと来て欲しかったのぅ」
「あっ阿呆……おまっ阿呆か!」

俺の叫びが脱衣場に響く……そんな騒動は暫く続いた、その間に服を脱がされたのは言うまでもない。
そう言えば俺……ここに来てから自分で服を着たり脱いだりしてないよな? 殆ど脱がされたり着させられたりしてる……俺は着せ替え人形じゃないんだぞ? そこん所ロア達は分かってるのか? たまには俺にも着替えをさせろ! って俺、何思ってるんだろ? 謎の思いを抱いてしまった、それもこれもヴァームとロアのせいだ! そう言う事にしておこう。


さて、やっと脱衣場騒動も修まり風呂場にやってくる、俺は生まれたままの姿でそこに立つ、当然前を隠し恥ずかしそうにゆっくりと前に歩いていく、そんな様子を見て疑問を浮かべるロア、直ぐに口を開いて聞いてきた。

「シルクよ……何故前を隠すのじゃ?」
「さっき見られたく無いからって言っただろ……それよりお前は前を隠せ!」

俺がロアに注意するも、見せ付ける様に胸を張る、俺は直ぐに視線を反らす。

「風呂場で前等隠す必要等ないじゃろぅ、しかしあれじゃな……シルクは女になっても可愛いのぅ」
「それ男の時も可愛いって事だよな?ふざけんなっ全然誉め言葉じゃないからな!」

俺の言葉も何処吹く風、と言うか全く聞いてない。

「まぁそれはさておき髪を洗ってやるのじゃ、此処に座ると良い」
「それはさておきだと!?」

まぁ分かっていたさ、ロアは自分本意で動くって事はな、さて……こうなってしまったら仕方無い、出来るだけ恥ずかしい思いをせずに事を済ますとするか、きっと出来ないだろうが精一杯の努力はしてみるさ……その為には色々と頑張らないとな。

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